北国酔譚

肌寒さに

夏の終りを感じ

 

思いやるのは

北国のこと

 

寒風が

肌を突き刺す晩秋に

 

襟を立てながら

店に駆け込む

 

湯気を立て

まどろむ熱燗と

じゃっぱ汁

 

脳は蕩け

記憶は朧げ

 

いつまでも

猪口を上下して

上気した顔で店を出れば

 

寒風に酔も覚める