過食振り

過食の幸せは

 

節制がもたらした

健全と調和を

なし崩しにする

 

それに尽きる

 

未来を向き

健康を慮り

 

自己管理による

長生きへの一歩

 

そんな安定と計画性を

たちどころに粉砕し

 

未来など夢見るくらいなら

今の快楽を貪る

そして体を痛めつける

 

今のみに生きる享楽

倒錯した自壊の甘美

 

二つによって

全てを覆う試み

 

無理でないはずはなく

苦しみにのたうち回り

而して

罰を受けた己に

納得する

 

自壊は常に楽しく

絶望というどん底の安定と安寧に

身を置けば

 

何も考えなくていい

 

食べれば食べるほど

堕ちて行く

 

下へ下へ

ぐんぐん進む

 

それがまた

気持ちよく

 

上へ行けぬなら

方向などどうなろうと

人は進みたいのである

 

だから

食べて食べて

 

もう回らぬ頭で

眠ってしまえば

 

明日には

また腹が空いている