2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

減量

じっくりと 時間をかけ 食事管理と 運動 一月 また一月 一週 また一週 最後には 一日 また一日 体は絞れ 皮膚が張り付き 血管が浮かぶ 眼元は窪み 頬は痩け 思考を失い 体は動かない 時が経つのが遅い 食事が待ち遠しい この無為な時間を ひたすら費やして …

詩のない日

悩みもない 苦しみもない なんの問題もない ただ一つ 詩が書けない 平穏な日常に 思うところもなく 情熱がほとばしる瞬間も 感情を露わにする刹那も どこにもない 変化なく 安定した今が いつまでも続く 大切な何かが欠損しているのか 詩は 逡巡を補完する何…

勘所

気に食わない ということだけで 世界を判断している向きがあり 機嫌が良いか悪いかで 生きる時の全てを味わっている 感情の流れを 理路整然と分析しても 理と道徳で 世界の善悪を思考しても 好きか嫌いか 気持ち良いか悪いかで 立ちどころに 態度は変わり 好…

ふざける

戦だ 非常時だと 喧騒の世間は 言葉までもが 攻撃性を帯び 罵声や怒号の砲弾が 社会を駆け巡る 真剣に思い 真摯に熟考する前に 正義感と焦燥感に駆られ 余裕なき ドタバタ劇に一喜一憂 ひどい笑い話を前にしながら 笑い事ではないと 一喝され 萎縮と緊張と …

都会のジャングル

週末のターミナル駅の夜 電車の走る時間は過ぎた 酔っ払いが群れをなし 嬌声が響き 酒の空き缶 食べ残しの弁当が散乱する 都会のジャングルで 本能のまま 騒ぎを止めないサル山の猿たち 公園で自転車をなぎ倒し 笑い声は 夜明けまで途絶えない 動物と同じ さ…

現実

現実が大事 現実を見ろと 多様な 複雑極まりない世界から 都合の良い事象を 引っ張ってきて これが現実だ どうだ 反対できまい そんなパワーゲームは 職場でも 政治でも 飲み会の場でさえも いたる所で起こっている 当たり前のような サル山の争いは 低俗な…

恐ろしいほどの些事

些細な失敗に 拘泥するとき どうせなら 気にも留めず 前向きに生きるほうが良いと 思いがちだが 日常の機微を 捉えようとするなら 些細な事柄こそが 精神を支配する おおかたの要因である つまらないことを ウジウジと悩んでいるのではない 些事に無関心であ…

春旬

雪の散りばめた山は 初老の頭にも似て 一輪二輪と 桜咲き 冬の渓谷は 変わり始める 春霞 煙立つ野辺 葡萄棚 丘に張られ 整う 陽気の支度 歩き 軒先で休めば 眠気に誘われ 時を失う

銭湯にて

銭湯にて 湯船の中に 唾を吐く人おり 腹立ちぬ

さざ波の日

心に波が立つ まるで 波を立てたいと思っているかのように 静まれば また立ち 治まれば 再び立ち 心の平安は いつになっても 訪れない 何もなければ 何もないのが不安で 不安がないかと 探し回り つまらないことに 苛立ち 自分ではどうしようもないことを 心…

濡れ手の粟のごとき

数十億の人間が 一人づつ ものを考え ある者が言うことに ある者は真逆に答える それはもう 塵芥の如く 世界中に散らばっている 生命の煌きで 掃いて捨てるほどあれど 当人には 何よりも大切な かけがえのないもの だからこそ 世界は恐怖でしかない 最も大事…

酒の名残り

悪い酒を飲んだ 悪い酒を 悪い時に たらふく飲んで 悪酔いした かなしくも みじめな心情を 引き出しては 自虐に酔い 全てを悪い方向に考えて これ以上 悪くならないと安心する ダメであればあるほど ダメなことを許して ダメになっていく 酒のせいと 開き直…

夢の帰還

懐かしい顔が浮かび 喜怒哀楽に満ち 夜の屋台のごとく 朧気に それぞれが 光彩を放っていた 今はもう 夢でしか会えない 脳裏に浮かぶ顔は 郷愁にも似た 匂いがついて かなしく笑い 傷を疼かせる 春の夜の幻か 迷いでた亡霊は 記憶の中を 彷徨い わたしを 困…

金太郎飴のつまらなさ

態度を決める だが覚悟は決めない ゆるやかに 友達と仲良くやっていくために 現実を見るのを止め グループに入って ぬるま湯に浸かり 他の者を攻撃している 覚悟を決めたなら 合理的でなかろうと 論理的でなかろうと 進んだ後に 道ができ 背中を見せて 歩ん…

災害は突然に

突然やってくる災害に 動揺は隠せず いくら備えても 気構えは整わず 襲いくる厄災に 常に心を砕いていたら 不安に苛まれ 精神が治まらない 気をつけようが 備えようが 突発する非常事態には 驚き 困惑し ただ ただ 死ななければ良しとせねばならない 心は あ…

プロレスの教え

某国が他国を侵略し 彼の国を批判する言説が跋扈する 敵か味方か ここにも対立を迫る 二分法があり そんな枠組みを批判する 多様性を持ち上げて 多様か否かという 二分法が また現れる 自由だの 多様性だの きれいな言葉を使い 己を立派な人間だと 勘違いし…

日常を捉える

何の気もない 風に揺れる木の葉 とりとめのない会話 いつも散歩する道 日常に支えられ 日常を生きる ゆえに 日常が揺さぶられると 精神は たちどころに 行き詰まる 日常を疑い 日常を点検し 支柱としての 日常を解剖し 己の精神の 根源を紐解くならば 日常は…

出かけます

4日ほど出かけます

修辞

戦争や震災に 名を借りて 言葉を紡ぐのは なんと楽なのだろう 大量の死 泣き叫ぶ声 理不尽で やりきれない感情を 大きなスローガンに括り ああでもない こうでもないと 様々な角度から 修辞を競い合う 一人の苦しみも 一人の泣き声も 等身大の視点ならば 出…

頼れる言葉

力による支配は終わった それは神話だった 理性と知性で 世界を合理的に 豊かに 繁栄を導くという夢は 現実の暴力の前に 説得力を失い 銃弾と爆炎による 破壊の風景に 息を呑む 理想は 美しくとも 信じる者が いなければ 机上の空論に過ぎない 今 ふたたび …

風が吹く

西から東へ 生暖かい風が 流れ 今 東から 西へと吹く風は 冷たく 厳しい いつの日か 風は止み 人々は 家から出て 春の芽吹きを 楽しむだろう 吹いている風は 徐々に暖かく 艶かしく 命の匂いを運び まれに 血の香りが交じるとしても やがて おだやかに 凪い…

利性

敵がいる 叩き潰したい だが 生かしておけば 得になる ならば 適当にあしらって 関係を維持しておく いやらしいと 忌避してきた考え 今になると 損得勘定でも 助平心でも 利得の欲望で 争いを避けるほうが マシに思える 巨大な資本が 環境を破壊し 世界を欲…

怒りの力

怒りが わたしを突き動かす 強ければ 強いほど 近ければ 近いほど 怒りは わたしの中に充満し 発散の機会を求める それは 社会や制度に向かうような 抽象的なものではない 目の前の人間 一つの行為 一つの言葉に対して かき立てられる感情で エゴイスティッ…

戦争利用

戦争にかこつけて 言いたい放題がのさばる ある者は 首相を批判し ある者は 核武装を主張し ある者は 国の危機を訴える もともと 心のうちにあった考えを ここぞとばかり 言い放ち 戦争を追い風にして 言葉を遠くへ 跳ばそうとしている その心根は いやしい …

橋の下にて

国家の前に人がいて 人のために国はあり 人は 国のために生きるのではない とは言え 国を愛する者もおり 郷土を守り抜く意志も 国のために戦う覚悟も 否定されるべきではない 同じ国の中ですら 意見の異なる人はいる 戦う者も 亡命する者も 尊重されねばなら…

感情ドライブ

感情に任せ ドライブしている最中 脳の芯に響く 快楽が駆け巡る 怒り狂っても 泣き叫んでも 喜び弾けても 同じように 高揚と快楽は訪れ そのまま 言葉を発し 身を躍らせたなら 取り返しのつかぬ 後悔に苛まれる それほどに 愚行と分かっているから 理性は 常…

故郷の酒

傾けるたび 思い出す 山 川 幼馴染 雪の冷たさ 焼餅の香ばしさ 人の顔も 霞がかかった記憶も 少しづつ 酔うほど 懐かしく ほろ苦く 今日は 過去に甘えて 飲みすぎた 故郷の酒

屋台

白熱灯に照らされた 色とりどりのヨーヨー 金魚 綿あめ りんご飴 たこ焼き 闇夜に生まれた 光の喧騒 不可思議な景品 射的の音 まるで からくりの城のような 一夜限りの 非日常の遊び場 張りぼての竜宮城 それは いかに子供じみていても いかがわしくても 嘘…

戦争が始まった

戦争の報を聞き 人々は おそろしく 感情的になって 日々 言葉の砲弾を 打ち合っている 平和を叫ぶだけでは 意味がないと 煽動に励む者も居れば 露国の指導者を 口汚く罵っては 溜飲を下げる者も居り それは どちらも 感情に任せ 攻撃本能を触発された 獣の振…