2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

花の冷たさ

咲き始めから 愛で続け 今日 満開の桜 それまでとは 格別の美しさ 漲る花の力 人が出ない時局でも 余裕なき世相でも 花は見事に あまりにも見事に咲く たまらなく無慈悲で 暴力的なほどにきれいだ 人の心を 足蹴にするような美しさ 狂った世に舞う 花びらは …

韜晦風味

一歩下がり 姿を見せず 失敗はせず 持論は述べない どこにいるか分からない だけど いつも近くにいる 何をしているかわからない だけど いつも仕事をしている 自分を出さない 出さないことを美学とする 自己韜晦という 格好つけ 最低の薬味 得体のしれない腐…

国の肌色

やっと来た この国の 美徳ではなく 悪徳を問う時が 素晴らしく不自由で 清潔で潔癖な精神 横ならびで お互いに監視し 足を引っ張り合う 告げ口と通報の 隣組がネットに蔓延る 不自由であればあるほど 非常時であればあるほど 歓喜し 熱狂し 正義を振りかざし…

あまりにも一喜一憂

買いだ買いだ買いだ 物がなくなる 公園は通れません 花も見られません 百貨店は休業 映画館も 居酒屋も 休みます この日本で まだ50人も死んでない インフルエンザと比べたら まだまだ少ない感染者 それでも 騒ぎ立てれば 世は傾く あれもダメ これもダメ 自…

地に蝗満ちて

スーパーへ行ったら 納豆も卵もない インスタントラーメンも 缶詰も 棚がスカスカ イナゴのように 群がり 買い占めていた 眺めていた イライラした ルールが無いから 誰も守らないから 苛つくのか 自分が買えなかったから 苛つくのか よく分からなかった 欲…

お祭りはまだ続く

ああ嬉しい 世界の仲間になれた 同じ境遇 同じ気持ち みんな一緒だ 特別の特別 最高のお祭り 地獄の釜が開いて いっぱい出てきた 我々は 突きつけられる 楽しむか 苦しむか もう断片はつながっている 霧のように拡がり どこにいるか分からない 世界は一つに…

はじまる

世界中で バタバタ人が死んでゆく 見ていた 遠くから傍観していた 何も思わなかった 騒ぎの熱気を眺めて 興醒めしていた だが ようやくはじまる 火事は 燃え移った 地球を一周して わが街にやってきた もう止まらない 止められない 騒ぎだけが 先行していた…

葛藤なき流れ

映えない日々 うつろ気な季節 灰色の飯 真黒な仕事 夢もなく 刺激もない つまらない 下らない 失った生 枯れた涙 どこにもない 誰のせいでもない ただ輝きが この世にない 衰え 興味を失った軌跡 いつだったのか 忘れた記憶 実感が 手からすり抜け 魂が 精神…

春の鈍り

疫病で 毎日人が死んでいく 死者の数を 数えるだけ 傍観するのみ 魂は鈍り 反応を失い この春を 灰色の中に埋めゆく 何もせず 過ぎる時を待ち 自虐も 自戒も出来ぬ今 鈍色の錆が 煮出され 荒れ狂う前夜を 感じている

春の病

穏やかな春の日 人は街に出る 桜は咲いた 風は暖かい 神社の坂を下れば せせらぎ澄む川原 春草芽吹き 蛙鳴きだす いつもと同じ春 だが心は いつも違う 同じ春などなく 新たな感傷が 胸に跡を刻む 春は別れ 春は旅立ち 若さと青さ 脆さと哀しさ 不安定で おぼ…

ダメの日

何もやる気が起きない日 寝て起きて 食べて 寝て起きて 何しよう 何もしたくなければ 何もしなくていいのだけれど 生きたくなければ 生きなくていいのと同じで 本当に何もしたくないのか 分からない だるくて 眠くて それだけなのを 肯定できない心がある 何…

連鎖の妙

不幸は続く 幸運も続く 昨日は 良い日であった 良いことが ひとつ ふたつ みっつ よっつ 不思議だ こんな日が 人生にあるなんて 何事も 上手く行き過ぎて 戸惑う 慣れない 馴染めない そして 張りがない 逆境への反骨 不幸への怨嗟 身近に置いていたものを …

出かけます

一日出かけます

精神の供出

不安ほど恐ろしいものはない 見えない 分からない 而して 怖い 分からないから 不安を最大限に引き伸ばして 怖がっている 不安のために 自分の穴に入って 攻撃的になる 巣が襲われた ハチのように 突けばひっかく 穴熊のように 縮こまれば縮こまるほど 攻撃…

馬鹿クラスター

馬鹿と馬鹿が集まって クラスターをつくれば 馬鹿でないと生きてゆけず 馬鹿になるしかないのです 人の暮らしには いろいろあって 人はそれぞれに 悩むもの 切実で 複雑な葛藤を抱き 誰の人生だって その人にとっては大切だ だからと言って 世間に合わせるか…

夜の声

今日も 怒号が飛び交う夜更け どこの国の言葉なんだろう 安アパートに響いてくる 荒ぶった怒りの声 寒天の夜を 突き抜ける 有象無象の集まる街で 得体のしれない悲鳴が上がる 女の泣く声が わめき 叫ぶ声が 眠りを妨げ いつしか 慣れてしまった無関心も たま…

寒夜の遠吠え

体からエネルギーが消えたのは いつからだろう 若く 活力漲り 健康など気にも止めなかった時 心は 悩ましく 己を 知らず 苦しかった いつも藻掻いていた 歳を取るにつれ 折り合いをつけることを知り 楽になってきた そして ダメになってきた 漲っていたこと…

ぼやけた街

もうすぐ桜が咲くというのに 街に人はまばら 道行く人は マスクで顔を覆い 店の座席は 隙っ歯のように間が空く まだ終わらない 始まったばかりだ あと二週間 あと二週間で もう一ヶ月経った あと一ヶ月は 変わらないだろう 荒んでいく街も 人の心も ズレてい…

美しい嘘

過去に傅かれて 道を渡った うろ覚えの記憶で おっかなびっくり 実は 渡れたのかさえ 分かっていない 失敗ばかりしてきたから 突けば どこからでもボロが出る 去勢じゃない 迷惑をかけたくなかった 失望させたくなかった だから 無理をしたのだった 哀しいく…

きっともう

水漬く屍 跡形もなく 感傷だけが残る この国に 自粛ムードが吹き荒れる 人々はどこへ行った 酒も映画も 旅も憧憬も たちどころに消え 一億人のうち 15人が死んだ病気に怯えている この国の病が 収まる頃には わたしの愛したものは ほとんど 瓦解している 自…

でかけます

一日出かけます

黄色い花

感傷に浸ったかなしみは 自然の中へ溶けてゆく 若葉芽吹き 華やぐ山々 可憐な一輪の 黄色い花 今年もまた咲いた 日々流転 千変万化する世界 同じ年などなく ただ生きることに追われる 風景も 夢までも 見る余裕なく 過ごしてきた その間に花は 咲いて 萎み枯…

匂いを嗅ぎに来る猫

猫が来て 匂いを嗅いで 帰っていく 昨日も来た 一昨日も来た 今日も来て 匂いを嗅いで 帰った わたしの手の匂いを嗅いで 何もしない たまに来ないと 気になる 猫も 匂いを嗅ぐと 安心するようだ 明日は来るだろうか こいつがいるから わたしも 外とつながって…

寒々しい夕辺

冷たい 誰もいない街に 冷たい風が通り抜ける くぐもった空 水滴が風にのって 吹き付けてくる ああ寒い 夕暮れ時の 団欒の気配を吹き飛ばし 薬局の旗を ばたつかせ 身を切るような 風切り音を響かせて 街を凍らせる 人々はいなくなり ただ猫だけが徘徊してい…

私の詩

感傷を排し 思想の発露でない 自然と人間 葛藤と苦悩 広大な夕空の下の黄昏 掃き溜めに沈む忍び泣き どちらも描き どちらも捨てない 一人ぼっちの 胸にあいた空洞 その空虚の虚無の寂しさを 胸に抱いて いつまでも 佇んでいる それを詩と信じて

春の歩み

風が強かった 鳥が流されてゆく 晴天の下 砂埃が舞う 春は近い 風は冷たい 川辺に立ちすくむ鴨 膨らむ桜の蕾 誰もいない ただ歩く 川に沿って 陽が山肌を照らすまで 一人 風景の中を ただ歩く

衛生至上主義

アートは健全な社会の下で成り立っている だから社会の崩壊を招くような行為をアートはするべきではない こんな馬鹿の文章を読んだ アートは社会の犬 アートは社会の奉仕品 そんな事を言う奴は 社会秩序のために死ぬんだろう 人にうつすな 加害者になるな そ…

心のコロナ

この街はゴーストタウン 映画館は休み 飲み屋はどこも閑古鳥 図書館も トレーニングジムも開いてない 人の姿なく うすら寒い風だけが吹いている この街は死んだ 心のコロナが 街から人を消した 交通事故に遭うよりも 心を病んで自殺するよりも 確率の低いコ…

紙の妄想

下痢が止まらない 昨日も今日も このままうんこを垂れ流して トイレットペーパーを使い切ったら 落ちてる葉っぱで 尻を拭くのか 新聞 マンガ雑誌 ありとあらゆる紙類で うんこを拭く時代が来るなんて 愉快でたまらない このまま 人の往来もなく 工場も止まり…

この国を笑え

ああ面白い 滑稽だ マスク マスクと 騒いでいたら トイレットペーパーに おむつに 缶詰に 米にレトルト食品 何でもかんでも 買い占めてやがる みんな 騒ぎたいんだよな 踊り狂いたいんだよな 大きな騒動の 渦中の一人になって 中止になったイベントの代わり…