2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

出かけます

一週間出かけます。 2月いっぱいは更新しません。 期待していたわけではなかったけれど、「いいね」をもらうのが、これほど嬉しいとは思いませんでした。 匿名でも他者とつながれるのだと分かりました。 読んでくださって有難うございます。

怠堕落

堕ちていく 私の体はドロドロとなり 溶け腐り 垂れ滴り 下へ下へ 動きのない空間 風は止まり 空気は淀み 腐ってゆく ただ一人 堕ちてゆく 緩やかさが 怠惰な甘美が 私を留まらせ 鈍い快楽を与え続ける このまま 眠り とろけ 腐乱していこうか 私を引き上げる…

眼鏡の世界

初めて眼鏡をかけたとき 自分の眼がボヤケていたことに驚いた 世界の輪郭が明確なことに驚いた 世界がざらついていることに驚いた 顔の毛穴や痘痕や黒子 脂ぎった光沢 目尻の皺 こんなにもはっきり見えてしまうのか 見たいものがよく見えるようになった だが…

砂塵

冬に吹く風は 埃を巻き上げ 乾いた肌を チリチリと痛めつける 差し込んでくる冷たさ 耳たぶが痛い 目が開けられない 口の中がいがらっぽい しかし空は青く 遠くの山に輪郭を刻む 透き通った空気の辛辣さと清廉さ 葉のない木々 虫のいない森 どこまでも澄む …

人の悩み

いつも人間のことで悩んでいる それが嫌になって 人のいないところへ行ってみた そうしたら 人のいない生活に耐えられなかった 人の社会に戻った 人とつながる嬉しさを思い出した 一回りして 現在は人間関係で悩んでいる 逃げ出したいと思っている もう一回…

やりたいことだけやればよい

人生は しなければいけない と思うことが多い 学校を出るとか 仕事をするとか 結婚をするとか 子供を作るとか ご飯を食べるとか 掃除をするとか 洗濯をするとか 人と仲良くするとか いろんなことをしなければならない と思わされている やりたいことをやるの…

健常者だって

足が短い 髪が薄い 目がよく見えない 喋れない 片手がない 耳が聞こえない 太っている 痩せている 背が低い 背が高い どこかの言葉に みんなちがってみんないい とあるけれど 違うのは当たり前だ 違うのに良いも悪いもない なのに 健常者って言葉はなんだ み…

うらやむ

ジェラシーは犬にも猫にもあるらしい 他人から嫉妬されるのはやっかいだ 自分から嫉妬するのはくるおしい 人の関心を 仕事をポストを 寵愛を手に入れたい だが現実では 他の誰かが手にしている 私より馬鹿なあいつが 私より無能なあいつが 私より世渡りの巧…

明日

明日が来るのを疑わない いや 明日が来るのを信じている 今が苦しければ苦しいほど 明日が来て欲しいと祈る 今が素晴らしければ素晴らしいほど 明日が来るのを恐れる 明日になれば状況が変わる 明日になれば死が近づく 明日とは 現在と死の間に横たわる時間…

映画館

今の映画館はきれいで 座席も決まっていて 一回の上映しか観られない 昔はよく映画を観た その頃の映画館は汚くて 一日中時間をつぶす 得体の知れない人たちがいた ポップコーンの匂いの代わりに 煙草のケムリが立ち込めた よごれたフィルムで スクリーンに…

銭湯

瓦屋根の破風 二つの入口 高い天井 ペンキ絵の富士山 カランの前に座る人たちは 一心不乱に体を洗っている 働き蟻のようだ 誰もがこまめに動いている 浴槽に体を沈め 忙しない装いを眺める 湯気抜きから 午後の日差しが差し込む 有閑な空間に 立ち回る人々 …

耳障りの良い言葉

耳障りの良い言葉が苦手だ 人から褒められても おべっかを使われているんじゃないか 本音ではそんなこと思っていないんじゃないかと 疑ってしまう そんな心根だから 自分が用いる言葉も愛想がない 人を困らせたり 悲しませたり 不快な気分にはさせたくない …

陽が沈む頃

夕陽が沈んでゆく 胸がつぶれそうになる せつなくて いたたまれない そんな気持ちになるのは 決まって一人の時だ 周りに何人いても 一人の時だ 一日が終わって 闇に包まれる 人生も同じなんじゃないかと 何億人が思っただろう 自分の人生に 太陽の輝きはあっ…

深酒

酒を飲みすぎた 記憶はない 家にたどり着いた 嘔吐そして昏睡 明け方 ひどく喉が渇く 水を飲む 吐き気がする 気持ち悪い だが眠いしダルいし寒いので 布団から出たくない 我慢の限界まで耐えて 再び嘔吐 眠る 体がしびれる 重い 動きたくない 人は生理に支配…

苦労の価値と退屈さ

若い頃の苦労は買ってでもしろと言う ただ苦しめば良いというわけではない 不条理に耐えることが立派だとは思わない ただ 世の中は若いときに思っていたより ずっと地道で 小さいことの積み重ねなのだと考えるようになった 地味でつまらない 変化に乏しい 延…

世の中の枠

世に出ることは社会の枠に収まること 100m走のランナーには 80mが得意な人も 120mが得意な人もいる 自分が一番得意な距離で走れるわけじゃない 100mの中で持ち味を出すのだ 野球だって ホームランが打てなくても 快足を活かす 守備で頑張って 自分の居場所を…

子供心

宮沢賢治『黄いろのトマト』が好きだ 小さい兄妹が 大切に育てたトマトに 黄色く黄金に輝くものがある ある日サーカスがやってきて 兄妹はついてゆく 中へ入ろうと木戸銭の代わりに 黄色いトマトを二つ差し出す そうしたら 番人に「人を馬鹿にするな」と ト…

死を知ったとき

小さい頃 人が死ぬと知ったとき こわくてかなしかった 自分が死ぬ時を考えた 家族が死ぬことを考えた 一緒に住んでいた 父と母と祖父と祖母と 同じ部屋で蒲団を並べて 眠るように 一緒に死ぬのが一番良いと思った それしかないと思っていた あれから数十年 …

ネズミとゴキブリ

ネズミやゴキブリもこの世に必要だと信じている だが現実にはどちらも大嫌いだ 目にしたくないし 近寄って来たら身の毛がよだつ これほど一方的に嫌悪できるものがあるのか 近くに来ないでくれ 視界に入らないでくれ 私の周りにいないでくれ あとは勝手にや…

他者がなければ言葉はない 世界がなければ言葉はない

楽しさや嬉しさを追求するほうが 人生をつつがなく過ごせる だが実感としては 怒りや恨みのほうが エネルギーが大きい 表現しようと思い立ち 喜怒哀楽を白紙にぶつけようとしたとき たとえネガティブであっても 自分の中に溜まるエネルギーを使って エンジン…