砂塵

冬に吹く風は
埃を巻き上げ
乾いた肌を
チリチリと痛めつける

差し込んでくる冷たさ
耳たぶが痛い
目が開けられない
口の中がいがらっぽい

しかし空は青く
遠くの山に輪郭を刻む
透き通った空気の辛辣さと清廉さ
葉のない木々
虫のいない森
どこまでも澄む

水が温むと
命が騒ぎ出す

芽吹き
湿り
濁る

雑多でまとまりのないエネルギーが
充満する

春は嵐の季節
風が荒れ狂い
花粉が飛び交い
黄砂が飛ぶ

その濁とした
空と水とが
生命の源なのだ

生きることは
濁りの中に在ることなのだ
恐れることはない