2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

出かけます

出かけます。 年内は更新しない。

ただ見る

何もしなくても 目だけは ただ世界を見ている 見ている ずっと 見ている 見て 目から あらゆるものを 浴びて 嫉妬したり 羨んだり 蔑んだり 憧れたりしている 頭の中が 情報で溢れかえっているのに もっと見たい もっと知りたいと 欲ばかり出して 眼の前の何…

曲がり角

どこまでも歩いて ずっとずっと 立ち止まらず まっすぐ 振り返らずに 進んだ 不意に訪れた 曲がり角 いつの間にか 曲がり方を 忘れていた 壁にぶつかって 体を痛め 前に進めず 後ろに戻れず 首が回らず 足も動かない どうしたらいいんだ 不安ばかり募る 何も…

陽だまりの猫の姿の

風のない冬に 差し込む陽 道端の猫 茶色の毛が 日を浴びて 黄金に輝いている 眩しそうに 目を細め じっと丸まって 温かさを貯めて 微動だにしない 寒さを逃れる屋根なく 飢えと隣合わせの猫 今日の この時だけは 慈愛に満ちた ぬくもりに 身を任せても 陽が…

坂の街の夕暮れ

ターミナルは 谷の底 四方より 人と 車が 押し寄せる 冬の低い陽射しが 坂の上から 薄暮の町並みを 照らして 空はまだ明るく 面前は もう暗い 広大な空の夕 暮れを急ぐ足元 坂の上から 路面電車が降りてくる 夕陽を 背に受け 暗闇に染まった街に 一つの箱が …

帰らざる影

誰にも 捨ててきた何かがある 悩んだ挙げ句の決断 無理強いの分断 断腸の思いで 手放したもの ふるさと 仕事 形見 人とのつながり 取り戻したいと思っても 出来ない そう決めてしまったもの 後悔するもの 後悔してしまったら 自分が崩壊する だから 後悔すら…

先生の噂

人の噂をするのも 人に噂をされるのも 嫌いだった 欠席裁判か 陰口か 噂話など どちらにしかならない そう思っていた だけど 飲み会で 亡師の話をして 噂話と奇行譚を 酒の肴に 楽しい酒を浴びて 一人 深夜の帰り道 酔って 霞のかかった頭で うつ向き 先生の…

赤ん坊の里帰り

故郷に 赤ん坊を連れて帰る 赤ちゃんには 里帰りだけど初訪問 おじいちゃんにも おばあちゃんにも 会ったことはない 自分は何も知らない この世界も この人々も ましてや 親戚なんて けれども 不思議なことに 知らない土地なのに 誰もが 赤ちゃんが生まれた…

嘔吐の前

食あたりの苦しみは 緩慢に襲ってくる 吐き気 いつまでも続く 倦怠 全てを放り出し 布団に横になり 胃を空にして じっとしていても 不快は収まらず ただただ 辛さに耐えねばならない 水を飲めば吐き 水を飲まねば衰える 胃に溜まる 少しの水さえ いや 胃液さ…

忘却の幸福

生きてきて 用事や買い物を忘れたり 友達との約束を反故にして 困ったことはあっても 忘れてしまったために 悩み苦しんだことはなかった 苦悩や葛藤は いつだって 忘れられないために 取り憑いて 忘れても良いことなのに 頭から離れない それどころか 忘れた…

家族の輝き

みそ汁の具 何入れる 卵焼きつくる 納豆出す 漬物は ご飯何合炊けばいい こんな会話 面白くも楽しくも 何とも無いはず それなのに 夢の中で はるか昔の 我が家の朝食に 出くわして 瞼の裏に 涙が浮かぶ 歳を取れば 家族の会話は 削ぎ落とされ 家族の好みも …

崩れてゆくほどけてゆく

ひとつひとつ 積み上げたのに 何もしないせいで 錆びついて 朽ちて ほころんで 少しずつ 崩れてゆく ほどけてゆく 積み上げるのは 長いこと 手間ひまかけて じりじりと 気を揉みながら 牛歩のごとく 変化も分からぬ遅さでも 根気よく 諦めないで やってきた …

ハンドルの遊び サボる時

上手くいってるなら それでいい 順調で 頑張れて 迷うこともなく 進んでいける 上手くなけりゃ 大変だ 悩んで 考えて 試行錯誤に 四苦八苦 風向きを 変えなきゃならない 今 表向きは 上手くいっているけれど 実は 大変な時 もうやりたくない 逃げ出してしま…

夕映えに歩く

ひときわ寒く 空気の澄んだ冬の日 日暮れ時 人の足が早くなる頃 夕日が 街を照らした 一時 世界は黄金色に輝く 紅葉した木々も 人々の住む家も 淡い 暖色の 光を浴び 空の雲は 夕日を照り返して ほんわかした 柔らかさと 優しさに包まれる 穏やかな夕暮れの …

行灯のなか

ぼーっと生きるなと 叱責されたとて 本来 人はだれしも 楽に生きたい 好きに生きたいと 望んでいる それが叶わぬため 朝から満員電車に乗ったり 日が暮れるまで 仕事をしたり 忙しく毎日を送る 昼行灯のごとき 呆けた暮らしが成り立つなら ゆるやかで すきを…

静謐の闇

静かだ 夜半 物音一つ聞こえず 光一つ差さず 何も聞こえない 何も見えない 目を閉じても 目を開けても 視界は変わらず 闇のまま かつて 小さい頃 不意に起きた夜 同じ静寂と闇に囲まれ これが 死ではないかと 一人 恐怖した いま 感覚は麻痺し 死ですら ただ…

郵便局の他山の石

仕事のため いつも同じ荷物を 郵便局から送る 受付の担当者は たびたび変わるが 一人だけ 彼女のときだけ 料金が高くなる 仕方がないと 諦めていた 何度も同じことを くり返し 郵便を出すための 列に並んでいると 高齢者や 外国人 様々な人が 訪れる 伝票が…

根気強く耕す

乾ききり 割れた大地を 耕して 水を流しては 地に吸い込まれ また 耕して 水流し 吸い込まれるのを 繰り返す 荒れ果て 一度 放り出してしまった大地は そう簡単に 沃土に戻らない 手間を掛けなかった時と手間を 取り戻すため 無駄に思えるほど 苦労を重ね 少…

ルーティーンがあるから

ある人から見れば 羨ましい日常も ある人から見れば 味気ない日々 どんな豪勢な食事や 豊かな生活も 慣れてしまえば 何の贅沢にもならない 同様に 貧乏だって慣れれば 苦しさに耐えられる わたしの日常 同じことの繰り返し 退屈ばかりが 目につくが それでい…

とろとろと流れる

陽の短い夕方に 商店街を歩けば ひとつ またひとつ 灯りが点いて 道を照らす ふるく 店も少ない この通り 木造の雑貨屋に 煎餅屋 白熱灯を垂らし まるで時が止まったように この地に腰を下ろす 白髪で 腰の曲がった店主が ひとつ またひとつと 木戸を渡し 店…

土地の匂い

どこを旅しても 知らない土地に来たと 実感できるのは 観光名所でもなければ 郷土料理の店でもなく 銭湯や バスの待合所 煙にくすんだ焼鳥屋のような 生活がにじみ出ている場所で よそ行きでない言葉を聞いた時 土産物売場みたいな きれいなパッケージが並ん…

香港屋の親父

四畳半に満たない店 四人がけのテーブル1つ ほとんどは持ち帰りの客 香港屋は 中国人の親父が一人で営む 脂ぎったテーブル 小さなテレビ 蠢く羽虫 古ぼけた電球が 照らし出す 小さな額には 母と娘の写真 親父は遠い異国の場末で 一人 今日も鍋を振るう どこ…

頑張れと言うスポーツ

歳をとってくると 運動は楽しみというより 健康への意識が強まる とは言え 楽しみが無いわけでなく 体を動かす快さ 運動後の風呂の気持ちよさ その後の食事は美味しさは いまだに 何ものにも代え難い 好きで勝手にやっているものだから マイペース 人から 頑…