2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

もう詩になんてならない時

働けば働くほど 人が機械に見えてきて 毎日が繰り返す ロボットの生活 朝起きて 飯食べて 仕事して 飯食べて 仕事して 風呂入って 仕事して 飯食べて 寝る 毎日 同じこと 心がやせ細る 悲鳴を上げる 逃げ出してやろう 絶対に逃げ出すんだ そう心に秘め 幾歳…

飲みすぎた次の日は

飲みすぎた次の日は 体動かず 頭も働かず ただじっと 布団の中で 耐えているだけ 痛むアタマ キリキリと締めつけられる胃 体全体のダルさと鈍痛 もう動かない 動けない そして日は傾き 下痢は続き 少しづつ 食欲も戻ってくる 気だるい頭で 飯を食べ 横になり…

言葉の残滓

意識の奥で 浮遊する言葉よ 朧気に光を発し ぼやけて浮かぶ蜃気楼よ 浅い眠りのなか 浮かび上がっては消え 消えては現れる 掴みどころもない だが そこにあるはず 膨大な文字の流れに 流されて溺れて 手からこぼれ落ちても なんとか ひと摘み残った こいつが…

眠りの果てに

閉じこもり ひたすら眠る 眠るために眠り 忘れるために眠り 眠りを貪れば 全ては瓦解してゆく 積み上げたことも 嫌なことも 脱力と睡眠の ブラックアウトが 過去へ運び 虚ろな意識に揺蕩えば 現実は希薄で 精神は綿に包まれる 少しずつ忘れ 少しずつ失い 快…

怒りで生きる

くだらない事に激怒し ちっぽけな自分を 後で笑う 怒りの種は 至るところに蒔かれ 些細なきっかけで 芽を吹き肥大化する つまらなくて 退屈な日常を送るほど つまらないことに イライラする 暇を持て余す時 人は暇つぶしのためにさえ怒る 怒れば怒るほど エ…

サンチョ・パンサに生まれて

人は誰しも 自分の人生を持つ わたしだけが主人公の わたしだけの生 だけど世間では 皆が主人公になれるわけじゃない ドン・キホーテになりたくても シャーロック・ホームズになりたくても 現実では その読者であるばかり せいぜい サンチョ・パンサかワトソ…

親を看て

ヨボヨボで シワシワの口が くちゃくちゃ 音を立てる そんな人ではなかった 寄る年波 呆ける体 そして頭 みずみずしさを失い 粘土細工のようになって 涎を垂らす この嫌悪を どうすればいいのだ 憎みたくないんだ 悪意を持ちたくないんだ だけど 外で粗相す…

言葉に流れたとき

人という生き物は 猿のごとく いつも群れ 山のてっぺんから 人を見下したいと考える 仲間も家族もいて いがみ合って 喧嘩が絶えず なのに 人と接しないでは いられない 感謝も世辞も 聞き飽きた 言葉は上塗りの 気持ちを隠す道具となって 我々を 混乱させる …

玉を打つ

昼下がりの酒場に 有閑な老人 時を連ね 時を持て余し 時より逃げる人々よ 酒飲み 玉を打ちに出て 金だけ奪われ 自棄酒を喰らって また玉を打つ 他に生きる喜びがないほど 働いては玉を打ち 飲んでは玉を打ち 酔っては玉を打つ 銀玉が釘の間を抜け ただ落ちて…

騙されたほうが悪い

この世の商売は 得になるのは大きく書いて 都合が悪いと小さく書く 気づかず 買ったら 大損こいた 文句を言っても 後の祭り 騙されたほうが悪い 騙されたほうが悪い 注意して 世の中を見回して 騙されないよう 生きていく 生き馬の目を抜く今 弱肉強食のビジ…

ほいど

ほいど ほいど わたしも あなたも ほいどです いつでも どこでも 遍在し 流浪する ほいどの民の ほいどの暮らし 誰もがほいど ほいどは盛ん ほいどの音は ほいどに響く ほいど ほいど ほいどの暮らし やがてかなしき ほいどの末路 ほいどの終わりが来る前に …

ちょっと旨い店

ちょっと旨い店に行って 刺身を食べたり 焼き魚を食べたり 煮魚を食べたり 心躍る ちょっと旨いから すごく旨くないから 緊張もしないし 財布の心配もない いつもの刺身より旨いし いつもの酒より旨い 会計はちょっと高い 手の内から 離れた旨さなんか要らな…

過ぎゆく風

もう秋の風が 頬にあたる 湿気なく 空高く 澄んで 気持ちの良い風が 吹くたびに わたしは悲しくなる 美しく 澄めば澄むほどに 秋は深まり 悲しさは増し 年は暮れてゆく 止まらない季節の回転 過ぎてゆく灼熱の記憶 夕暮れ時の風が 今日も問いかける 快適であ…

稀人来たりて

マレビトの来る夜は 薄ら寒い風が吹いて 遠くから 匂いの違う 空気を運んでくる 街から街へ 村から村へ 異端者は 冷たい視線を浴びながら 風を運び 私たちは 違和感だけを覚えて 彼に気づくことはない また視線が あの時の夢が たった今の現実なのに 過去に…

祭りの秋夜

神社に並ぶ 屋台は懐かしくて 神輿を担ぐ 荒くれ者たちは嫌いだ 酒を飲み クダを巻いて 車を停め 道を塞ぎ 乱痴気騒ぎに明け暮れる 逃げるように 屋台に紛れ込めば たこ焼き 焼きそば ソースが焼ける 哀愁の匂い 白熱灯に照らされた 金魚すくいに射的 ノスタ…

ネット怨嗟

どうして悪口ばかり言うんだ 匿名の世界で 威張り散らして 関係ない人間にまで 不快と嫌悪を与えて 否定と罵倒の連鎖 わけも分からず 仲良くしようってのも 気持ちが悪いが 口を開けば 罵詈雑言で 何がしたい 鬱屈はどこにある 吐き出したい本当のものは何 …

怨恨の復権

怒りも恨みも忘れて 過去にこだわらないで 前を向こう そんな言葉ばかり 聞いてきた 偉人の成功譚も 成功者の逸話も くよくよしないで 前へ進め 人を恨むな 引きずるな 今の世は 生産的な振舞いが大好きで 成功こそが真の人生らしい 笑わせやがる 人々の怨念…

嵐の中で

電気は来ない 水は穴から汲む もう何もない だから何でもあり 枝を拾って 火を焚いて 燃やして 煮炊きして ドラム缶で 風呂に入って 非日常が 楽しくて仕方がない 仕事も休んで 携帯も見ないで 毎日 キャンプで ファイアーで 原始の祭りで 盛り上がる 夜は …

哀怒小景

今日も裏道で 猫が喧嘩をしている 女将さんは 子供を叱りつけ 枯れた植木鉢が並ぶ道を 熱波が通る 砂と埃と トタン屋根の長屋 人情なんて作り話 怒号が飛び交い 泣き声が響く カラカラに干からびた 人情と財布の中身 ゆとりも潤いも 要らない 腹に含むところ…

思いつきのままに

飛んで 跳ねて 脳裏に浮かぶ 音を浚って 動いて 狂って 理屈なんかじゃない 説明は要らない 言葉の音感と戯れて イメージだけで浮遊する あいうえおじゃなくていい ABCじゃなくていい 唸って 叫んで 言葉以前の 気持ちよさに迫って 布団の中で くねくねしな…

フーディーニの後に

奇術と魔術で 抜け出して どこにも いなくなってしまった 霊は いつまでも降りてこない 影を 形を 操って 全てをなくしてしまったよ 横の者の寝息 いびきの音さえ 途絶えた 何かが変わる 何かが起きる 予感の中で 詐欺師は 狂い踊り やがて 便利で つまらな…

宝探し

どこかに埋まる黄金 一攫千金の欲望 少ない元手 独り占めの報酬 楽して得る大金 逆転の人生 そうして幾年月 宝など 見つからなかった それでも 続ける宝探し 心は 半ば諦めていた ダメでも 仕方がない このまま 人生が終わるかも知れない それでも いいんだ …

チューイ チューイ

ネズミが喋れば チューイ チューイ 先生が喋れば チューイ チューイ 中尉が喋れば チューイ チューイ 何をやっても チューイ チューイ 適当で 臆病で 欲張りで 権威に弱く 弱者に強い どこにでもいる 私の中にも チューイ チューイ 咳をしても チューイ チュ…

擦り切れる

心が擦り減って うんともすんとも言わない 風の匂いも 季節の変化も 夕暮れの喧騒も 人の心のざわめきも 何も感じない 疲れ切ってしまった 疲れて 擦って擦って 擦り切れて 生きながら 彷徨うゾンビ 何も考えず 同じルーティン 考えたくない 悩みたくない 興…

料理屋の親父

かつて 一流の料亭の 立板だったのに いまは 場末の露店で 200円 300円の 惣菜を売っている どんな気持ちなんだろう 過去は 彼に何をもたらしたのか プライドも萎え 肩を落として トボトボと現実を歩むのか 昔にすがりついている だからこそ 生きられるのか …

フライング オーバー ミルクティー

またションベンを漏らしちまった パンツの横から 垂れてきやがる 太ももに流れる 黄色の涙 汚くって 臭くって 泣けてくる 道の上にて カラスが鳴けば ションベン流れる パンツの中 オレの蛇口は ガバガバで いつでも どこでも 垂らし放題 風呂の中でも 浮浪…

ごまかしの無いところまで

チンケな言葉 陳腐な言葉 心とは真逆の 薄ら寒い その場しのぎの言葉 作り笑顔で 話せば話すほど 嫌悪を乗せて飛び交う お互いに 嫌いと分かっていながら 世間話に興じる 付き合い 場の空気 和 どれも嫌いだ 嫌いでなくてはいけないんだ 後からどんなに旨味…

懐かしく 思い返せば 有難く 近づけば 近づくほど 面倒で厄介 心に思う師は 美しけれど 生々しければ アク強く 現実では 一介の人 遠く眺め 過去を思い 美化した時代の 残り香を嗅いで きれいな心で 尊敬だけしていたい 願わくば 嫌な気持ちを持ち込まず あ…

詩の言葉

意味 共有 伝達 便利な言葉 意思疎通の日常 使えば使うほど 記号化され 論理だけが残り 感情はおいてけぼり もはや1と0の デジタルと変わらない 理によって まかり通るビジネス でも心は 理屈で納得しやしない 夕陽がきれいなのも 空が青いのも 季節が変わ…

腰の重さ

変わらない 変えられない 変わりたくない 確固たる自分のなさに 戸惑いながらも 変革には いつも臆病 ぬるま湯が好きで 重い腰が上がらない 変えたくないし 変わりたくないのは 臆病者の証か そのまま 数年 数十年 同じことばかり続けて 考えも変わりはしな…