2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

出かけます

1週間ほど出かけます。

落雨

しとしと雨が 降り続ける夜は 湿った音を 聞きながら 薄いヴェールに 守られて 安らかに 眠りにつく オルゴールにも似た 雨音が 止むことなく 耳を打ち 心地よく響いて 余計なものを 洗い流す わけもなく 疲れた夜 寝るだけの 暗い部屋に 降り続く雨は わた…

yahooブログも終わりゆく

ダムの底に沈む 村のように 閉鎖が決まった ブログは 人がいなくなり 風荒の気配漂い それはそれは 寒々しい 町や村がさびれ 廃れるのと同じく ネットの世界もまた 集中と過疎を起こす 人の移動があり 今ここで ブログを書くということは みんな都会に出てい…

思い込み、思い込ませて

緊張と弛緩を 繰り返し ついには マンネリに埋もれ 年老い 朽ちゆく 同じことの反復を どれほど正当化しようが 意志が介在し 上達を志向しないかぎり 反復は マンネリでしかない 何をするか 何ができるか そればかり考えて 拙い頭で算盤を弾いた挙句 いつの…

酷使してだらける

楽天的な まあるい世界であったなら 人々は笑い 健康の下に働き 幸せを謳歌し 一つの不満も持たない そんなわけあるか どれほど満たされようが どこまで満たされようが すぐに慣れて 飽き足りず もっともっと 貪欲に求めて 今に不満を持つのが 人間だろう も…

即解を離れても

葛藤の解放 解答の確保 美辞には常に 妖しさがつき纏う 安堵を手に入れる 楽になりたい 楽になりたい あああ 楽になりたい そして 掴んだ安寧は 安直でしかなかった 早く 速く 誰よりもはやく 効率への戦略は 即答を渇望し 常に答えを とにかく解決を求め 自…

自分のことばかり

気がつけば 自己語り 隙きあらば 自慢話 恐ろしいほどに 強い自己愛 どうにも止まらない 周囲を見回し 空気を読み 恐る恐る 一歩を踏み出した はずだった いつの間にか 面の皮は厚くなり 御身大事が 隠しきれず 甘い汁を求め 人から人へと飛び回り 欲望を満…

山を越えて

どんなに小さな生活にも 地味な暮らしにも 山も谷もある 一つの山を越え 少しだけ 見晴らしを楽しみ 下ってゆく 何を得たか なぜ登ったのか 終わってしまえば 余韻に浸っている時は少ない 下りながら反芻し また登るのか 己に問いかける 登る動機などない た…

乗り遅れ

また乗り遅れた 夜行列車に あと一つの弁当 あと一つの飲み物 そんな小さな欲望のために 大切な列車に 乗り遅れてしまった ゆっくりと 走り出した列車 階段を駆け上がり 白い息をはいて見送る テールランプが ゆっくりと糸を引くように 消えてゆく ポツンと…

渡世節

東の海には 宝の山 西の山には 豊かな実り 渡世の波は 高く厳しく 嵐もあれば 雨も降る ほいっと ほいっとよ どんな辛苦も 受け流し 粋な酒で 忘れちまえ ほいっと ほいっとよ 死んでも忘れぬ 親子の情が グデングデンに 絡まって 喧嘩だ殺しだ おおごとだ …

父猫老衰

ガラガラと へんてこな寝息を立てていた猫も とうとう 動くのが億劫になり 餌を食べる時でさえ のろのろと 怠惰をむさぼるごとく 体を引き摺る しなやかだった四肢は硬直し 黒毛の中にも白が目立ち 色艶は悪く 表情も固い いびきを立てて 息が妙に臭く 一日…

頭の中の羽音

いつも 気がつけば 頭の中に 鳴る音 鈍く 低く 止まることなく 耳の裏側で 何か飛んでいる 振り払っても 振り払っても 消えはしない 羽音は 常に頭に響いて 気にかければ 気にかけるだけ わたしを悩ませる それでもなお 消えることを願うなら 今度は 私を狂…

貴いもの

愚痴を言うのは簡単で 噂話も陰口ばかり 人にケチをつける 文句を言う 罵る 重箱の隅をつつく そんなことばかりやっていたら 人は生きるのがつらくなってしまう どこか なにかしら 見上げるもの 憧れの対象を求め 親愛を示して 近づいてゆきたい 今ここに 血…

わたしが逃げてきたもの

なぜ なぜなんだ うまくいっている 悩みも 苦しみもなく 幸せの下に 暮らしている今 なぜ 遠い遠い昔の 忘れていた過去が 悪夢となって 蘇るのか 消えかかっていた薪を ほじくり返して 再び火をつけようとするのか わたしの過去は なぜわたしを解き放ってく…

嵐の過ぎた夜

嵐の過ぎた夜は 静かに ただ静かに 凪いで しっとり湿った空気が流れて おだやかに 物音一つせず 何も起こらず 誰も動かない 懐古も 述懐も 生々しく ただ嵐の過ぎた その余韻に 世界が浸っている 力を使い果たし 羽を休め ボロボロの 姿見せることなく どこ…

徹夜仕事

こんな日は 頭に霞がかかる じっと俯いて 作業をする 眠く だるく 黙々と ロボットになったように 手だけ動かして 声を出すのも億劫で 何も考えたくない 高い音が 脳髄に響いて 疲れは ますます募る イラつく元気もなく 放り出す度胸もなく 頭の隅で 体を想…

挨拶なんて

便利だね 楽になったね 食べ物には困らないし 知りたいこともすぐ検索 欲しいものがあれば ネットで注文 自分の部屋にいて なんでも出来るね 面倒くさい 厄介事はさようなら 町会費もいらないし ゴミ拾いもしなくていい 集会場の掃除 入会地の草むしり いら…

ご機嫌な不審者

昼下がり 公園のベンチで 一人酒を飲むオヤジ 風が吹いて 緑がそよぐ 気持ち良い初夏 オヤジは ワンカップの焼酎 ご機嫌で 鼻歌を歌う ヨレヨレのシャツ ボサボサの頭 陽を浴びて 照り帯びる顔 花見の終わった公園を 謳歌する横には 子どもたちがやってきて …

力は必ず下に

上に上れば 上るほど 不安定で フラフラで 見下ろす景色はきれいでも 支えてもらわなければ 何もできなくなる 重力は下へ ズンズンと下へ 重たく のしかかってくる だから 下に生きるもののほうが 足腰も強いし たくましく 生命力がある のしかかってくる力 …

心臓は動いている

ああ どうしても 心臓は動いている 息を止めても 眠らなくても ご飯を食べなくても 心臓は動いている 息がつまり 眠気に襲われ 空腹に苛まれて 自虐の天の邪鬼は とうとう根尽きて わたしは 心臓とともに 動き出す 何か考えても 何も考えなくても 心臓は動い…

得体のしれぬ声

遠く 声が響く 見えない どこかから 唸るような 叫ぶような 快哉か 激怒か 咆哮か 呪詛か 霞が垂れ込め 外は肌寒い 霧中を響いて 声は丸まり 様相も曖昧に 溶けかかる だが 声だけが 聞こえてくる 何かも どこかも 分からないのに 耳に届いて 消えず 人と獣…

溶けろーけろーけろー

蒼い空に白い雲 不思議な踊りで1.2.3 私はハゲで進んでて 行くまで行って知らないよ パピぱぴぷぺぽ ぱぴぷぺぽ バビばびぶべぼ ばびぶべぼ 猫がにゃあにゃあ にゃんにゃんこ お日様てって 気が向いて 頭が剥けて ひっひっひー もう少し もう少し やっ…

迷には忙

やってくる 猫の手も借りたい忙しさ 朝から晩まで 仕事 仕事 仕事 誰とも会わず 誰とも話さず 砂を噛むように 飯を食い 疲れきるまで起きて 少しだけ寝る 山のような作業 耳かきで削るような消化 やらなければ なくならない 年に数度の 恒例行事 この時だけ…

人を負に動かすもの

誰だって 悔しかったり 妬ましかったり 羨んだり 恨んだりするでしょう 誰かを呪ったり 殺してやりたいと思ったり するでしょう それでも なかなか殺さないのは 今を生きていたいからでしょう 差別され どん底に落とされて もう生きていられない こんな私に…

憧れの死に方

小さかった頃 人が死ぬと知った時 こわくて こわくて 夜も眠れなかった 自分が死ぬのも 怖ければ 家族が死んでゆくのも 耐え難い だけど 死は必ずやってくる どうしよう どうすればいいんだ 考えて 考えた挙句 願うようになったのは もう死ぬという最後の時 …