わたしが逃げてきたもの

なぜ
なぜなんだ

うまくいっている
悩みも
苦しみもなく

幸せの下に
暮らしている今

なぜ
遠い遠い昔の

忘れていた過去が
悪夢となって
蘇るのか

消えかかっていた薪を
ほじくり返して
再び火をつけようとするのか

わたしの過去は
なぜわたしを解き放ってくれないのか

あわれな私の姿
苦悩の枷を

どこまでも
いつまでも

わたしに突きつけて
前進を阻む

深夜
布団の中

一人
冷や汗にまみれ

また思い出す

もう戻れないのに
終わってしまったのに

わたしの過去は
終わっていないと言う
忘れるなと言う

なぜ
どうして

わたしの意思に
逆らうのか

わたしを後ろに引きずり
呪いをかけるのか

わたしが
逃げてきたものから

わたしは
逃げられないのか