2020-01-01から1年間の記事一覧

出かけます

年始まで出かけます

波の反復

言葉も 精神も 生活さえも 行っては戻り 戻りては行く 立ち止まり 淀み 思い直して 繰り返し 右往左往と 反復の果てに 訪れる 微小な変容と 崩壊の兆し 同じであって 同じでない 同じくしても 決して 同一には出来ない いくら停滞だとしても 停滞すら維持で…

終夜運転中止の年

ああ面白い たった一日 電車を止めて どれほど 病気が流行らないと 言うのだろう この都市では いまだ 実際の効果よりも 精神を引き締めるほうが 大切なのに違いない 行政が 精神を縛るなぞ やっぱり 戦前と変わらないじゃないか たった一日 レインボーブリ…

エリート左翼は右翼より嫌いだ

権力批判が ただの誹謗中傷に成り下がり 感情の捌け口を求めて 攻撃対象を探す輩の いじましさ ノンポリが批判されたごとく 傍観者は糾弾され 味方でなければ 敵でしかないと 活動を 先鋭化させ 間口を狭め 鋭利になればなるほど 全体は脆弱になる 人権も 生…

実りのとき

巻いてきた種が 育ち 実り 刈り取る時期が来る 植物と 大地と 太陽に すべて任せ 傍観者として そこに立ち ハラハラしながら 見てきた 作物が育つのは 当たり前だが その当たり前が 為されるまでは 不安で 心細くて 心配事ばかり 今は 無事に実ったことが 有…

都会の腹わた

凍てついた 街の夜に 酔っ払いの叫び声が 響いていた かなしく 切なく 人情などない 都会の盛り場には 今日も 騙された人たちが 怨念を抱きながら 眠りについている その突き放された 冷酷と無常が 一人ぼっちの寂しさに混ざって 人を限りなく 孤独にさせ そ…

不意に堕ちて

場末の酒場に 転がっている アルコールの入った 刹那の出会い 見ず知らずの 通りすがりと意気投合 飲んで騒いで あとに残るは 頭痛と後悔 愚行 だったのか あんな関係を 切り結ぶ その 生産性のなさを 望み 期待してはいなかったか ああ ダメになりたかった …

一人の世界で

余裕なき者の 視野は狭い 風景は 彼の前を 通り過ぎてゆき 彼は それに気づけない いつの間にか 木々の葉も落ちていた 日は短く 行き交う人も足早 彼だけが 取り残されているのだった 一人 飽和した時の中を漂い 外界を遮断として ひたすら逡巡していた 行き…

綱渡りの今

日常が戻る 常日頃 ないがしろにしてきた 何気ない暮らし 今は 景色が変わって見える 何もないから 無意味なのではなく 何もないから 良かったのだと 思い直せば 日々は常に 漸進の中に在り 崩れないように 守ることが 今は 一大事であるように 綱渡りをして…

呆然言失

言葉に乗る心よ 心砕ければ 言葉にならず 言葉出なければ 心も崩れる 荒んだ心に 染み入る言葉が 見つからない 言葉に救われてきたはずの 心も 動かなければ 言葉を跳ね返してばかり 心身が現実にあり あとから身につけた 言葉の限界を むざむざと 思い知ら…

惰眠

何もやれなければ 寝るほかないのだ 寝て 守る 寝るだけで 時をやり過ごし どうにかなってしまいそうな 現実を 受け流す ただそれだけで 精一杯

心の芯

何もせずとも 疲れる時はある 心の有り様を保つだけで

無学のかなしさ

大事な人が 生死をかけた手術で 入院する 当人が 本を一冊 持っていこうと 思案している中 私は 何一つ 勧める本が 思い浮かばない 日頃 本が好きだの 言っていながら 大事な時に 何も出来なかった 私は 己の無学を恥じた

死別の匂い

何度も 身近な死を 経てきても 遭うたび 死の趣は異なる 個人の生に まとわりつく 因縁が 死別の様相を 描き出す もうすぐ死ぬ この人は 大事な人であった 死を前にすれば すべての時は 貴重で 残り少なくなるほど 手元に残したい 衝動に駆られる 今日より明…

葛藤思案

悩みなき日々は 解放によって もたらされ 解放感を味わうために あえて 閉塞へ向かう心あり 悩みは 己で生み出すもの 安寧の軽薄さに 耐えきれず 心の落ち着く 場所を探しては つねに 苦悶を探し続ける 何ということはない 悩みへ耽溺し そこにある 心のスト…

のぼせ唄

湧き立つ湯気を 上に見て 湯船に浸かる 心地よさ 入っては出て 入っては出て お湯を楽しみ 時は過ぎ 体の隅まで 温まり 汗は流れて 汗は流れて 名残惜しいと また入り 己の限界 身に受けて 目が回る 目が回る 風呂から上がり 佇んで 汗が引くまで 座り込む …

古き湯の灯は落ちて

最果ての 海辺の村に 湧く古湯 終わりを迎えた 共同湯には 今日も 漁師が集い 疲れを癒やしている ヒバの香り漂い 白濁した 湯船に立ち昇る 蒸気に身を晒し 壁一枚隔てた 凍てつく冷気に 身を守ってきた 古びた木の浴舎は もう役目を終える 隅々に染み込んだ…

啄木を思えば

真面目だ この国は 文学も 芸術も 真面目で 固くて 作品も 人も 型破りなのは わずかに残る老人のみ 過去の破天荒な 変人の精神の残滓がなくなれば 言葉は 人の拠り所として地位を失い 社会に奉仕する存在としてのみ 機能することになる 人として生まれ 社会…

国のはずれでも竹槍を振っている

疫病に抱かれても 人は強く たくましく どこであっても 生きて 暮らし 同じく 弱々しい精神で 不安や疑心に怯え 眼にも見えない存在を 警戒しながら 監視と恐怖からなる 同調圧力の紐帯を組み上げ 居心地の悪い 共同体を形成していた そこには エゴと エゴを…

出かけます

出かけます 一週間と少し

旅へ

枯れ落ちた余生に ひと時の潤い 旅へ 何を求めるでもなく 希望など抱かずに 飽いた人生の 隙間に 体と心によどむ 空気を入れ替えて また 生きられるかもしれないから 逃げ出してみよう

透明な闇

いつ どこにいても 追いかけてくる 不安とも 恐怖とも 形容しがたい 黒い影 逃げた どこまでも 振り切りたくて 逃げ続けた 前を向き 空を見上げ 命の躍動を 明るい世界の光に向かって 走り続けた それでも 影は 気がつけば 頭の隅に あるのだった いつしか …

たどり着いた平穏

幾度の辛苦を 乗り越えて 息も絶え絶えで ここに至る 目の前の 平穏な水面 波も風もなく 時は止まっている 恐ろしい静寂と 過ぎ去った苦難が 不安を呼び起こす これでいいのか もう何もしなくて 良いのか 安寧に戸惑い 心の依りどころが わからない 奇妙な穏…

うらびれ酒場

うらぶれた街の隅では 今日も 酒飲みが蠢いている ボロボロの体に 流し込むアルコール 精神は 麻痺することで 救われる 立派な身分 稼げる仕事 きれいな家に 健康な家族 何一つ 持てない人が ここでは主役 世間体など あるわけがない 世の中の あらゆる価値…

動く体の悲鳴

師走の忙しさを誤魔化すため ひと月前に 酷使する無慈悲な組織よ 人が生きるための糧を 人が死なない限度の労働と交換する 生きる意味は どこにあるのだろう 耐え難きを耐え 忍び難きを忍び 体が動く限り 休ませず ボロ雑巾のように 使い潰す こんな世の中に…

遠い夢

もう流れた いまは動けない 力が抜けてゆく 魂は遥か彼方 何もない 力も 精神も 空っぽ 堕ちる寸前の 意識の中 あの景色が 風そよぐ 草地に 青空が 果てまで広がる いつか見た夢 届かない夢 夢を見て 時を潰す もう眠りにつくから

言葉のパワーゲーム

軽口をたたき 突然とがめられ 押し黙る 何度繰り返したか 言葉の遊び 軽やかさは 許容精神なくして 認められない 遊びたいから 遊ぶはずが 相手の心を 窺うために 言葉を弄す 挑発とからかいの背後にある 人間同士のパワーゲーム 巻き込まれた言葉は ただの…

ゴミ溜め人

レジ袋が有料となり 気兼ねなく 使っていたはずが 価値をもった 2円3円の袋を 大事そうに溜め込み 山のようになっても まだやめない 価値ある財産のように 取って置いても いまやゴミの山 身動きすら取れず 邪魔になるばかり だが使わない もったいなくて 使…

オカルトフレンド

ああなぜ 変な人ばかり 近寄ってくるのだろう 健康の話が オーガニックの話題となり 心の健康へ転ずれば すぐに スピリチュアルの話 イエスもモーゼも ブッダも日本に来ていたなんて どうやって 信じればいいのか 偏見に囚われない オープンマインドで 物事…

テクノロジーに巻かれて

テクノロジーを 使いこなすため どれほどの労力を 費したことだろう 登録のトライアンドエラー 繰り返すチェック 何度も何度も 見返し 同じ行為に至るも 変わらず 膨大な時間と 敗北感 どうせ どこかに見落としがあるのだろう だが 見つけられない 分からな…