2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

誰のために生きるか

自分を殺してまで 世の中のためになんか 生きたくない 自分のためだけに 世の中と隔絶してまで 一人では生きたくない 自分を捧げることを 強要されるくらいなら 犯罪者になったって 拒絶する それなのに 世の中の 誰かのために生きたい そんな思いは どこか…

バックネット裏の選手

当事者として グラウンドに立つはずが 口の達者な部外者に 取って代わられ 控えにもなれず バックネット裏で チームの試合を 傍観するしかない 自分のことなのに 下手だって 見苦しくたって 当事者として ケリを着けたいのに 舞台に立つのを 許されない 巧妙…

惰性運行

汽車は 終着駅にたどり着く ガタン ゴトン レールの分岐を 足元に感じながら ゆっくりと ホームに近づく汽車は 惰性で走り 体を左右に揺らす もう加速などしない ダラダラと 終わりを惜しむように 滑っていく 遅くても すぐに たどり着いてしまう 全ては 過…

キモい

キモいって言われたら 体の芯が硬直する キモいって言われたら 脊髄反射で憎しみが湧く キモいって言われたら 何も考えられない 軽蔑や忌避 生理的嫌悪感を なるべく 論理から逃れ 感覚的に 直情的に 煽動する言葉 言葉であるのに コミュニケーションを拒絶…

走れ

危機は再び迫る 走れ 力の限り 走れ 振り返らずに 走れ 考えず 光明がやってくると信じて 走って 走って 走って 一筋の光を 見つけろ

コロナのせい

コロナのせいで 廃業した コロナのせいで 職を失った コロナのせいで 収入がない コロナのせいで 大変なことも耐えてください コロナのせい コロナのせい コロナのせい コロナのせい どれほど どん底に突き落とされても 生きる術を無くしても コロナのせいに…

心の石ころ

頭がいいとか悪いとか 誰かに言われて 得意になったり 不機嫌になったり たいしたことじゃないけれど 言われりゃ気になる 気にしてる 人の評価 つけるのも つけられるのも嫌 だけど 逃れられない 出家して 山籠りして 人と会わなければ 新たな葛藤は起きずと…

生存而無気力

生き残った 恐ろしい嵐は 通り過ぎた 何も出来なかった 不毛も無意味も思わない 生き残る以外 必要なことなど無かった そして 今は 何をしたら良いか分からない 生きていられて 景色を眺める余裕もある もう何をしてもいい 束縛も暴力もない それなのに 何も…

惰性終結

一つの山を越えた 今日は 流れに任せて終えるだけ 緊張は解けない 疲れも抜けない ただ これまでの辛苦を思えば 今日の作業は 恐れるに足らぬ 嵐の中にいながら 西の空は もう明るい もうすぐ陽が差す あと3時間もすれば ピクニックにも行ける 噛み締めなが…

木曜日

まだ終わらない 嵐中の四肢 耐えて 耐えられて 耐えかねる一歩前 あと一日 もうあと一日で 耐えてきた 今日を耐えれば あとは最後の山 ボロボロになっても 抜け殻でも 最後の一日ならば 惰性でなんとかなる だから 大事なのは今日 お終いの明日より 明日があ…

耐苦

今はまだ嵐の中 目を閉じ 飛ばされぬよう しがみつき 歯を食いしばっているだけ 踏みとどまっている まだ終わっていない 緩めなければ 生き残れるはず このまま 我慢比べ 死を前にしても 思考は戻った これを前進と言わずして 何とする

嵐中

耐えろ じっと 飛ばされぬよう 挫かれぬよう しがみつき うずくまれ 嵐が去るか 己が死ぬか どうせ二択しかない 生きていれば勝ちさ 逃げ 隠れ 目を閉じ 歯を食いしばって 耐えろ 今は耐えろ 創意も 工夫も 今は要らない 前進しなくていい 生き残れ それだけ…

進行

進む 惑う隙なく 止まることなく 進む 考えず 進む 一歩 また一歩 止まれば終わり 歩まなければ 死ぬ だから 進め 何も考えず 思わず 悩まず 進め 命を賭けて 自分を賭して 進め 他に何も選べない ただ 進んで この窮地を 抜け出すまで 止まることなく 進め

グランドデザイン

大きな枠 刹那の積み重ね フラフラと回り道 方位磁針はない どこに向かっているのか 五里霧中の逡巡 時は過ぎる ぶつかった壁を いくつも越え ついには 越えられない壁に当たり 道を違え 別の方へ それでも 散開していながらも 包み まとめ 崩壊をつなぎとめ…

河口付近

産むと決めて 川を上る その前 蓄えた体で 河口付近に揺蕩う 命を賭けて 走り出す 覚悟を決める時

許せない矜持

素晴らしいものを残すのは 才能があるからではない 愚作を出さない 惰性に流されない矜持 雑多なおもちゃ箱 次から次へと出てくる玉石混交 選び捨てる 絶対に駄目なものは出さない 人の眼に触れさせない こんなものを 世に残すことは 自分が許せない とてつ…

腐った鯛に花が咲く

野良猫が運んできた 鯛の兜は 片隅に放り出され 腐り果てている 春が来て 腐った鯛の目玉から 草が生え 緑が茂り 花を咲かせた 根は 鯛を覆い 跡形もない 白い花が 風に揺れて いづれは 散ってゆく わたしは この転生に 組み込まれるのだろうか

ザイルを離すな

どれだけ苦しかろうと 手放してはいけない 崖の途中 捕まるところなく 握力も果てた このザイルを離せば 崖下へ真っ逆さま だけど 離したい こんなところで踏ん張って 何の意味があるのか 苦しいだけ 楽になりたい 強風に煽られ 寒波に睫毛も凍る 地の果てで…

不感走

何も考えず 何も感じず 振り向かず 休まず ただ走る こんな時が 積み上がっている

匿名のユートピア

いつもやってくる 身体障害者 誰も手助けしない 而して邪魔をしない 騒ぐ子どもたちを 皆笑ってみている 年老いた親の 背中を流す子 妹の髪を洗う兄 誰もが勝手で 誰もが居られる 誰の名も知らず 気にも止めない ただ雑多で 桶の音が響く 権利だの義務だの …

クズのたどり着くところ

誰にも同情できない 己を憐れむだけの 可哀相なクズよ この世界で 数万数億の人が死に 星の数ほどの 不幸があろうとも 自分が 一番不幸だと思っている 他人の幸も不幸も 眼中にない ただ己だけ 隣で人が食われていようと 髪の毛に火がついて 皮膚をも焦がす…

お前はお前を捨てた

月はずっと見えていた だけど 月に行ったのは 月が見え始めてから 何十億年も経ってから 火星や木星に行くのは 一体いつになるのやら 見えていたって 届かない 分かっていたって 出来ない それは理不尽じゃない 分かりきっているけれど やらないだけ 心の傷…

残ること消えること

生活の痕跡を抹消したい しかし歴史に名を残す 何かを為したい 恥ずかしい記憶にまみれ 消したいことは山ほどあれど このまま 何もせずに消えるのは 忍びなく 自分の生を 確認する証を 一つでも見えるように たとえ人が褒めそやす 立派なものでなくとも この…

痺れ

飲みすぎた翌朝の 体の痺れは 何なのだろう 四肢に力が入らず 頭も回らない ただ 時が過ぎるのを待つだけ 胃は重く うずくまっている 命が 止まっている 前も後も向けない 停止 強制する痺れ 絶望的な不快 気だるさ 倦怠 酒臭い息 しょぼくれた眼 記憶喪失 …

ジロウ礼賛

気がついたら 違和感に苛まれていた 痒みは 徐々に痛みへと変わる 幾年月 核は肥大し もう無視できない 血が滴る 耐えられない痛み 自分の体だと開き直り 一筋の信頼に賭ける ダメだった 穴は二つ さらに一つ開いた 体液が滴ってくる 悪臭が漂う 開いた穴は …

友への哀歌

大病に苦しむ友よ いま思い出す 人生の曲がり角 あの日 同じ風を浴びた 同じ空気を吸った 良い時も 悪い時も 傍らに座っていた お前が もう この世からいなくなってしまう 抗えない 命の定め 騒いでも 悩んでも 仕方がないのだ ただ 見守っていることしかで…

夢の間

歳を取り 体は動かない 日がな一日 床に臥せり 大半を寝て過ごす まどろみに 見る夢は 現実よりも はるかに鮮やか 見る度に 風景は変わり 記憶の底から 喜怒哀楽が流れてくる 夢のほうが楽しい 夢のほうが現実味がある 呆けた頭で ひたすら夢を見る 夢こそが…

用意あり

平穏な心であれば 良い詩は書けぬ 苦悩 葛藤 嫉妬 怨恨 頭の中に 苦々しい感情が渦巻いて 悩み苦しみ 耐え難き心理のなかで ようやく吐き出す このままでは 生きていられぬ 狂ってしまう思いが 溢れ出る 生きるための所業としての詩 自分が自分であるための …

窃盗禍逆上節

コンビニの 傘立てに置いて 5分 店を出るときには 盗まれていた 所詮はビニール傘 取るに足らないもの それだけに 取った奴を 激しく 殺したくなった つまらないことこそ 逆上のきっかけ 熟考も 検討も要らない 分かりきっている 剥き出しの感情 燃えて 燃え…

観世相抄

混迷深まる今 見えない不安が 見えない緊張をかき立て 暴力が暴発する 空気は 真綿で首を締める 世論は 攻撃性を増し 怒りと抗議が 国を埋め尽くし 精神は破綻し 思索の壺からは 髄液が流れ出るだけ ただ現実が 現実であることだけ 今を生きて 世界の傍観者…