2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

悪掌の上

病院に行く度 検査検査検査 同じことを いつもやらされて 金を毟り取られる 彼らが必要だと言えば 逆らえない 彼らは彼らの持つ 権力を振り回す 毎月 血を抜いて 診断で 世間話して 何の意味があるのだろう 何年も 言われるままにしてきて 病院を変えた途端 …

エアポケット

山肌を縫うように歩き 奇妙な細道のトンネルに入る トンネルを出ると 崖に囲まれた お花畑があった 閉じられた世界の 小さな天国 偶然に迷い込み 出たら 二度と戻れない 世界は偶然の賜物で 殺伐としていながら 隙間がある 隠れ家で 休み 遊び また出ていく …

残り寿司

折に入った握り寿司は 冷蔵庫の真ん中にあった 食べられて まばらに残る寿司たち 口に含めば シャリはカチカチ ネタはカサカサ 干からびた 生物を食べているようだ 乾いた口に ガラスのコップから 水を含めば 哀愁が染みわたる 一人 残飯を食う夜 風はまだ冷…

コロナの歌

不安あっても 熱出ても うがい 手洗い 引きこもり 病院なんて 行けないよ 僕にできるの 寝てるだけ テレビは騒ぐ 煽られる ほとんど死なない病気でも 不安が人を駆り立てる チャンス到来 煽れば尊し 教えの庭にも ウイルス拡散 北の国では 全校休校 パニック…

140字の言論サーカス

世の中が 騒げば騒ぐほどに 気持ちが軽くなる お祭り騒ぎを眺めているだけで 興奮と熱狂に当てられて 自分の外に 大事なものが あるんじゃないかと 妄想に囚われる 本当は 何もありゃしない 退屈を紛らわす 舞台装置が回っているだけ 大声に耳を傾け ギンギ…

困惑気

ああ今日もまた ウイルスが増え続ける お祭り騒ぎの男たち もっと騒げ もっと踊れ 危険だ 災いだと はしゃぎ回って 混乱の炎を 焚きつける いやいや そんなことはない 騒ぐものではない インフルエンザと一緒 人は死なない 感染者は 1億のうち 100人ちょっと…

愛ってなんだ

人を愛したことも無ければ 人から愛されたこともない 欲望 セックス そればかり 愛ってなんだ 平和で穏やかな 世界を彩る 言い訳みたいなもんか ワガママの自己中を リアリストだの 現実主義者だの言う そんな言い換えと 似たようなもんか 命を所有物にして …

殺害を想う夜

存在を抹消したい人はいますか 殺したい人はいますか 自分の人生を差し出してまでも この世からいなくなって欲しい人はいますか 深夜 悪夢から起きて 暗い過去を 闇の中に省みる あいつがいなければ あいつさえいなかったら こんな暗闇で 涙を流すことなどな…

猫になった男

絶望して 猫になった 毎日 匂いを嗅いでいる 嗅ぎ慣れた匂いは 落ち着く 飼われている にゃあと鳴けば 飯 好きに食べて 寝る それだけ 楽だ 意味なんてない 考えても 仕方がない 匂いを嗅いで 落ち着いた気持ちで 寝たい

願負

積み上げたブロックを 突き崩す快楽よ 日々コツコツ 雨の日も風の日も 築き上げてきた努力 継続してきた意志 それを一瞬で台無しにする 築いたものが 長大であればあるほど 築く努力が 大きければ大きいほど 壊す快楽も大きい 破壊願望 堕落への誘惑 確実に…

銭湯讃歌

高い天井 立ち上る湯気 大きな浴槽 熱いお湯 風呂に浸かり 解放された 桶の当たる音 せわしなく体を洗う人 多くの音が 天井に上がり 響きわたる 広さ 富士の絵を 見上げながら 四肢を伸ばせる広さ 風呂では 誰もが一人で 満たされて 解き放たれる 心のオアシ…

不調小

どうにもウンコが固まらない 胃腸がチリチリと痛み 臭い屁が出て クソが柔らかい もう一月も ずっと調子が悪い 熱も出た 下痢もした ひどい下痢だった 数日の絶食の後 空腹を覚えた 治ってきた 体が動き始めた はずだった それなのに 体調が戻らない 八割ま…

バビ猫

バビ猫が 今日もいびきをかいている 布団にのそりとやってきて 好きなだけ寝て 気が向いたら出ていく バビ猫は 好きな物をつまむ 酒も飲む いつも酔っ払って 腹を出して寝ている だらしがなくて わがままで 寝てるだけ バビ猫は もうおじいちゃん あまり動か…

破滅願望

現実がままならず 充実もなければ 肯定もできない ならば いっそのこと 壊れてしまえ 社会が崩壊しても 下にいれば 何も変わらぬ むしろ 壊れた隙間から 浮上の機会さえ見つかるかもしれない ぐちゃぐちゃのほうが 面白いじゃないか 今まで虐げてきた人間が …

小火

遠くの国で 起こった熾が じわじわと広がり 海を渡った 火事場見物の趣で はしゃいでいたら たちどころに 火は回った もう笑ってなどいられない 火の粉は 市中を舞っている あちこちで 小火が起こり 逃げる場所もない あと半刻もすれば 私の街も 火に包まれ…

呼びかける者

いつだって どこにだって 闇の彼方から あなたを呼ぶ声が 聞こえてくる ほの暗く か細く 途切れず 隙きを見せれば すぐに あなたの心に届いて あなたの魂を たちどころに 連れ去ってしまう 疲れた夜 うまく眠れず 睡眠と覚醒を繰り返した真夜中 その声は 呼…

病みの終わり

下痢は止まりかけた 空腹も戻った 体が治っていく いままでの 苦しみが嘘のように 日常が帰ってくるという 期待が膨らみ もう地獄など 省みる気もない いまだ 自分に自信が持てず よちよち歩きの 胃腸を抱えて 痺れた肛門を 訝しみながらも 明日が待ち遠しい…

漏れ寸前

布団とトイレの往復 肛門の痛み 下痢に襲われて クソのことしか考えられない 体は脱力 排便も億劫 世界が肛門だけになってしまったようだ このまま弱り果て 垂れ流して 雲呼となって わたしは流れていく 遠い昔 生まれた頃から もっとも嫌厭してきたものに …

下り腹

もう十日も下痢が続いている 食べては流れ 飲んでは流れ 出る出る流れが どこまでも 腹痛に 悪寒 倦怠 体の中身が 絞り出されて 肛門が痛み 空を向いて喘ぐ このまま下痢が続けば どうなってしまうのだろう 体が萎んで 力が無くなって ガリガリの肉棒が一つ …

憧景

思えば思うほど 思う先に 心は寄ってゆく あの空の下 風が吹いて 海を見下ろしていた 空と海の青 芝の緑 南国の 強い日差しに照り輝いて からっぽになれた 何も思わず 見惚れていた あの大地を

時代の波

次々の押し寄せる テクノロジーの波 便利で快適に 少しでも得をするために 次々と 新しいものに手を出して 波乗りのように 今の世を渡ってゆく 楽しいなら 何よりだ だが 疲れてしまう 時代についてゆくのが 義務のように 社会は 変化の要請を 突き上げてく…

心力

打ちのめされ 悩めるほど 良い詩が書けるのは どうしたことだろう 平穏な生活 心地よき精神に 人の心は打てぬ 傷つき 破れ もがき のたうち回る中にこそ 共感と 圧倒を呼ぶ 心のエネルギーがあり 書く内にも 苦しみの最中ならではの 訴えたい 心状を持つ 苦…

拾われて捨てられて

人に良くしてもらった後で 他の人に縁を切られる 不思議なものだ 年度終わりは 何がいけなかったのか 何が悪かったのか 思い起こせば きりがない しかし 切られるのは 納得がいかない 相手が 権力を振り回したい 自分の力を誇示したい そんな風にしか思えな…

昏睡

いつまでも いつまでも 眠り続けて 日は昇り落ち 爪も髪も伸びて 体は沈み込み 時から解き放たれ 体は循環していく このまま 起きずとも 眠っているだけで この世にいられるなら 苦しみとも 悲しみとも無縁に 眠り続けられるなら いっそのこと 死ぬまで寝て…

因果

昔付き合いのあった人に 仕事を紹介される 自分は何もしていない 何も与えていない それなのに どうしてこんなに良くしてくれるのか 分からない どうしていいのか分からない 困惑しているだけ

惰眠の轍

眠りはいつだって 体にまとわりついて 気だるく 疲れ切った精神も ただ眠りという停滞によって 世に舞い戻り わたしは外へ出ていく 疲れては眠り 眠っては疲れる やがて 疲れが閾値を超えれば 眠りはままならず 弱るに任せて 体は萎み 世間は狭くなり 命は尽…

風邪禍

体は正直である 馬鹿をすれば すぐ壊れた 先日の過食から 心身がおかしかった 今にして思えばと言っても 後の祭り 何もできぬ それが辛い

過食振り

過食の幸せは 節制がもたらした 健全と調和を なし崩しにする それに尽きる 未来を向き 健康を慮り 自己管理による 長生きへの一歩 そんな安定と計画性を たちどころに粉砕し 未来など夢見るくらいなら 今の快楽を貪る そして体を痛めつける 今のみに生きる…

心が動かないなどワガママである

心が動かない ときめかない 感激がない そりゃあそうだ 家の中で 寝転がって 寝てるだけ いつものご飯 いつもの布団 いつもの毎日 慣れきった生活に 感激も何もありゃしない 自ら動かずに 心が動くわけない 駅で一番安いきっぷを買って 隣町を歩くだけで 未…