2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

でかけます

一週間ほどでかけます

夢の中の死

安住していたはずの 夢の中でさえ 死が訪れ 恐怖に身を震わせて 目を覚ます いつまでも どこまでも 死は迫ってくる やがて 追いつかれる その日まで 死は すべての人を呪い すべてを覆い 逃げることはできない 夢の中で 死んでいたら 死に追いつかれていたな…

夢の海

あなたは誰 どこから来たの 夢の中で 問いかけた刹那 すべては消え 余韻だけ残った 生まれてきて それ以前の記憶がないことが 不思議に思えるように 実態は無くとも 幻視の記憶をまさぐり あらん限りの 手を尽くして 今に至る道筋を 確かめようとする 夢でさ…

便所の落書きそしてゴキブリ

誹謗中傷はよくない 人を傷つけるし むやみな諍いの元になる 便所の落書きが汚いように ネットの饐えた辺境は 悪口の巣窟 これはよくない そう言って 撲滅すれば良いのか ネットから 汚い言葉を無くしたって 人の心は きれいにならない 人はそんなことで 美…

日常に収まる

退屈に倦んでいた日常が 慈愛に満ち 輝く残照とともに 腹に落ちた時 収まるところに 収まっていたという 妙な納得をした 新緑の森を 心の内に夢想し 道を歩く日々に 怠惰も 堕落もあろうはずがない 見て 考えることなく 夢見て 願うことなく うつつのうちに …

夢の人

夢で会った人は どこか よそよそしかった あれだけ懐かしみ 会いたかったはずなのに おどおどして なぜか気まずく 生きているような心地がしない 機械仕掛けのごとく動き あやしく訝しみ 夢から覚めて 後悔した 命なき イメージに 何を仮託していたのか 夢な…

言葉を弄する

立て板に水の 言葉の羅列 だが 伝わってくるのは一つ こいつが嫌いだ どれほど知的に見えても 多くの言葉を用いても 熟考に欠け 結論ありきの 分かりきった議論など 読むに値しない 右側も 左側も はじめから 敵か味方か決まっていて その中での ポジション…

夢のあと

夢は 遠かった 夢だと 分かったら すぐに覚めてしまった なつかしく なまめかしく 羊水に揺られるごとく ふわふわと おぼろげで かたちのない きおくのような 幻覚とも 妄想とも おぼつかない 感覚の残滓である しかし 確かに もとめていた 何かだった

感じるために考える

思考なくして 成り立たない私なら 思考を使って 感じていこう 思考に振り回されず 思考を上位に置かないで 感じることに素直になって いつか どこかで 美しい何かに 出会うために 考えよう 新緑の木々を 浴びる場所まで

用意された景色

屋上に上がると 沈み始めた夕陽が 東の丘陵を 照らしている 広く なだらかに オレンジの光線が覆い 窓ガラスに跳ねて ところどころ ピカと光っている 何もない空と 動かない丘に 日が落ちてゆくだけ

正しい表現

言葉が人を傷つけるなんて 当たり前だろう 凡庸で平凡な 毒にも薬にもならない言葉だけ ベルトコンベアーに乗せて 大量に消費しても 読めば退屈で 作り手の怠惰が透けて見える 嫌で嫌で 気持ち悪くて 見るに堪えない パゾリーニも グリーナウェイも そうだろ…

のすたるじあ

今はもうない 世界の地平の果てに沈んだ おぼろげな記憶 現実を失い 精神のなかをさまよい それでもなお つかみどころなく 理想を求める心が すがりつくように 寄りかかり もたれかかって うつくしいものと願う 過去のどこか

壁を見つめて

蔦の葉の 絡まる壁を 夕陽が照らし 影が寄りかかってゆく 一人 顔を赤く染め 思い出す 青春の惑い 澄んだ風の 肌を刺すごとく 脳裏にチリチリと よぎる

南の風

焼けた砂に 匂い立ち 遠く迫る 波濤が運ぶ 南国の風 山の上に 吹き晒されても 海を想う 熱の火照り 日が沈み 寝床に響く 波の音にさえ 熱を帯びた体は 陽射しを感じている

南の緑

南の国の緑は 目に痛い 濃く 強く 風に吹かれ 日差しに立ち向かう ほとばしる 生命の力 蝶が舞い 草いきれが蒸して 葉を焼き 眩しく海が照り 全てを 裸にしていく

夕陽の下

海に沈む夕陽を ずっと見ていた 含むところなく ただ太陽は沈み 海原は 赤く染まり 輝かしい空の光を放ち やがて 黒ずんでゆく 何もない 何もないからこそ 救われる 意味も概念も 時すらも 背負うことなく 太陽の運行のみあり それが わたしを開放してくれる…

出かけます。

2週間ほど出かけます。

飛び立つ

おおかたのことは終わった あとは出るだけ 思い残すことはない ここではないどこかへ 山も海も 街も人も 輝いて見える わたしは解放された とらえどころのない 何もわからない 茫漠とした 目の前の現実に いま 飛び込んで ささくれ立ち 汲々に縮まった精神を…

飢餓

食べないこと 空腹に縛られること 昨日食べたものが 遠くに過ぎ去り いつになっても 夜が明けない 空腹で 気が遠くなりそうで 意識は希薄 思考は停止 動けない辛さ だるく あと少しの我慢と 分かっても 時は経たず ねっとりとした液体が 胃の腑を遡り もはや…