2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

出かけます

三日ほど。 草刈りに。

死にかけの記憶

人生で死にかけた経験 よく思い出せない 小学校に上がる年頃 一週間ほど 42度の熱を出したらしい 苦しかったかどうか 憶えていない ただぼうっとしていた 熱が下がって風呂に入ると 皮が剥けるように 垢がこすれた そちらのほうが憶えている あれから 長く生…

旅の心

旅に出たいと思いたち どこに行くか どれを観るか なにを食べるか 思案する楽しさよ 心はすでに旅立ち あちこちに 思い巡らせ ふらふらと 拠り所探して 飛び回り 空想を広げ 現実に追いかける日を思い 旅程を組み 旅は徐々に現実味を増す この過程が 旅の醍…

出かけます

10日ほど。 桜前線を追って。

サリエリの心(ミロシュ・フォアマンを悼んで)

アントニオ・サリエリは実在したハプスブルク家の宮廷楽長 ベートーヴェン、シューベルト、リストを育てた 『アマデウス』のサリエリは モーツァルトに嫉妬する 家柄も良くない 粗野なアマデウス 類まれなる楽才に 驚愕するサリエリ 高名な音楽家で 楽曲とと…

芽吹き

締まった蕾は 暖気とともに ゆるまり ふくらみ 内に葉脈をつくり 時を待ち ついに 褐色の木肌の先 薄緑を吹かす 弱く 瑞々しく ほのかに 気を伺い たどたどしく 世に出た若葉は 未だ冷える 夜風にさらされても 屹然と 枝先に居座り 緑を深め 葉を伸ばす決意…

人は平等ではないけれど

人は生まれながらに平等だと 言うつもりはない 生まれた場所や 親の財力 寿命に至るまで 人に同じものはありえず だからこそ 多様だとも言える しかし 人は 生まれによって 差別されるべきじゃない 生まれる場所も 親の国籍も 親の職業も 子供は選んで 生ま…

健康原理主義

健康であることは大切だが 健康でなければならないのか この国は 世界有数の長寿国なのに いまだ 外国の生活を見習って 減塩や 禁煙や 適正体重へ 口を酸っぱくして 人を導こうとする 多様な価値観が 広がる世界で 健康だけは 万人に共通する利益だから 推し…

理想を取り現実に生きる

やりたいことでなくとも それなりに評価され 納得はいかないながら そこそこの居心地良い人生と 心から願い やりたくて仕方がないが 全く評価を得られず 極貧に生きる人生 両極端の間のどこかに 着地点を見つけ 現実を受け入れる ところが人生は そんな簡単…

日常を回す

毎日毎日 同じような時間に寝起きし 同じようなものを食べ 同じ電車に乗り 同じ場所で働く 気晴らしに 寄り道したり 買い物や外食 旅行に出かけたりするけれど 日常のルーティンは 人を強く縛り 有り様を決めながら 周りゆく生活を 少しづつ 螺旋のように 変…

断食明けのスープ

塩味の効いた液体 あたたかさが 体に染み渡ってゆく 暴飲暴食を重ねた日々 荒れた胃腸 せめて週末だけでも休ませる 食べ過ぎるのも苦行なら 食べないこともまた苦行 極端から極端への 愚行を重ねる 人と会い 酒酌み交わす日々が 体を蝕む 泥酔の快楽の しっ…

人に合う器 器に合わない人

五輪で金メダルを取りたいと願っても 夢が叶うのは一人 途方もない野望を抱き 心身を駆り立てて 努力と研鑽を重ねても 99.9%は 願う通りの結果に至らない 理想は どこかで 現実に追いつかれ そんな事実を 受け入れる日がくる だが 夢を捨てず 妥協の器に収…

自分の住処

自分が何者なのか 何になれて 何になれないか 分からないまま 歳を取ったけれど なれないものが どんどん多くなっているのは 分かる 青臭い夢を 懐に抱き それを心の支えに生きて 言葉を信じて 今でもこうして 言葉に寄り添っていられる 心にもない言葉や す…

薄くてやわらかいのは後で

歳をとって 角が取れ 丸くなって 人を批判もしなければ 争いにも加わらず 穏やかに 静かに 大人になり 老成し 心の平安と 落ち着きを手に入れる 良い人になった 人当たりがよくなった ところが 周りから見ると 魅力的になったわけではない どこでもぶつかり …

明け透けなど求めない

家族に電話あり つなぐ 露骨な嫌悪 横柄さ 振り切るような電話の切り方 悪い知り合いなのだろう 迷惑な電話だったのだろう 翌日 同じ人からの電話 同じ態度 翌々日も その次の日も 用事もないのに 世間話をするために 電話をかけて来るという 足を怪我して入…

四季の移ろいが私を救う

生きれば生きるほど 動けば動くほど 思い出は積み重なる 忘れられない春の日も 思い出したくない夏の夜も 美しい記憶も 辛い過去も 否応なく 脳裏に詰め込まれ ふとした時 気まぐれに蘇って 私を襲う 美しいものだけを取って置けない 身勝手で 横暴な思い出 …

屋台に上がる

煙がモクモク 立ち上り 肩ぶつけ合う すし詰めの丸椅子で 狭く 熱く うるさく きれいでもなければ 居心地も良くない 人々は 張り合うように 酒をあおり 串をむさぼり 欲望をむき出す 落ち着きと無縁の 場末の屋台 焼台の煙を浴びているだけで 苦悩も葛藤も …

言葉への礼賛

一人だけなら 言葉は要らない 相手がいなければ 話をしないのが当然だし メモや書き付けも 未来の自分という他者に向けられるのだから 他者がなければ 言葉はない 有り余るほど 言葉が巷間に溢れ 目的を見失い ただ言葉だけを再生産し 寄りかかり 膨れ上がっ…

先生の思い出

学生時代は 煩わしくて 小言を言われ 何かにつけて注意され 授業は退屈 放課後が待ち遠しい 目の上のたんこぶだった 先生 大人になってみれば ずいぶん勝手なことをした 生意気で失礼だったと 自分の至らなさを思い 先生の思いやりが 身に沁みる 久々に顔を…

散花

桜の花は 満開まで 花びらを散らせず 咲きほこる一瞬を見せ 初めて 散りはじめる 散り際の美しさは 刹那に失せ 葉が生え 花びら泥にまみれ 川面の花筏は 流れ去り 淀みにかたまり 黒ずんでゆく 華やかな花弁が ゴミに変わりゆく今 花よ花よと 愛でられたのが…