断食明けのスープ

塩味の効いた液体
あたたかさが
体に染み渡ってゆく

暴飲暴食を重ねた日々
荒れた胃腸
せめて週末だけでも休ませる

食べ過ぎるのも苦行なら
食べないこともまた苦行

極端から極端への
愚行を重ねる

人と会い
酒酌み交わす日々が
体を蝕む

泥酔の快楽の
しっぺ返し

空腹
グルグルと鳴る腹

少しの節制すら
気が遠くなる

それでも
耐え難きを耐えて

干からびた身体に
染み込むスープは

目がくらむほどの美味

自らに苦しみを与えておいて
勝手に解放感にひたる

一人芝居の滑稽さに
自嘲と反省を感じながらも

生物がものを食べる喜び
五感が打ち震える快楽を
全身で味わう

理性が吹き飛んでしまい
身を委ねるだけの
動物的な悦楽

体の芯から湧き上がる
抗えない気持ちよさ