2021-01-01から1年間の記事一覧

出かけます

年明けまで出かけます

己の正しさ

言葉は知識は 人とつながり 共有によって 認められ 積み重なってゆく 自分なりのやり方 自己流で いろいろ試し あれが良い これが良いと 言い放っても それが汎用的な方法と 真っ向から対立していたら まず認められない 認められるには 正しさを証明しなけれ…

なにもないこと

なにもないこと 何も起こらないことが 平穏だと 思いたい時がある 幸せより 未知への期待より 無事でいられる安堵 それは 危機をくぐり抜けたからでもなく 保身によるものでもない 腑抜けた 何も考えたくない 空白をもとめる 希薄な精神の体たらくであり 同…

潔癖症の世

美しく スマートな振舞いに 憧れを抱いても 憧れそのものに なれるわけではない きれい好きは 褒め言葉だが 行き過ぎれば 潔癖症 己の中の異物を許容できず 他人の中に異物を見て 清潔であるために ひたすら 排除を進める 数百万 数千万の人々が罹患し 毎年…

反旗

未来に希望が持てず 周りがどんどん進んでいく時 置いて行かれ もうついて行けない 一人ぼっちで 後ろから 次々と追い抜かれていく 歩き出すにも 道は閉ざされ 締め出されている 行き場がなく 居場所がなく 何をしていいか分からず 死までの時間だけが 有り…

屑のレッテル

生まれや育ちや 入った学校や会社 あらゆる属性を価値づけて そこに優劣を見出す レッテルを貼り それに見合えば チヤホヤされ そうでなければ 鼻も引っかけられない そんな体裁の違いで 上位に立とうとする者 平等を謳い 理想を語る者 理想を語ることで 商…

カルト教徒

運命だの 神の導きだの 論理で説明できないのを 特別な何かの存在に仮託して 世界を知ったような 振る舞いをしているうちに デトックスやら オートファジーやら 人体の機能に対する 無知を越えて 都合の良い単語を 都合よく解釈し 挙句の果てには 自分のほう…

冬の歩み

気だるい夏の夜に 淀み 弛緩した空気は いつの間にか 厳しく 刺すような寒さに 変わっている 緊張と覚醒 ポケットに手を入れ 肩をすぼませ 足取りも速くなる こんな寒い夜は ぼんやりと過去を振り返る暇などない 歯を食いしばり 下を向いて 白い息を吐きなが…

死者のいき場所

死者が還ってきた なくなり 終わったと思っていた 死者が還ってきた 顔色良く 快活で 死者だということを 忘れさせる 饒舌な言葉 キビキビした振る舞い それが死者でなかったら 良かったろうに 死者であるために 怖ろしくて 仕方がないのだ あるはずだった …

暴飲暴食の次の日

暴飲暴食の後 起きて 何もできなくなった次の日は 不快と後悔に苛まれ これまで積み上げてきた節制を 不意にした 無力感にまみれるだけ 自己卑下 自己嫌悪 立て直すまでの時のつらさよ しかし 立ち直る どう足掻いても どう転んでも 元に戻るしかない それが…

誰もいない家

人のいない家は がらんどうで寂しく 死に向かう路を断つべく 病院へ旅立ったはずが いつの間にか 戻る見込みは なくなっていた 淀んだ空気は 家人ありし頃の 匂いを思わせ 埃がうっすらと覆うほどに 建物の生気は 失われている ここに居て 生きていた痕跡が …

歳末近く

中央線の高架から見える富士山は 昼下がりだというのに もう夕焼けに 色づいている こんな晴れもない 雲ひとつなく 空気は澄み 遠くどこまでも 穏やかである その空の下 せわしなく行き交う 人々の喧騒が 年の瀬の風情を醸し出して いよいよ この年も 終わり…

言葉を紡ぐ時

日常に飽き 未知に飛び込む 体と心は 新たな刺激に 疲労困憊し 何かを表す 余裕などない 再び戻った日常は 今までと違って見える この時 何千何万と 繰り返した 当たり前のことが 新たな経験によって 違って受け止められる時 書ける時

鼠物質

誰もいない部屋 数ヶ月もの静寂 何があったのか 誰にも分からない ベタベタの 粘着シートに ネズミが 一 二 三 四 五 六 七 ずらりと 横たわり あるものは 腐臭を放ち またあるものは 美しい毛並みを 靡かせていた 放置されていた それらは 生命を失ってから…

眠れぬ夜の愚痴

いびきの煩さに 眠れず 寝入ろうとしても 起こされる 何度も 何度も 何度も 何度も 怒りが沸き 沸騰を通り越し 徒労を覚え 眠ろうとする 意思も努力も 萎え果てた もうダメだ 明日 運転する車で 睡魔に襲われ 事故を起こし 人生を駄目にする そんな最悪の結…

人の歴史

知己も得ない ただ名前だけ知っている 彼の足跡を 調べ 辿り 彼の人生を 想像し あの時 彼は何を考えたか なぜ 彼はあのような行動をとったのか どうして 彼は殺されたのか 逡巡するうち 彼の中から 歴史が生まれ 一つの世界が 一つの存在についての文脈が …

河童の世界

世界について考えること 世界を空想すること 世界を生活から思うこと 生活で世界を縛ること この逃げられない場所の外に 見たことも 聞いたこともない世界が 広がり それは 素晴らしいものであるに違いない なぜなら 今苦しいのだから 苦しみから逃れられる…

意味と不和

寝起きの頭で 思い描いた 一人の時間 会う人も いなくなり 世の中から 認知もされない 孤独とは 意味を失うこと 生きる意味 存在する意味 社会の意味 意味のない生命は たちどころに弱り 死や 破滅へ向かって 冷静と理性の鎖を 簡単に断ち切り 己を堕してし…

弛緩の過程

厳しい生活に 身体も精神も強張り 一連の出来事が終わっても なかなか力が抜けない いくら眠ろうとしても 眠れず 騒ごうとして 騒げず 酒を飲んでも 酔えない 疲れが抜けないまま あれもこれも 試しても 何も変わらない そんな時 思い切って 旅に出て 非日常…

北国の街

北国の海岸通りは 海猫鳴いて 寒風吹きすさび 人っ子一人いない 午後というのに もう日も暮れかけ ちらりちらりと 舞う雪が もの悲しさを助長する 古びれた市場では ほっかむりの婆が パタンパタンと タラを捌く 包丁の音だけが 聞こえて 暗く 変わらず 未来…

雪の下に眠る

雪の降る坂道に 足跡をつけながら 丘の上の 墓場に向かう ぽつりぽつりと 並ぶ墓石に 雪は降り積もり 山々は 白さに埋まる 雪と石と木々と モノクロに染まる中 線香の煙が 立ち上り 雪の白さに 混ざっていった 雪の下に 眠る霊魂たち このまま 春まで 誰も寄…

カスパー・ハウザーの夢

人が皆 まっとうだと 思うなかれ さらわれ とらわれ 隔離され 洗脳されたこども 常識も 倫理も 簡単に踏み越えていく 性の対象に 仕立て上げられ 忌避する意志も 取り払われ 感情のない 都合よく成型された機械 作る側のエゴと 悪魔の所業より 時として その…

出かけます

一週間ちょっと出かけます

解体と構築

溜まった澱を 吐き出す 歪んだ生活を 壊す 壊して 再び立て直して 元に戻ったようにして 過去とは 少しだけ違っている その違いが 良いように なるように 考え 祈って 壊す

村の付き合い

都会は世知辛いって 言われて 暮らしてみたら 田舎が面倒なだけだった あれもこれも 何かにつけて 掃除やら 祭事やら 行事のたびに 駆り出され 断れない どこで 何をしているかも 筒抜け 旅行をすれば たちどころに知られ お土産を 買わないわけにはいかない…

過眠

信じられないほど 眠れた日の 世界の見え方はどうだ 我を疑う 体の蘇生力よ やるべきこともやらず やりたいこともできず 代わりに もう眠れないほどに 眠った 世界が変わる 感覚が変わる 日常が 再び息を吹き返して 戻る場所になる 眠りの力よ どんな栄養よ…

悪の批評

スタイルを求めて 言葉を連ね 言うことが 人の悪口ばかりでは 何一つ 魅力を持たない 美しい批判は その先に 未来を見て 現実を変える意志を内在し 言葉で 世界の素晴らしさを示さなければ 力を持たない 許せない何かがあり 断固として 否定したいなら それ…

無事

中身より 形式が大事 整った作法で 過去を踏襲していれば なんの問題もない 形式を壊すなど もってのほか 淡々と 同じ形 同じリズム 同じ様式で すすめたい そうすれば 何も考えなくて済む 何も悩まずに済む 何も起こさず 何も変えず 迷惑もかけず 而して 存…

飽和

満ちるところを 過ぎて 足りるをはるかに 超えていく あふれ こぼれ もう何も入らない 物理的な 精神への作用 壊れるまで 入れ続けたツケ 入れ過ぎたものは 戻らない

もうすぐ

突き詰めた時間を じりじり進め たどり着く 終着地 感慨もなければ 達成感もない ただ何もしなくて良い それだけだ 島の突端の岬に行って だだっぴろい海と 吹きすさぶ風と 海鳥の鳴き声と糞に さしたる感興も催さず ただ行った それだけで 納得する そんな…