村の付き合い

都会は世知辛いって

言われて

 

暮らしてみたら

 

田舎が面倒なだけだった

 

あれもこれも

何かにつけて

 

掃除やら

祭事やら

 

行事のたびに

駆り出され

 

断れない

 

どこで

何をしているかも

筒抜け

 

旅行をすれば

たちどころに知られ

 

お土産を

買わないわけにはいかない

 

何かを貰えば

お返しが必要で

 

ベタベタな付き合いから

逃げられない

 

このコミュニケーションは

当人たちには

いたって普通のことに過ぎず

 

外にでて

はじめて

厄介さに気づく

 

どこで

誰が何をしているか

 

分かっているのが

当たり前

 

知らない人間も

知らないことも

村の中にはない

 

こうして生きていると

知らないでいることに

耐えられない

 

そう

どんな秘め事さえも

知らずには居れず

 

因習めいた

えげつない

 

欲望と監視の目が

 

平和に見える村の

いたるところに

 

蠢いているのである