2017-01-01から1年間の記事一覧

出かけます

読んでくださって有難うございます。 年内は出かけます。

アートの間口

たまに落語を聴くのは面白いが どの噺家が技量があって どんな工夫をしているのか よく分からない 落語をよく聴く人は こまやかな 話芸の妙に 神経が行き届き 噺家の力量や 聴きどころや 面白さが分かるのだろう かように芸術は 見る側にも 経験や見識が必要…

旧い友だち

10年 15年 20年 何年かに一度 会って酒を飲む それだけの関係 若い時は 忙しさにかまけ ないがしろにしてきた 人付き合いが 年月でこなれ 穏やかに ゆるやかに 心地よい 機会をもたらした 齢を重ね 時に坂を下っていくような 寂しさの予感が 頭をよぎるよう…

居場所

居場所がないほど つらいものはない 学校で職場で クラブで酒場で 家庭で 仮想空間で その場その場の 存在として 様々な顔を持ち 居場所をつくる どこかで失敗しても 別の場所で 安らいで 自らを守って生きる 自分の居場所が 一つしかないと 思い込み すがり…

楽しさをみつける目

忘年会で 人が溢れる街を 探せば 生きる悲哀や 夢破れて 堕ちた心の底から うめくような声が 演歌の歌詞に あるように 聞こえる刹那も あるけれど 過去に縛られた 人や自分をみつめても 明るい未来は 訪れず 逆に いま目の前の 楽しいひとときを ふいにして…

人のやさしさ

足を痛めた時 細やかに気遣い いつも寄り添ってくれる 優しさは身に沁みる 一方 放っておいてくれるのも また優しさ 面倒ばかり見られると 気遣いに恐縮し 相手に合わせようと しなければならなくて 気持ちが疲れる 面倒見のよい母親が 子供を気遣いたいあま…

学校に通って得たこと

卒業してから 学校の先生の言っていたのは 概ね正しかったろうと 思うようになるが 学校の先生だって 自分が学生の頃は 悪さの一つや二つも しただろう 学校という箱に 育ち盛りの子供を 押し込んで 朝から晩まで 机に座らせる 今思えば 並大抵のことではな…

多様だけれど つながっている

色々な人がいる この世の中で 誰にも通じる正しさなんて あり得ないけれど 正義などなく 善も悪もないのなら 人は何に依って 生きてゆくのか 法律や組織のルールとは別に やって良いこと悪いことは ぼんやりと 心にあるはずで 陰惨の中で嘆く人を見れば 悲し…

当たり前の中身

毎日の出来事は ほとんどが 繰り返し 今まで経験し 驚くこともない 食べ物も 会う人も 行く場所も やることも 分かっているから 安心し 続いている それがマンネリだとしても 繰り返すのは 行為が 不愉快でない証拠で それなりの満足が あるためだろう 当た…

師走の走り

忘年会が始まり 休日には 街は人で溢れる 師走の活気が 徐々に満ちて 寒さと 忙しなさに 年の終わりを 思うようになり 鰤大根や おでんが しんしんと 身にしみる時節が来た 一年の間に何があったか 考えることすらしなかった子供 やりたいことが多すぎた青年…

料理人の手

手のひらの 分厚い皮 包丁ダコ 油の飛び散った 火傷の跡 修行時代の 包丁の傷 トラック何台分も 玉ねぎを刻み 魚を卸し 生地をこね レシピを 身体に染みつけてきた その象徴たる 手の痕跡は 仕事と歩んだ生涯の 良さも悪さも 辛さも苦しさも 楽しさも 一途さ…

疼く

痛めた足が 記憶が ふと甦り トクントクンと 鼓動する すでに治り 忘れかけたはずなのに 突然 意識の外から 過去を思い出させる 立ち止まり 心を落ち着け 追憶を振り返り 再び今に目をうつす 過去が今をつくる 今は未来を向く 疼くのは 追いすがる過去が 不…

寛容なのは自分のため

街を行き交う人々 この中には 天使も悪魔も 聖人も犯罪者も いるのだろう 見かけでは分からない だけど 分かるのは この街を歩く誰もが 間違えるし 過ちを犯すこと 人は失敗する それでも人生は終わらない 間違えては挽回し 誤っては許されて 人は生きていけ…

冬の星空

冬の空は 高く 高く 日が暮れ 寒くなれば なるほど 透き通って 白い息と 身を刺す冷気の中 見上げれば 一面に瞬き 何十億光年も遠くから 地球に降り注ぐ か細い光を見つめる 唯一人の自分と 点々と灯る 家々は この空の下 等しく在り 天穹と 大地の 広さを想…

大きな流れの中に

川面に浮かぶ葉のように ぷかぷかと ある時はゆるやかに ある時は激しく 流れているのか 流されているのか 自覚さえなく 巡り合う風景も 交差する流れも 操作などできず 支配もされず 決して留まることなく 流れていることだけが事実で 息をつき 四肢を伸ば…

旧街道を歩く旅

旧街道は ほとんどが 国道に置き換わり 車やトラックが絶えず 歩けば 排煙にまみれる 江戸も昔 風情は過去 一里塚と 宿場の跡は 石碑にしか残らない それでも 一日歩いて 陽が傾き 疲れた体を 休む場所を探せば 昔の人が 食べ物と 寝る場所を求め 投宿し 暖…

電車の寝顔

日曜の夕刻 電車に乗る ベンチには 家族が並び 口を開け 頭を垂れて 眠る 今日一日 楽しかったのか 疲れて 安心した 寝顔を眺め 暮れゆく休日 ほっとして 穏やかな気持ち

一杯の白湯

冬の空気に 肌は乾き 唇が割れるとき 一杯の白湯から 湯気を吸い 喉を潤して 再び大気の中へ 出てゆく 冷えた体と 疲弊した心 癒やし 眠り みずみずしい心身を 取り戻す時間も 場所もなければ たった一時の 安堵の機会に 救われた気になる 人は疲れ 疲れるほ…

横綱 哀愁

幕内の取組みは全部見ていた 毎場所楽しみに 大横綱との一番は 場所々々の好取組 小さい身体で 低く立って 時に喉を突き 時に深く差して 観る者をハラハラさせ 大負けもある代わり 立派な優勝回数を残した 横綱の引退 人を殴ったのは確かだろう 責任を取らな…

痛さと辛さ

歩いて 足が痛むのは 休んでくれという 身体からの要求 そのまま歩き続けると 足の痛みは増し 最後には歩けなくなる 痛いや辛いは 日常にあるもので 辛いことを 我慢し続けていると 心模様が変わってしまう 変わりたいなら良いのだが 仕事やら 人付き合いや…

失敗はするもの

知らない町の 知らない店に入れば 異邦人として 不審な視線に 晒されるときもあれば もの珍しい来訪者として 話の種の提供者として 歓迎されるときもあり 良い思い出も 思い出したくないことも 経験するのは当たり前 失敗だけ取り上げれば 二度と味わいたく…

あと一歩 そして あと一歩

人の体はもろく 30kmも歩くと たちまちズタボロになる 足裏 ふくらはぎ ヒザ アキレス腱 スネまでも 痛くて痛くて こんな愚行に つき合わせて 気の毒なほど もう歩けない あと一歩だけ 足を踏み出して 同じ苦痛を味わい また一歩踏み出す 一歩だけなら 踏み…

歩きたび

知らない街の 知らない道を 歩く 自分の体を動力に 一歩 また一歩 前に進めて 景色は ゆっくりと 後ろに回って 坂も 橋も 横断歩道も 歩道橋も 好きな道を 好きなように歩き 疲れては休み また歩きだす 自分の身体で 自身を運び 疲れも 怪我も 自分で引き受…

赤ちゃんの生き方

赤ん坊の無条件な母への信頼 なんて純粋無垢なのだろう 大人になるとは 汚れてしまうことなのか 赤ん坊は何も持っていない 失って困るのは命だけ 一人で生きられない だから目の前の 母を信頼し 母に依存し しがみつく 大人のように 右を立てたり 左に気を遣…

上る階段

目の前の長い階段 急峻で高い段差 果ては見えず 一時に上れる気はしない 一段 一段 疲れて 膝をついて 座り込んで 休む 再び上っては休み 休んでは上る 終わりは見えない 階段と空だけが 視界にあり 豆粒のごとき自分は 少しずつ 動いては止まる もう疲れた …

やさしくなれるとき

子供を見ていると 無防備さと 無条件の信頼を 自分はどこに忘れてしまったのか 考える おぼつかなく たよりない足取り この生き物は 保護してやらないと 絶対に生きてゆけない ミルクを飲ませて ゲップをさせて おむつを換えて 遊び相手になって 子供を見て…

好きなお店

シワひとつないクロス すかさず水を注ぐ給仕 ドレスコード 吟味した食材 ヴィンテージワイン 張り詰めた緊張 完璧さを目指すお店は 特別な記念日や 非日常の祝事に求める だけど 通いたくなる店 日常的に使う店なら 適度なゆるさがあるといい 気さくな店主 …

ただ待つ

手紙の返事を待つ 待ち合わせた相手を待つ 電車を待つ バスを待つ 注文した品物を テレビ番組が始まるのを待つ 待つというのは 何もせず 動かず ひたすら到来を期待することだ もしかしたら 来ないかもしれない 込み上げてくる 不安と寄り添いながら 未来が…

ほのめかす

満開の桜や 見渡す限りの菜の花 眼前の美しさに 感激する だが 満開でなくとも たった一輪の桜に 雪の隙間に 顔を出すふきのとうに 春を予感するとき まだ見えぬ世界への期待は ときに現実よりも美しい 人の想像力は 現在での満足より 未来への希望に向かう …

群れの中の異端

集団の中で 一人がゴネたり 他と違うために 余計な手間がかかったり 行動が遅くなったり 全体がもたつくことがある 何やってるんだ!? みんなに合わせろ! いいから。お前のことはいいから。早く! お前がおとなしくすれば みんなうまくいくんだ こんなシチ…