2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

本当に冷戦が終わった

鉄のカーテンに閉ざされた 冬将軍の国 雪解けの苦難 緊張の連続 分裂と縮小を強いられながら 戦いを経ることなく 冷戦は終わった 彼がいなければ どうなっていたことか 未だにらみ合いが続き 破滅の予感の下 戦いは避けられたのか 戦乱と混迷は 今より増して…

愚者の風

混沌に在り 腐乱した瘴気に浸り 見えず 聞こえず 揺蕩っている 一陣の風 開けた視界に 盲進して 答えを掴もうと すべてを捨てる 見えなかった世界にいて 世界を見なくなった 躊躇を失い ただ一つだけを目指す 一筋の光は 希望であり 欲望である それが 悪魔…

育てる

冬の高い空の下で 麦を踏むように 負荷をかけ 適応して 強くなる生命 しかし いくら踏みつけたとて 種まで踏み潰しては 生命は消えるし 寒さや大雨から 守ってやらねば 健やかには育たない 厳しくしつけ 追い込んで 成長を促すのなら その裏で こまめに気を…

命の数々

世界は分からない 未知を前に挫けるか これから知る喜びにうち震えるか 分からない有象無象が 幾らでも湧いてきて その一つ一つに 切実な生命が宿り 一喜一憂しながら かけがないのない時を生きている 幾らでも死に 幾らでも生まれる 自分にとって 何よりも…

終わり

ひとつ ふたつ みっつ ようやく終わった まだ残りはあるが 安堵に包まれる 人生も終わりに 安堵できたなら どんなにいいことか。

最後の空元気

断続的な徹夜 終わることのない仕事 疲れ果て もう駄目だと思いながら なお 体に鞭打つ ある時 体が軽くなり 頭もスッキリ 高揚した気分で 疲れも感じない 最後の空元気 消える直前に 大きく燃え上がる炎のごとく 体は苦痛を取り去った 爽快な気分で この後…

破却へ

十全な力があったなら 人を顎で使い 気に食わなければ泣かせ 肉体的にも 精神的にも 疲弊させ 徒労を強い 人生を破滅させるのを 快楽として味わうだろうか あるいは それだけの権能を持っているだけで いつでも行使できる余裕を 楽しむのだろうか 人を動かし…

旅に出れば

旅に出れば しがらみが 解きほぐされて 一人行く 湯けむり立つ町の 宿で出会った人の優しさ 港町にて 騙されて泣いた夜 夕暮れの山村を 離れゆくやわらかい陽 恋しくなった住む街を想い 一人さびしく進みゆけば 孤独の中の自由を吸い込む あの時 感慨に耽っ…

眠れぬ者

眠りについては 起こされて 眠りについては 起こされて 眠りについては 起こされて もう眠れない 朦朧とした 半覚醒のなか 悪夢ともつかない 過去の記憶が まとわりつく 安眠など許さぬ お前は二度と 穏やかに生きられず 安らかに死ねないのだと

何が正解か

なにが正解か ずっと考えて 欲しがって 人生に正解などないと 分かっているのに それでも 求めてしまう 効率だとか 合理性だとか 多様性だとか 個性の尊重だとか 美しく きれいな言葉に近づけば 正解が出せるんじゃないかと 幸せに暮らせるし 人から叩かれず…

生きているのか生かされているのか

頑張るのは楽しい 頑張らされるのは苦しい 今 必死になって疲れ切っている己はどうか やっているのか やらされているのか 自分の意志で飛び込んだ世界は ノルマで雁字搦め 疲弊を重ね 飛び出した 後に残るのは虚無 再び 世界に入り 疲れ切ってしまった やっ…

疲れた酒場

タバコの煙に 白く霞む 場末の酒場 下卑た笑い声が 疲れた頭に突き刺さる 一杯 また一杯 何も考えたくない 酒は回り うすぼやけた意識に遊べば 今日も終わる 明日もくたびれて 酒を飲んで紛らわす 何を? それは人生

光芒

旅の終わり 力尽き 光の糸を引きながら 落ちてゆく 輝きを帯び 暮れゆく空に描かれた 放物線は 夏の宵の 気怠さの中 脳裏に刻みついた

脳が固まる

単純作業を繰り返せば 繰り返すほど 目はシパシパし 脳に霧がかかり オーバーヒート寸前の パソコンのように 思考が固まる 何もしたくない 何も考えたくない ひどい筋肉痛に襲われた体のように 思考を動かすのがつらい もういい 眠りたい それでもなお 働か…

○つけ

○をつける ✕をつける 一方的な差配 刹那の全知全能 権勢を振り回し 己の判断で 他人を評価する ○を重ね ✕を重ね 気の乗るままに 点数をつけていく それが 歓喜や絶望を呼び 誰かの人生を左右することになるのも 当然のこととして

気怠い仕事

大量の仕事 気怠さと嫌悪 苦虫を噛み潰して始めれば 頭は機械となる こんなものだ こういうものだ 当たり前の作業 重圧も気後れもなく 淡々と 時を食い潰し 己を食い潰していく 慣れた 惰性で進む作業 嫌であることも 受け入れた 駄目になっていくだけ 金が…

溺愚

愚行に熱中し 仕事を放り出し 寝る間も惜しんで 身を痩せ細らせ 人と遠ざかり 食べ物もろくに食べず 麻薬に溺れる そう 現実の麻薬でなくとも 身を滅ぼす快楽は 遍在し それに浸っている間 破滅がいくら近づこうが 快感しかなく そんな愚行を あらゆる手段で…

髪切り

艷やかに伸びる黒曜の 流れる背に光受けて 植物にも似た 髪が垂れる 感覚もなく ひたすら伸び続ける 異質な黒毛を 鋏で 切り取り 刈り取り また伸びるまで 髪に倦むまで

文字を浴びる

寝る間を惜しみ 日々 常時 食べながら 他に何もせず 読む。 文字の続く限り 疲れも 眠気も 好奇心で打ち消し 学びなど期待せず 知識など要らない ただ読む 読むだけで 時は止まり 世界は我が手に収まり 悩みもない 読む それだけ いつまでも 読む

転げ回る

電車に乗って 寝てしまい 降りるはずが 降りられず 折り返しては また寝てしまう 行ったり来たりを 繰り返す おぼろげな記憶の中で のたうち回っている精神

耽溺

耽溺できるのはいい それが有益か 愚かであるかに関わらず 熱中によって 他のことを忘れていられるのだから

草を刈って

照りつける太陽を 浴びながら 草を刈れば 匂い立つ 緑の強烈な青さ 蝉しぐれを背に 汗をポトポト落とし 一振り 一振り 振るう鎌が ザッザッと音を立てて 草叢を平地にしてゆく いくら刈っても生える いくら生えても刈る 終わりなき業に 身を浸すのも ときに…

人はかなしい

深夜の路上で 諍う男女 おまえ あいつと何回やったんだよ 怒鳴る男 泣く女 人はかなしい

かなしい拝手

苦しければ苦しいほど 信じるものにすがり 明けの明星と仰いで 身の回りの 寒々しい現実から 目を背ける つらい だから 見たくない 見たいものだけを 見ていたい 虚像であっても 詐欺であっても 信じられる瞬間を 得られた幸福に感謝して 地獄へ堕ちてゆく …

ありふれた日常

人がバタバタ 死んでいく 今日も 明日も 明後日も あまりにも死ぬから 死がありふれて 悼む時もなければ 悼む心もなくなった ああ また死んだ 死にすぎて 死んだ後には 草も生えない うち重なる死体に たかる蝿の黒い山 腐臭に麻痺した鼻 荒野に刺さる陽光 …

殴りたい時

待ち合わせて 待ちぼうけ 一時間 二時間 やっと来て そんなに待つなら 帰ればよかったのにって 待たせておいて そんな言い草 衝動的に殴りたくなる時

人は人を殺す

戦争は いつまで続くのだろう 人の意志によって 人を殺し 奪い 蹂躙する 言葉と暗号が 殺人を指示し 家庭の良人は たやすく 殺人マシーンへ変わる 命令で 人は人を殺す 良心よりも 善意よりも 道徳よりも 倫理よりも そんな社会の維持のために 期待されてい…

墓参

目の前の 石柱に何の意味があろうか 蝉しぐれの灼熱に 汗を垂らし 石に水をかけ 香を炊き 手を合わせる 故人の来し方 我の行く末 石は石なり 刻みつけた墓碑もまた ただの文様でしかなく 死してなお 存在を信じたいという 願望をこめた 儀式が 簡素化され 今…

か弱きモノ

弱い か弱い 一個のモノ 落ちれば壊れ 触れれば傷つく 大事に抱えて 表に出さず 奥の奥にしまい込んでいたら 忘れられてしまった

役に立つ金太郎飴

効率とか 有用とか うんざりだ 立って 歩いて 食べて 寝て それだけ出来るなら あとは好きか嫌いか うまく はやく 手軽になんぞが ありふれて 溢れ出ている 比べて 良いものを選べば 賢いか 駄目であっても 愚直に愛したら馬鹿か 馬鹿に嵌って 駄目になりた…