2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

たちはだかる壁

これはキミに与えられた試練だ 乗り越えられるものにしか 壁は訪れない ここで悩めば きっと成長できる 苦しんで苦しんで やっと掴んだものは 一生の財産になるよ そうかな ポジティブな思考で 前向きに生きられて 葛藤も苦悩も プラスになると捉えれば どん…

甘美な無気力に身を任せて

とろとろに溶けた だらしない日常は 緊張を忘れた頭に 弛緩しきった身体がくっついて 停滞し 甘く酸いた腐臭を放っている 道端に寝そべる 野良猫の怠惰のごとく 時に追われ 行き交う人々を横目に じっとして もぞもぞと飯を喰らい 身の回り 全ての動きを止め…

栄光という足枷

人はだれも 輝ける瞬間を求め 運良く 願いが叶い 積み上げてきた己が 称賛され 人生が報われたと 感慨に浸る そんな美しい経験のひとつやふたつ 懐に忍ばせている 成功体験は 苦しい時も 前を向き 努力や忍耐が いつか報われると信じて 生きていく 支えにな…

寝る前のひととき

火照った体で 水を浴び やっつけの夕食 布団に横たわる 痺れるような疲れ 縛られるような眠気 溜まりに溜まった 猛暑の疲労 ぐったりとして だるく それでいて 何もしなくてもいい快さと 脱力した解放感が 全身を浸して 眠るまでの刹那 至福の時を過ごして …

傲慢な被害者

一度被害を受け 和解に至る最中 まるで当たり屋のように 加害者を責め 謝罪を求めて 被害を受けたという特権を振りかざす そんな姿がかなしい 被害者にとっては このまま 有耶無耶にされたくない 言えるときに しっかり言わないと なし崩しにされてしまう そ…

水流れる街

いたる所に 湧水あり 少路を流れ 花街のネオンを映す ぼやけた空気 風の止まった夜 垂れて動かない 柳の枝 水は下り 汚れきった街の 喧騒と醜聞を 涼やかに流して 眠りにつく 家々の間を 走り去ってゆく

出かけます

2日ほど出かけます

灯台の下

突き出た半島の そのまた突端に 小さい白い塔ひとつ 波に洗われ 風に吹かれて なびく芝生を 馬が喰んでいる 海には水平線 陸にはなだらかな 緑の丘 何もない風景が 心を解き放って どこまでも行ける 自由と どこまで行けるのかという 不安と ない交ぜになっ…

すりこぎの日々

ザラザラの肌に 棒こすりつけ 回して 潰して なめらかにして ゴリゴリと すり潰す毎日 胡麻も 豆も 愚直に 単純に 砕いて 摺って 幾度も幾度も くり返して いつしか 棒も鉢も 気の遠くなる磨滅を経て 丸みを帯び すりこぎの使命は 果たされる 変わらない摩耗…

ゆるやかな午後の歩み

スラリと長い手に 赤いリンゴ持ち 昼下がりの石畳を 下ってゆく 長く伸びる影 風に揺れる葉 さわやかな大気の匂いに 子供の頃の 幸せな日々を思い出し いつまでも 坂を下りて 並木の影に入り テラスに休む人々を眺めながら 再び 陽の暖かさを感じて 歩いてゆ…

酒場の野球の絡み酒

かつて 酒場で絡まれて 巨人ファンかと 尋ねられ そうではないと 答えたら 肩を叩かれ 肴を食われ 巨人が負ければ おまえは気分がいいんだろと 何かにつけて 因縁をつけられた あの時 巨人ファンだと答えても 同じようなことを されただろうし 怒って言い返…

透徹の愚者

愚行は常に 素朴で 単純で 反復する 複雑になればなるだけ 考えねばならない 考えて 賢くなり 行動に意味を持たせ 効率を知り 最小限の努力 最低限の対価で 最大限の成果を 求める こうなると もう 行動への臆病が 顔を覗かせる 疲れたくない 無駄が嫌だ 無…

哀愁のレストラン

薄暗い灯り 煤けたオブジェ 埃かぶった造花の裏から 赤や黄色のにじむライト 穴のあくソファーに腰掛け 立ち昇る紫煙を惚けて眺める 街道沿いのレストラン 腰の曲がったマダム ステーキハウスで熱燗 鮪の刺身に冷奴 洒落っ気も 見栄も素っ気もない 年老いて …

記憶の疼痛

何もない生活に 突然 過去の記憶が差し込んで ハッとする恥ずかしさや 怒りが襲いかかり 言葉にならない声を 上げてしまったり 刹那的にものに当たったり 不可解な行動に 振り回される きっかけも分からず コントロールもできない いきなり訪れる 厄介な記憶…

風が吹いて

風が吹いて 吹いて 熱と 乾きを運び 誰もいない 昼下がりの街路樹の並木の 葉を揺らし 音を立てて 過ぎゆく 夏の盛りを 知らせた 暑さに弱り 弱るのに慣れた体に 当たる風は 少し草の匂い 日に灼けた アスファルトの匂いがする 風に打たれて 匂いをただ嗅い…

自分の歩く道

平坦な道を歩むより 自分の踏み出す先には 山や谷や川 いろいろなものがあったほうが 楽しいでしょう 坂を上るのはきついし ぬかるんだ泥道や 草むらを掻き分けなければ ならないかもしれない 疲れて へばって 座り込んでしまうかもしれない 平坦な道を歩く…

物に宿る記憶

古びて 使うに耐えない 押し入れの奥の 思い出の数々 捨てようと 幾度思ったことか その度 思い留まり 使うわけでもなく ゴミ同然の扱いで 放置したまま 現状を甘受している 物がなくなっても 何も変わらない むしろ部屋が広くなり 便利になる 悪いことなど…

親を想う

大切に 大切に 育てられてきた 熱を出せば 必死に看病し 嫌なことがあるたび 壁にぶつかるたびに 自分のことなど放り出して 心配し面倒を見てくれた 私のなかに残してくれた これほどの優しさと慈しみを 私は誰にかに与えただろうか 無条件に 対価を求めず …

台所の暴力

切り刻み 火で炙り 塩で揉んで 押し付けて 卵の黄身 命の素は ぐちゃぐちゃにかき混ぜて 今日も料理は 食卓に運ばれる 刃物に火 低温から高温まで 台所には 今でも 危険な道具が 揃っていて ヒトの 原初的な 野蛮さの 原型を留める 何かを痛めつけて 奪い取…

孤毒を吐く

停滞からの なだらかな下降 避けられない現実 惰性のままの沈滞 停滞のままの鬱屈 独り 世に生まれ 放り出され 世界を 己の価値観で囲って 箱庭を作り 小さな世界の王として いつまでも 君臨し 過ちを認めず 異を遮り ここまで来て 貧弱な己と 独りの寂寥に…

私の中の声

平穏な暮らしに ふと佇んだとき か細い声が かすかに聞こえる うっすらと 長く 続き 頭の奥で わたしに ささやく 言葉ではなく 意味も意思も 分からない 心地良くもないし 気味悪くもない だが 無視できない 抑揚なき 声は止まず 年をとるにつれ ますます 聞…

悪もまたある

日常に顔合わせる人に たいてい一人か二人 苦手な人間 嫌いなタイプがいて 嫌悪感がつきまとい 不快を持て余す ところが 反りの合わぬ人から離れ 好きな 気の合う仲間とだけ付き合う そんな生活の中にも 必ず 嫌いな人間は現れる それにも耐え難く 引きこも…

人に馬鹿にされたとき

人に馬鹿にされたとき 悔しさと怒りがこみ上げて 何か 一つ二つ 出来れば 自分が受けた傷より 大きなものを 相手に与えたくなる 人に馬鹿にされたとき みじめな己を抱え込むのが嫌で 嫌でたまらなくて はね退けるため 強い毒を吐きたくなる 人に馬鹿にされた…

安寧の中の表現つまり怠惰

成功と栄光を手に入れ いくつもの連載を 同時に抱えて 週刊誌や月刊誌に 書かれたエッセイは もう不思議なほど いくら謙虚に慎重に読んでも 心打たれない 面白い言い回しや 良い目の付け所 けっしてつまらないものばかりではないけれど 結局は 暇つぶしの対…

ヘタリの精神

目に見えぬ暑さ 汗が垂れて 垂れて 滴って ヘナヘナに しぼみ しおれ 水と 心が 抜け ダラけて ただ 寝そべっている 寒さには 身構え 縮こまり 歯を食いしばるのに 暑さは 弛緩と脱力 サボって ヘタれて どこまでも ダメになってゆく 耐えることも 戦うこと…

心動く時

夕焼け たなびく紫雲 落陽の照らす山肌 川の音 虫の声 何ということもない 毎日見ている風景が ある時 心に染みて 日常は 非日常に転移して 時の流れも 空気の匂いも 脳裏に刻まれ 忘れられない 自然は同じことを ひたすら繰り返し 自分も同様に 日々を反復…

闇の中の虚空

光差さぬ暗闇で 中空をただ見つめる トクン トクン 心臓の拍動だけが 時を支配し 闇は黒く だがベタ塗りでなく 網膜の裏を照射したような 細かく捉えがたい 電気信号のような 何かを映している 己だけ在り 他は無く 死の世界に 独り生きている錯覚が 私を襲…

差別はなくならない

市民プールのロッカールーム 隣に小学生 突然 ひょっこりと母親が顔を出し 〇〇 あと七分だから はやく服着てね と子供に声かけた なんてことはない だけど男の親が 女性のロッカールームに顔だして 同じことをしたなら 間違いなく問題になっただろう 母親は…

筋肉という苗

刺激を与え 負荷をかけ 栄養を補給し 適度に休ませて ゆっくり ゆっくり 植物のように 筋肉は発達する 同じような佇まいでも 変化は止まらず 使えば大きく 使わねば小さく 肌のハリ 力の入れ具合 毎日 違った様相で 世話を焼き 面倒を見れば見るほど ゆっく…

脳が痺れる

炎天の下 肌に玉の汗流れ 水を飲み 何も食べず また水を飲んで 腹だけが 餓鬼のように膨らみ 体力落ち 気力尽きて 縁側に横たわる 力ない体 働かぬ頭 茫として 焦点合わず 視線は 中空を浮遊する 昼と夜との境目 風も止まる静寂 わづかに チリンと 風鈴がか…