2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

道の終わり

この道は どこまでゆくか 果ても見えず 終わりもない そう思っていたのが いつしか 終わりが近づいてくる 岐路はあった いくつも選べた はずだった 気づいて 選んだ道 気づかず 通り過ぎた道 気づいていたのに 躊躇った道 どれも 過去のこと そして 選択肢は…

生きたいか

毎日毎日 這いずり回り 疲れ切って ご飯の味もしない やっとのこと 家にたどり着き 倒れるように 眠り込む 眠い だるい 疲れたままの朝 おざなりの飯 シャワー 出かけては 疲れ切って帰る 帰っては寝て すぐ出かける 居場所はどこにあるの こんな生き方楽し…

地に足をつけて跳べ

夢も希望も このどん底から 抜け出したい渇望も 何もなければ 何も出来ない 忌々しい日常 小さな頃から うんざりするほど聞かされた 誠実 努力 継続 分かっている 大切なのだと だから 苦しいのだと 真面目で 頑張り続けられるなら 愚痴など 吐いている暇は…

燈明の辞

いつも思い 探し求め 恋い焦がれ 胸を掻き毟る 救いなき世界の 一筋の光明 地の底から 上を仰ぎ見たい欲求 キラキラと光る きれいな言葉 血に塗れた 修羅の言葉 強く 美しく 心に刺さり 残り いつまでも響いて わたしをわたしでいられなくする 居ても立って…

トマトの切り身

冷えて 肌に露を浮かべ 濃く 赤く 中に滴る果肉と 厚みのある皮 照るほどの艶 かろうじて形を保つ液 口に運べば ほとばしる汁 甘味 酸味 青臭さ 鼻を抜ける香り 噛むほどにほどけ とろけて 喉へ 流し込まれる 赤い 瑞々しさをまとった トマト 毎日 数百も数…

東北の五月

蒼い空 山には雪 春霞の晴れた 北国の五月は 緑吹き出して 田に水が張る 朝夕の寒さ 強い日差し 冬の終わりと 夏の予感が 一挙に 押し寄せて せわしなく 生命を謳歌する 息吹きが横溢して 全ての喜びと 変化が満ち溢れ 人も 虫も 草木も 山へ 畑へ 動き出し…

書く

書くことは 生きるのと同様 必然性がない だが 当人にとって命は 絶対であるように 書くこともまた 生きることになり むやみに 放り出したり 投げ捨てられる ものではない 書く なぜ どうして 何のために 書く 誰のために 書く わたしのために 書く 生きるた…

出かけます

しばらく出かけます

追い詰められて

どこに行っても ダメだった 何をやっても ダメだった 煙たがられて 除け者にされ 卑屈になって ねじ曲がって どうすればいいか 分からない 生きていたって 楽しくない 何をしたって 苦しいだけ もうダメだ ダメなんだ 追い詰められて 何もなくなって それで…

くぐもってかすれてザラつく

かすり傷 刺さった小骨 痛くはないけれど 気になる 小さなトゲでしかないのに 心が奪われて そればかりになって 取り除くために いじくり回して もっと大きな傷を作ったり 痛みや痺れに襲われたり 今日はそんな日 イガイガのような 気持ちよくない知らせが …

凪いだ心

風が止まる 波が止まる 心には さざ波一つたたない 明鏡ではないけれど 明らかに止水 きれいごとじゃない このまま 止まり続ければ 気づかぬうちに 淀んで 濁って 腐ってゆく 困った 梃子でも動かない このままでは 退屈という悪魔に 怠惰の病に飲まれ 心は…

退屈に潜む悪魔

一日無事で平穏で 悩みらしい悩みもなく つつがなく 日々を送っていた ところが 徐々に安寧が退屈に変わり 悩みのない生活が 物足りなさ 生きている実感のなさに映り 刺激を欲して 安寧を手放す 平和が続いて 戦争の惨禍を知らず 幾百万の人が死んだ 過去も…

京マチ子が死んだ

京マチ子が死んだ 昨日はドリス・デイが死んだ 大相撲三日目 テレビ中継が終わり 続いてのNHKニュース 訃報は 二番目のニュースだった 原節子のような 伝説めいたエピソードもないし 高峰秀子のように 多才でもなかった 大正生まれ OSK出身 青春の輝いた演技…

忘れること

忘れよ 忘れよう 忘れなさい 遠い昔の出来事など あなたを縛るものじゃない 何かにつけて 思い出し 思い出したら 囚われて 過去の軛に 雁字搦め 本当は 紐も鎖もついてないのに 忘れたいけど 忘れられないって言葉 心の底では 忘れたくないって思いが 燻って…

子ども

何も知らなくて 無知で 無垢で わがままで 他の人が見えず 周りを振り回して 拙い欲望のまま 舐めて 掴んで 壊して 常識なんて はじめから持ってない ヒトの原型 教育もしつけもなしに 大きくなったら 生きられない存在 それでも 可愛いものは可愛いがる 大…

虫のごとくに

隙あらば どこからでも入り込み 増えるだけ 増えてゆく虫たち バランスも へったくれも 自我さえも 覚束ないのに 殖えることだけに ひたすら貪欲で 食べるものがあり 敵がいなければ あっと言う間に 何十倍にも 何百倍にもなって 共倒れを起こして 消えてゆ…

自分がなくなる

自分がなくなる時が 一番幸せだ 悩んだり 苦しんだり 人と己を比べたり 卑屈になったり 尊大になったり そんなこと 一つも思わずに いられる時 黙々と 草を刈っている時 眼の前の料理に 舌鼓を打つ時 風呂に浸かって 鼻歌を歌う時 電車の時刻表を 見ている時…

昨日の過去

体をこじ開けて 押し入る熱気に 埋もれていた昨日 ただ 遮二無二 興奮の中 前を見ていた 本当は 何も見えなかったのに 前だけを向いて 腕を振り 走っていた 走り方など 分からないのに どこまでも行けると 信じていた 信じる根拠など どこにもないのに 信じ…

無風抄

ゆっくりと 止まることなく 緩やかな坂道を 下ってゆく 後ろに山 前には海 新緑を眺めながら 人通りの少ない道を 一人 下ってゆく 風もなく 空気は澄んで 穏やかな気分 何も考えず 何も感じず ただ交差する足にまかせ どこまでも 下ってゆく 終わりなど 考え…

生理の銭湯

今日もまた いつもの銭湯で 爺が 糞を漏らした 洗い場に散らばった黒点 流れくる悪臭 気づいた時には 爺は 脱衣所で さっさと服を着て 出ていた 鼻につく匂いが 憎悪を掻き立て 一刻も早く この場を避りたいと 願いながら 誰とも知れなく 激しく 怒っていた …

コンビニの無銭飲食者

コンビニのイートイン 高齢の男性が一人 入るなり コーヒーメーカーの横 クリープとシロップを ガバっと取って座る 一冊の本を取り出し クリープを開け ちびりちびり 舐めるように飲んで シロップを開け クリープに少量注ぐ 本を読みながら まるで酒でも飲む…

自分の外に居るもの

どんなに歳を取っても 自分のなかに 甘えがある どこに行っても 何をしても わたしは 甘やかされ 世間を知らず 何も出来ない 己を肯定できないから 他者も認められず どこか 小馬鹿にするだけで つながりを つくれない 悪いのは自分 愚かなのはわたし 言い聞…

帰り来て

帰り来て 色褪せたる 街の灯の 雑踏に混ざり 汚れたる 心の内の 憤懣の 月も見えぬと うち叫び 人人人に 遮られ 踏めば ぶつかり 止まれば 落ちる 居場所も見えぬ 世知辛さ 遠い昔を 思い出し きれいな過去も 地にまみれ 終わりも知れない 迷い道 ただ あば…