無風抄

ゆっくりと
止まることなく
緩やかな坂道を
下ってゆく

後ろに山
前には海

新緑を眺めながら
人通りの少ない道を
一人
下ってゆく

風もなく
空気は澄んで
穏やかな気分

何も考えず
何も感じず

ただ交差する足にまかせ
どこまでも
下ってゆく

終わりなど
考えたくない

止まりたくない

今のまま
ずっと
変わらずに
歩いていたい