2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

何もない生活 何もない言葉

自分には何もない 特別な知識も 卓越した能力もなく どこまで行っても ありふれていて 凡庸で 交換可能で 大したことがない 生きている意味も分からず 目標も持てず 怠惰で その場限りの欲望だけで動き 同じような暮らしを 繰り返す このまま朽ちて 何もなか…

出かけます

一週間と少し出かけます

人の見る力

マスクをしている方が 美人に見える メガネを外して見る方が 美人に見える 鮮明で完全な姿より ぼやけ 一部が隠されて 想像力が働くほうが 美しいイメージが湧く ならば 人は 善意でものを見るのか あるいは 願望を対象に持ち込み その内に欲望を秘めるか 人…

天災の機の文学

突然の振動 抗えない力 天がもたらす 圧倒的な破壊を前に 為す術もなく 憎むことさえ 出来ない 一方的で 理不尽な仕打ちは 忘れた頃に 訪れて 世界が ままならないのだと 人に知らしめる 文学は人の営み 人に向かう営み 天に吠えても 叫びは 虚空に消え 何も…

もう一つの世界としての文学

政治も 法律も 警察も 社会を統治し 犯罪を減らし 世界を丸く治めているだろう だが 生きている人々の 不幸を無くすことなど出来はしない 苦悩も忍耐も抑圧も 人間である前に 生き物である限り ついて回る 辛さに耐えかね 生きていられぬ そんな時 たった一…

神なき夜の眠り

泥酔者の嬌声 野良猫の喧嘩 夜更け 猥雑な街は 喧騒の中 果てない灯り 訪れない眠り 毎夜毎夜の 馬鹿騒ぎ 端のアパート ゴキブリの死骸踏んで 登る階段 4.5帖 カビと湿気と 中華料理の油まとわりつく壁に 寄りかかるランニングシャツ 人の声 食べ物の匂い 電…

大事なのに失くなってゆく

大好きなもの 映画館 古本屋 銭湯 どんどん 失くなっていった 大きなスクリーンも 50円本のワゴンも 足を伸ばせる湯船も 金がかからないけれど 贅沢で 身近で 素敵なものが どんどん 失くなっていく 良いものだけれど 儲からない 金という価値に 置き換えら…

在りし日の憧憬

進む方向など見えない 若い日々には 夢や憧れが 道を照らし 霧中の世界を 夢中に駆けさせる 現実に追われ 生活と折り合い 夢を忘れた後 己が夢中にあったことに気づく 自分が何者でもないからこそ 夢が描ける だが人は いづれにか 何者かになり それは大概 …

体疲れて心痩せる

連日の重労働 他者の要求に 合わせなければならない酷使 吹き出物 口内炎 目のかすみ 腰痛 体からのシグナルも無視し ひたすら働く もう使われているだけ 今日は何日か 何曜日か 寝食を忘れ 虚ろな精神だけが浮遊し 確実に 寿命が縮まっているのだけが 実感…

また一つ灯が落ちる

しょぼくれた田舎道 とぼとぼ歩く夕暮れ時 羽虫が電灯に飛び交い 一軒また一軒と 灯がともり 風の止まった なまめかしい夜が訪れる 漆黒の山麓 薄明るい空 歩くにつれ 闇は深くなり 遠くの家並みが 行灯のように 行く手を導く 陽はとっぷりと暮れ 夜も更けて…

自動書記としての詩

詩は軽蔑に価する こう述べた作家は 表現を無意識へ 自動書記の産物として 何物にも縛られない 自由な表記を目指した 無意識こそ 人間の精神に 潜在的に訴える力を持つ 叫び 祈り 言葉になる前の 情動の昂ぶり 文字にも言葉にも 歌にも踊りにも 内包される …

国際都市の酒場

しぼしぼと雨降る休日の夜 一人酒場を訪ねる 空いたカウンター 暇を持て余す店員 落ち着き 喧騒を遠くに聞きながら 盃を傾ければ いつしか 一人また一人と 左党が集う 隣に白人の二人 こんな場末で ワイン嗜む 店員はアジア系の外国人 客は欧米の観光客 世の…

疲労のなかに

仕事溜まり 毎日 馬車馬のように働く 眠く だるく 体が 油切れして 神経が昂ぶり 甲高い音が 脳に響き 寝て 起きたら 疲れていて 久しぶりに 酒を飲めば 少しの量で 悪酔いする いま 寿命が 縮んでる この生活は もたない それでも 金のためでなく 仕事が忙…

一色の生き方

趣味もない 気晴らしもない 仕事も適当で 生きがいも特にない やりたいこともなく 夢もなく 希望もなく 失望もなく 絶望もなく 恨みも 苦悩も 執着も 嫉妬も 欲望も 目標もない 怠惰だけれど 特に停滞せず 山も谷もないが 不満もない ダラダラと 惰性に任せ …

梅雨入り

湿り気に覆われ 五月のさわやかさは 遠く去った 大気に水粒が 溶け込み 何を触っても 湿っているような この季節 鬱々とした蒸気に 視界も曇る こうして陽光が 遮断されている隙に 夏は近づき 灼熱と陽射しが 開放感とともに 訪れる それまでのアクセントと…

二度とはみたくない詩=死

大抵の犯罪では 罪を犯した人の心に 思いを巡らせる 人は はじめから罪を犯したいわけではない 貧しさや周りの環境が 心を歪め 屈折した精神 抑えきれない復讐の欲動 あるいは まっとうに生きられない切実な事情が 人を犯罪に 駆り立てることもある だが 抵…

心の傷の疼きに耐える

もう忘れた とっくの昔に 切れた 離れた 自由になったと 思っていた そんな過去が 再びコンタクトを取って 目の前に現れる 心臓が昂ぶり 冷静を失い 見えない拘束衣が まとわりつく 振りほどこうにも ほどけない 否定したくとも できない どこまで逃げても …

憧れに近づく

多くから眺め 徐々に近づいて 麓から 一歩一歩踏み出せば 険しい道 荒々しいガレ場 きれいなどと言うものでなく 厳しくきつい現実を味わう 尻込みせず 苦難のうちを踏み抜き さらに高く 頂きに近づけば 草木は消え 褐色の地合いを 荒涼と晒す だが 幻滅など…

だらしのない夜

しこたまに酔い 繁華街のコンビニで チューハイを買って飲む 暮れゆく街 見上げれば中国語の看板 人の顔も見えなくなる 黄昏時 どこの国の言葉か 喧騒に流れる 人の声 酔いもまわり ぬるい空気に溶けるように 地に沈んでゆく 道行く人の 顔も知らない 都会の…

働いて飲む

働いて働いて 歩きまわって 汗をかいて 陽がまだ落ちない 初夏の商店街で 銭湯に入り 湯気抜きに差す 夕陽の朱を見上げて 疲れが抜けてゆく 脱力を感じて 小さな居酒屋で 一杯のビールを飲み干す 今日はやりきった ささやかな満足 一年でいくらもない 幸せの…

緑でもなお青い

中学校で習った英語 青信号をグリーンシグナルって 訳せなかった どうして青なのに緑なんだろう いや緑なのに青なんだろう グリーンアップルは青りんご 青と言っても 緑にしか見えないじゃないか 海の青は碧い 空の青は蒼い 草花は緑 でも 青々とした緑って…

働いた思い出

忙しくて 朝から晩まで 寝る暇もなく 何を食べたかも 憶えていない ただやることが 溢れかえって 次から次へと 眼の前の山をやっつけて 何曜日だったか 何日か憶えていない 何かを考える余裕はなく ただ寝たい ただ休みたい そんな忙しい日々も 十年経てば …

心の拠り所に支えられ、狂わされる

学校のクラブ活動であれ 仕事であれ いつになっても 体罰やパワハラは 止むことがない 叩いて追い込んだり ギリギリまで無理を強いて 精神を追い詰めたり 嫌なことをわざとして 場合によっては 心身を病んでしまう こんなことは 早く止めたら良いと思うけれ…