また一つ灯が落ちる

しょぼくれた田舎道
とぼとぼ歩く夕暮れ時

羽虫が電灯に飛び交い
一軒また一軒と
灯がともり

風の止まった
なまめかしい夜が訪れる

漆黒の山麓
薄明るい空

歩くにつれ
闇は深くなり

遠くの家並みが
行灯のように
行く手を導く

陽はとっぷりと暮れ
夜も更けて

喧騒は薄れ
街の明りは

一つ
また一つと落ちて

世界は眠りにつき
今日の終焉に
安堵した