2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

離れてゆく

知識が 言葉が どんどん遠くへ行ってしまう おざなりにしていた報い ひねくれ 自堕落でいたツケ 仕方がないと諦めても 寂しいものは寂しい 何十年も前 場末のバーで 呑んだくれた親父を 敗残者であるかのように睥睨していた いま 同じようになって ますます …

対象

生き死にの刹那 人生のどん底に落とされたこと そんな大げさな体験でなくても 道端の石ころに 躓いただけで 世界が変わる 肝心なのは その感受を 伝えられる言葉があるか否か 技芸なのか 魂なのか 世界を変える材料は いくらでも そこら辺に転がっているのに…

仮面をかぶる

仮面をかぶる その刹那 世界は変わる なりたいものになり やりたいことをやり 虚妄に酔い 虚飾を楽しむ 自分ではない何者かに なりたいという欲望は いつしか 仮装の快楽に取って代わられ 仮装こそを 第一の目的として 夜な夜な 禁じられたパーティーへ 足を…

追い込み

しんどくて 限界まで追い込んだのに まだ出来た 誇らしくも 恐ろしい どうにかなってしまいそうだ

自由からの逃走

神や 階級や 世襲の職業に 生きる意味を 規定され そこから 解放されたら どう生きたら良いか 分からないと悩む いつだって どんなに豊かになったって 悩みはあると 告白しているようなもので もともと人生に 意味など無かったと 露わにしただけじゃないか …

大切な種

アフォリズムを思いつき したり顔で述べ それでおしまい 一つの種を 丹念に育て その過程と注力が見える 花を咲かせたなら 立派なものだ どんなに小さくても 誰かに醜いと言われても 見守り続け 花になったなら 立派なものだ 世間と比べて 馬鹿にする輩がい…

遠のく

遠くなってゆく 人が ものが 言葉が かつて 当たり前のごとく 身についていた 大切なもの いつの間にか 手放した いつだって 近くにあると 信じていた 手を伸ばせば すぐ届くはずだった だが 今はもう はるか彼方へ 遠ざかっていた 気がつけば 二度と戻らな…

人助け

人助けをして いい気持ちになれる人は 幸せだ たしかに 人を助けたはずが 気まずく 自省し いつまでも あれで良かったのかと 引きずっている 大したことなど してはいない ちょっとした 困りごとに手を貸した 相手も 少しは助かっただろう それでも あれで良…

人の悩み

ああ 歴史上の偉人でも つまらない悩みを 持っていたのだろうか 人を羨み 己を蔑み 今晩の夕食に萎え 二日酔いの頭を抱えて 朦朧とした朝を 迎えていたのだろうか 彼の人も 今の誰も 人であるかぎりにおいて つながっているらしい 便秘に悩んだり おかずの量…

疲れの時

いつも疲れていないから たまに疲れると 疲れる 疲れると ぐったりして 何も考えたくなくて 眠くて仕方がないのに 眠れない 疲れて 不快で 憂鬱で いらぬことばかり考えて 考えることに疲れて まだまだ 疲れが続くと思うと また疲れて いつまでも 疲れが取れ…

人の悩み

人との間に悩むごとく 木に悩み 森に悩み 海に悩むことがあるだろうか 社会で生きる悩みは 右往左往して いつまでも精神を苦しめる だが どれほど大きな災害であろうと 生きるか死ぬか 食うか食われるかの瀬戸際で 悩んでなどいられない 田舎に住み イノシシ…

恐怖を楽しむ

首元を虫に刺され しびれが 下へと拡がる 首元から肩へ 肩から背中へ 右腕へ 尻へ 足へ 毒が回る 痛みが増す このまま しびれと痛みが 全身に回り 死んでしまうのではないか 刺された刹那 妄想する 恐怖を楽しむ

生の輝き

生命を輝かせること 社会や組織 法や常識に囚われ 抑え込んでいた本当の生の輝きを 取り戻し 瞬間を描き出すこと どれほど抑圧されようが 隠蔽されようが 本来の生命の光が 漏れ出す一瞬は 必ずある それを捉えること

悩める人

人は 人で悩み 人を悩ませ また苦しむ 価値観が違う 認識が違う 悪意を感じる 嵌められた 猜疑心たかぶり 人を信じられなくなり それでも 人から離れられず 人と人の間で苦しむ そんな悩める人を眺め 言葉の一つもかけず 思いなど 分かりあえるはずもなく 他…

墜落死

人が落ちていく 崖から 真っ逆さまに 抗うすべもなく もがきもせず 一瞬 ただ見ているだけ 落ちた後に ひろがる血飛沫 あわれ かなしみ 嫌悪 そして奥底に 爽快が潜んでいた

目の前の果実

目の前の果実について ああでもない こうでもない 品種はあれ 季節はそれ 栄養はこれ 分析し 知識を披露して 己の見識を示すより 一口齧って うまい きれいだ 感激した心の動きを 筆にのせられるほうが いさぎよく 魅力的だ

心のドライブ

精神など 物理的な刺激で 簡単に 豹変する 心こそ 自分の拠り所だと 信じていても そんな心ほど あやふやなものはない 心に頼り 心に素直に生きるなど 脳天気なお花畑で 踊っているだけ 心に惑わされず 心をドライブし 己の一部なのだと認識し コントロール…

遠い人の死

4年も5年も経ってから 知っていた人が 死んだのを知る それなりの付き合い どうということもないけれど 死という言葉に ドキッとして 悲しみよりも 驚きが先に来て これまでの生活は これからも変わらないのに 世界から人が居なくなることに 心ざわめいて 忘…

壊れた器

空っぽの器 空っぽの心 穴が開いて 何も残らない 言葉を入れれば 滴り落ち 気持ちは 空回り どうやって溜めようか どうやって残そうか どうすれば 穴は塞げるか 大きな 大きな 石を持ってきて 穴の上に置けば 器ごと 壊れてしまう 何を使って 継げばいいか …

言葉の届く先

言葉に精神を込め 虚空に向って放る いつか 誰かが 掴めばいいさと 作ることに 思いを込めて その後は なにもない 誰に向けた言葉なのか 誰に届いてほしいのか ラブレターなら 相手のことを想うだろう 読み手のことも考えず 適当に放った言葉に 魂など宿るは…

書くことをつなぐ

忙しく 眠く 苦しく 疲れ切った今 詩など 思い浮かぶはずもなく ただ 文字を埋めるのみ 何の意味もなく 何の価値のもない この愚行を なぜ続けるのか 徒労に過ぎない行為 苦しいだけの行為 それでも この最中に 書いていることが 書くことを つないでいると …

安住の苦しみ

やわらかな 居心地の良い 温室の中に ずっと居続けて 外に出ることがない 一歩出れば 嫌な思いをすることが 分かっているから いつまでも ぬくぬくと過ごし 飽いても 倦んでも 己の小ささに悩み 挑戦の可能性をなくしても ここに居続ける どれほどの葛藤があ…

愚談

右を向けば右 左を向けば左 向いた方になびく 下を向けば下 上を向けば上 ならば 前を向いて歩けばいい そんな単純な話があるか

夕暮れのひとり

トボトボと 夕暮れの道を歩く 暗くなり 雨に降られ 靴ずれで 足が痛い 寂しく 人の心が遠く離れてしまった 木々は黒い塊となり 山の奥から 怪鳥の鳴き声が響く じわじわと迫る 夜のとばり 登った坂から 雲の合間に 沈む夕陽が差す その明るい赤光が 心を灯す…

雨の朝

雨が降る 雨粒が弾け 飛沫が 冷たく ほのかに うなじを刺す 煙る街は しとしと 鈍い音が覆い 歩く人も 憂鬱に見える寝ぼけまなこ けだるく 呆けて 心根まで 腐っていきそうな朝

それでもなお

叩いて 叩いて 曲げて 壊して くしゃくしゃにして それでもなお 失わなず 損なわず 戻そうとする生命

あの桃源郷へ

あの山を越えれば桃源郷 桃の花咲き 蝶が飛び 雪残る山々 遥かに見えて 濃い陽射しに 憂さも晴れ 誰も知らない 自分だけの別天地 すぐにでも行きたいが 代わりに 身ぐるみ捨てねばならぬ 目の前の天国に 飛び込む勇気が持てなくて 息詰まり 塗炭の苦しみに喘…

仕事の機械

悩むことなどない 疲れすぎて 頭は回らない 目の前に 山ほどの仕事が溜まり 次から次へと 機械のようにこなすだけ 悩む暇などない 人間ではない 悩めない存在など 人間ではない 機械として 幸せもなければ 不幸もない 悩み多ければ 機械もまた楽で 金がなけ…

何度でも死ね

今日も死ね 明日も死ね 明後日も死ね 何度でも 何度でも 何度でも 死んでは蘇り ふたたび死ね 次に死ぬまで やりたいことをやって死ね やりたいことが出来ぬなら 無念を抱えて死ね 生き返り 生き直し ふたたび死ね 何度でも 何度でも 何度でも 死ぬ度に お前…

苦界の底

頭骨の澱が 語りかける わたしはここにいる 地獄の入り口に 彷徨い 迷い出たのは 干からびた 髪の毛の 焦げた匂い漂う 情念の砂漠 見渡せど 何もなく 思念の残滓が 次々と 降り注いでは 蒸発していく 乾き切った 精神の底には 己の死骸に 群がる蟻が蠢き 食…