苦界の底

頭骨の澱が

語りかける

 

わたしはここにいる

 

地獄の入り口に

 

彷徨い

迷い出たのは

 

干からびた

髪の毛の

 

焦げた匂い漂う

情念の砂漠

 

見渡せど

何もなく

 

思念の残滓が

次々と

降り注いでは

 

蒸発していく

 

乾き切った

精神の底には

 

己の死骸に

群がる蟻が蠢き

 

食い尽くされた生は

 

かつて

この世に落ちる前の

 

灰と成り果てていた