2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

力の源

出世欲や競争意識 危機感 大切な人のため 人を駆り立てる力 モチベーション 自覚して 拠り所にすれば 弱い心を助け 支えてくれるだろう すがりついて 埋没すれば 意固地に凝り固まって 目が見えなくなるだろう 人の心のエネルギーは 摂れば摂るほど 依存して…

悪くはないがこれで良いのか

今日も一日が終わった 何事もなく 平穏に暮れた日常 このまま 何十回 何百回 多少の 紆余曲折はあろうとも 同じような 日々を過ごし 人生を終える それで いいのか それで 生ききったのか このまま過ごせば いつしか 活力は衰えて 人生を燃やす 意志は薄れ …

今の世の潔癖さ

この街は 恐ろしいほど きれいになった ゴミひとつ 落ちてない 野良猫は ずいぶん前に消えた 少し太ったら 目の敵にされ 税金を使って人を守っても 袋だたきにされちまう みんな ちゃんとしてなきゃいけない 人に 迷惑をかけちゃいけない ネットで落書きした…

わたしと世界 過去と未来

わたしの言葉は 私が世界とつながるか つながらないか ただそれだけを 紡ぐ わたしの時は 過去の記憶と 未来の夢と 二つしかない 空間と時間の 単純なベクトル 気づいたら その檻から 一歩も出ていなかった 過去の体験を語り 嫌になれば 夢のような未来に期…

小径の夜

酔い覚ましに 歩く小径は 鬱蒼とした銀杏 黒く大きく すれ違う 人の影さえ 長く尾を引き 驚かされる まだ残る 酒の香 顔をたたく 涼風 足音が 不意に迫っては 千鳥足のわたしを 追い抜いてゆく こんな夜もあっていい こんな夜もあっていい 言葉足らず 気持ち…

バービー人形に似た人

背は低く 色黒 パンチパーマをかけた 白髪混じり 70歳に至ろうかという男性 まったく 似たところが無いはずなのに 口元だけは バービー人形にそっくり ただそれだけで バービー人形とあだ名され バビちゃんと呼ばれ 50年 良かったのか 悪かったのか ただ そ…

きれいな木霊

高く上り 山肌に向かって 声張れば 遠くから 響いてくる木霊 大きな声なら大きく 小さな声なら小さく わたしをなぞり 追いかけ 反響で山は満ちる 人の世の 山々 親切には親切 悪意には悪意 上の権力にすり寄れば 下の者をこき使い ズルく怠惰に生きるなら 他…

こんなきれいな秋の夜は

こんなきれいな秋の夜は 何をしたって似合うだろう こんなきれいな秋の夜は 歩く街さえ美しい 少し欠けた名月が 背中を照らす 薄明るい空 店仕舞いした八百屋や魚屋が ぼんやりと 闇に浮かんで 私の影は 建物を舐めるように 伸びる たなびく雲 流れる風 月は…

おしゃれで華やいだ非日常の銭湯なんて

銭湯の人気は じわじわと戻り ツイッターでの宣伝や ネットの利用 スタンプラリーや 人寄せの講座 様々なキャンペーンを 展開する リニューアルした銭湯は 新しく華やいで 変わり風呂に きれいな脱衣所 休日となれば 子どもたちや外国人 楽しくはしゃいで 動…

不通の最中

いつも会う 仕事の仲間 買い物での 店主たち そんな連中と違って 普段会わないけれど それなり 親しい人はいる お互い 忙しく 連絡をなかなか取れず それが 半年経ち 一年経つと 今度は 連絡を取るのが こわくなってくる 何かのきっかけ 下手でも良いから 言…

悪いことばかり思い浮かぶ病

平穏な生活を 送りたい自分と 平穏な時に 波風を立てたい自分がいて 焦り 悩んでいるときには 引っ込んでいたのに 悩みから解放されると また どこかに悩み事を見つけてくる 過去の記憶 家族の短所 悪いことばかり 目につけ イライラを募らせ ふとした隙に …

人生の果実

恐ろしいほど 機会を台無しにしてきた 人生の岐路また岐路で 自分を裏切り 出来たはずの仕事を投げ出し 続けられた人と縁を切り 不都合に耳を貸さず 自分の中に閉じこもって 嫌なことから逃げ続け 新しいことは怖いから 手を出さない いくつも いくつも 機会…

世界と社会

僕のつながる世界は 生きる社会とつながっていて 僕は世界とつながるけれど 社会と僕はつながらない 風と水に陽の光 息を吸うだけで 体内に染み渡る それなのに あいさつや礼儀 人付き合い 人に注ぐ一杯の酒 そんな程度のことにすら 警戒するのはなぜだろう …

分かったような振り

世界中を旅しても 自分の町の中にさえ 行ったことがない場所があるように 知識は 蓄えれば蓄えるほど 足りないものに 目が向いて 知れば知るだけ 己の無知に気づかされる 無知 無理解 人は知らないことを敵視し 分からないことを恐れる とは言え 世の中のほ…

峠を越える時

ダラダラと続く登り坂 鬱蒼と茂る木々 一歩一歩 足を運び 外界遠く 登り来て 上に見えるものが 少なくなった 一本道 登るだけ登れば あとは 下るだけ 坂道は 平坦になりつつ いつのまにか 下り坂にさしかかる あれ いつ峠を越えたのか どこが峠だったのか あ…

また幾度のあと幾度

冬の走りの夜 澄んだ大気を吸って 見上げる空は ずっと高い 移る季節 風と光のなかで 私は世界と一体になり 大地に立っている 人の世の 欲にまみれた濁りを 浄化するように 落ち葉を焚く 煙がたなびいて 深まる秋の 匂いを放っている この美しい光景を 何度…

寒空降りる日に

風もなく 穏やかな秋の日の夜は 寒気降りきて 猫も丸まる 分厚い綿蒲団を重ねた 老夫の床に 咳が一つ また一つ 夜に響いて 憂き世の濁りを 浴びてきた体に 溜まる疲れの音 忍び寄る 終末の予感させて 秋はまた更けゆく

ひなびた食堂に座る

爺さんと 婆さんが 古びた食堂に 佇む 鍋を振るう爺さん 水を運ぶ婆さん くすんだクッションの パイプ椅子 油がこびりついた テーブルクロス 煤ぼけた電球 大きな箱型テレビ 炒めものが奏でる音 匂い立つ牡蠣油 湯気が立ち さびれた食堂に 一瞬の活気が戻る …

熟れる人

喧嘩三昧 一言多い 歯に衣着せぬ トラブルメーカー 言いたいことは どこでも言って 人の気も知らず 相手の立場を思いやれない 口が悪く 愚痴が多く 少しづつ 人が離れ 去ってゆく さりとて 角がとれて 丸くなるように ぶつかり続ければ 自分も痛い目にあうが…

ロシア郷愁

ウラジオストクに 狼煙が上がる 立ちのぼる黒煙 海に浮かぶ鉄塊 ツンドラの果ての果てに 切り拓いた 小さな漁港が拡がって 軍艦ひしめく東洋の基地 赤い旗 暗い空 歩く人は頬を赤く染め 毛皮に身を包んで 大きな体を縮こまらせる 海は灰色 平野は白色 冷たい…

若者の傲慢さ

若く 経験も浅く 世界が狭く 横並びに生きてきて まだ 何も知らない 尊敬も出来ず 卑屈にもなれず 人を見下し 未来を甘く考える 若者の傲慢さ だけど キラキラと輝いている

考えるより感じる

風と光と 音と匂いを 世界が発する信号を 全身に浴び 全力で 今ここを感じて 溢れ出す 拍動とともに 世界に向かって 歩む 世界を分類し 類型化して 理解のために 形を整え 分かりやすくするのは 便利のために こまかいものを 切り捨てることだから 効率よく …

疲れきって

朝から晩まで 紙をめくり 字を読んでは 直し 読んでは直す どこまでやっても 間違いはなくならない 間違いがなくならないから 仕事もなくならない そのことに 間違いはないのだけれど 読んで直して 読んで直して 眼の奥が痺れて 頭がカチカチに固まって 何も…

食べる機械

何があろうと 毎日毎日 時間さえ経てば 腹が減って なにか口に入れ そのほとんどは美味しいと思う どれほど 機械的な作業になっても 美味しい体験は 色褪せず コンビニで買う品や インスタントの食べ物でさえ けっして不味いとは思わない 食べて 腹が減って …

デパートのレストラン

みんなと一緒で みんなと違う みんなが群がれば 興味を持ち みんなの中に 埋没したいと思わない 誰もが大衆で 誰もが大衆でいたくないと思っている 人よりも ちょっと良いもの 人よりも物知りで 人よりもいい暮らし 人並みで満足しない 人並みはつまらない …

肉野菜炒め

薄切りに豚肉には 塩胡椒を少し キャベツはざく切り ニンジンは板状 ピーマンは噛みごたえの残る幅 もやしは洗うだけ ニンニクを潰し 少しの油で 肉だけ炒めれば 香気立ち昇り 音と煙で 調理場はたちまち戦場と化す 肉に火を通し いったん皿に移し 野菜を入…

惰眠涼秋

いつまでも 眠れる 疲弊した身体が 求める休息 昼間の労働に 腰は前に垂れて 足を引き摺って 目はしょぼくれて 意識は乏しく 食欲は無く 転がり込んだ蒲団 すぐに寝付けず 鈍い麻痺に 脳は侵されて 動かず ただ草を揺らす 秋の風を聞いている 意識が落ち 寒…

無産者の覚悟

どこにも行かず 何もせず 緩慢な時間の堆積に 焦燥だけつのらせ 人生を賭して 一大事をやり遂げたいと 覚悟しても 翌日には 蒲団の中 惰眠を貪っている そんな毎日 いつものこと 駄目で怠惰で 嘘つきでお調子者 それでいて 少しだけ 生真面目 何かしたい 何…

言葉の海にゆられ

言の葉の順列組み合わせ 何万も何十万も 使い続けても いまだ 新しく音を刻み 意味を産んで 心揺さぶり 人を惑わす 声の抑揚一つ 文字に点打つ場所一つで 未知の表現に邂逅し 淀んだ霧が晴れ 頭を槌で叩かれ 目が覚め 世界が拡がり 新しい沃土を得て 表現の…

キレ食い日和

ラーメン丼に飯を盛り 納豆と生卵をかけて さらに上から飯を盛って 富士山より峻険な山にする から揚げ 漬け物 おかずは少なくていい 選んだり 迷ったり 考えたり 楽しんだり するときじゃない 集中すること ただ食べるだけになること 野菜など後でいい 栄養…