ロシア郷愁

ウラジオストク
狼煙が上がる

立ちのぼる黒煙
海に浮かぶ鉄塊

ツンドラの果ての果てに
切り拓いた

小さな漁港が拡がって
軍艦ひしめく東洋の基地

赤い旗
暗い空

歩く人は頬を赤く染め
毛皮に身を包んで
大きな体を縮こまらせる

海は灰色
平野は白色

冷たい水に
凍てつく大地

遠い遠い
西の彼方より

地の果てを求め
拓き続けた帝国の終点に

味気なく
下を向いて

ただ
前へ前へ
歩く

ニコリともしない
白人の末裔

この冷たい風と
シベリアの広さに
恐れおののくように

大量の兵器を
用意して

今日も凱歌が上がるのを
待っている町