2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

同じでありながら変わる

日々の営みは 変わり映えせず 同じ部屋 同じ着物 少しの変わった食事と 同じ街並 同じであることは 安心と退屈をもたらすが ふと 毎日歩いているはずの 街に変化を感じ取る 雨が降る前 大気に充満する匂い 雷雨の後 くっきりと透き通った視界 眼の前にあるの…

潔癖であるよりも

曲がったことが許せなくて いい加減が嫌いで 公平 公正 正義 潔癖 あれもいけない これもいけない 正しくあらねば 間違ってはいけない 厳密な規律と 公正な判断によって 自己を律し 他者を正し 真面目に生きようとして 間違えないように 愚かな行為をしない…

命の重たさ

命にかけがいはない 命は何よりも大切 小さな頃から ずっとずっと 教わってきて 大事にしてきた つもりだった いつの間にか 生きることに慣れて お題目だけ 御大層に抱え なぜ大切なのか どうして大事なのか 考えもしなくなってしまった 大事にするとは どう…

◯◯ダイエットの不滅

納豆ダイエット トマトダイエット キャベツダイエット バナナダイエット 一つのものだけ食べる あるいは 特定の物だけ食べない そんなダイエットが 輪廻のように繰り返され 今日も ダイエットの商戦は盛況 食べながら痩せられます 何もせずにスルスルと体重…

やがて元に戻る

かつての田舎の夏休み 汚れるのが嫌で 入るのを躊躇した泥田 百姓のおじさんは言った 洗えばきれいになるよ 腰の高さまで 泥にはまって 一歩踏み出すごと 転んで 泥まみれで遊んで エビカニを採った 楽しい思い出 あれからずいぶん経って 泥にまみれることも…

人と違う

銭湯の口開け 前に並んだ人は 話せなかった 番台の女将は タオルあるか 石鹸持ってるか 次々に問いかける ア~ウ~と 困ったような仕草で 何とか返事を試みたが 女将は間をおかず 事務的にタオルと石鹸を手渡して 150円ね と言った 彼の手提げには タオル…

おじいちゃんとのお墓参り

小さい頃 お盆やお彼岸に おじいちゃんとお墓参りに行っていた 難しい字が書いてある石の林 水をかけ お花やお菓子をお供えして その前で手を合わせて 何かブツブツと言うおじいちゃん おじいちゃん 何してるの? ご先祖様と お話しているんだよ おじいちゃ…

出かけます

3日ほど出かけます

迷いながら

陽の光 草いきれ 人に疲れ 立ち止まり 進み方を忘れて 閉じこもり 幾年月 もう終わった 何もできない やるべきは見つからず 闇雲に浪費する時 衰え 孤立し もはや行き着くところまで 落ちるところまで堕ちた そう思いながら 進む時間に身を任せるうち 永遠の…

傘が開く

ビルの谷間に 一輪 また一輪と 傘開き 曇天から落つ 水粒を受く 一滴 また一滴 粒は流れ 地に落ち 世界を煙らせる 降り注ぐ水 受ける傘 雨にも雪にも 人はひるまず 花模様や ビニールの天蓋を掲げ 街を歩く こまごまと動く 命の数 眺めているだけで 圧倒され…

世界から隔離された夜

不意に起きた夜半 静寂に漆黒 空に響く エンジンの音 遠ざかり 何もかも離れてゆく 一人 ただ在り 暑くもなく 寒くもなく 不感の世界に 滞り 見えず 聞こえず 動かず 快も 不快も なく 生きることすら忘れ ただ時だけ流れて 再び 睡魔が訪れるまで ここにいる

へちまに太陽

とうとう 夏が訪れた 寒さを忘れ 汗にまみれる 午後も遅い 夕まだき 縁側でたたずみ 青唐辛子をきざみ 醤油に浸けて 冷奴にのせる 切子細工の猪口で 冷酒をあおれば 火照った身体に 辛い刺激と熱が抜け 涼しさが吹き渡る 気紛れに買った へちまの苗 軽く酔っ…

五月の黄昏時

年度が変わり 毎日通っていた街にも 疎遠になって 一月半 久しぶりに 足を運べば ビルのテナントは変わり ここかしこ 少しずつ変化する街に気づく 新緑の中 刷新された空気を吸い 何十年も気づかなかった 街の移ろいに 懐かしさや親近感と同時に 違和感を覚…

わがままな世の中で

より楽に生きられるように より好き勝手に生きられるように 社会は作り出されたはずだ ルールだって 快適や安全のためにあるはずだ もし信号が無かったら ただ道を渡るのに いつも命を賭けなければならない 盗みや殺しが罪にならなかったら 今より何倍も金と…

小市民的だから通る

生活の些細な齟齬 トマトに醤油がかかってる 靴下を片方洗濯し忘れた トイレを家族に使われる 小さくて小さくて くだらないようで 振り回されて イライラし 文句をつけるほどでも 喧嘩をするほどでもなく しかし心は動き 頬を膨らせ 他の何かに 心奪われるま…

命の使い方

まっさらな紙に絵を描くように 生まれてから死ぬまで 人生を積み重ねる されど そんな自分の思惑とは別に 種は 私を遺伝子の器としてだけ考え 続いてきた命の連鎖を 次に受け継ぐ 何万年もの間 バトンを渡すように 生命はつながり その紐帯の中に 己を位置づ…

新宿のなつかしさ

いつ行っても 人が溢れる新宿は 新しい店や 街並が変わりながら それでも 観光地のようになってしまった ションベン横丁も ゴールデン街も 昔の面影を 残している フーテンがわんさかいた 西口のロータリー 紀伊國屋書店に 中村屋のカレー 歌舞伎町にも 十二…

楽をしたい楽になりたい

気温が乱高下する昨今 天気予報は大切で テレビ画面を目にしつつ その日の着物や 洗濯のタイミング 冬物をしまい込む時期を図る 着る物や食べる物 生命を維持する大切な選択を 毎日求められる だが我々は 斯様な事を 人生の重大事とは思っていない 結婚や出…

生命に振り回される

生き物である限り 生命を失えば 全てが終わる 自らの命が 大切なのはもちろんだが 家族やペット 自分以外の 自分の人生に密接な 他者の命もまた 他人事として 扱えない 身近なものが 病気になり あるいは 老いて弱る ハラハラと気を揉んで 面倒を見ては 一喜…

現代の飲食

どんな場末の酒場に行こうと 出てくる食材は 各地から集まり 果ては 海外を産地とし かつて 地元の食べ物しか 手に入らなかった貧しさは逆転して 地産地消が価値を持つ 中国のにんにく ブラジルの鶏肉 オーストラリアの小麦粉 気の遠くなる距離を越え 取り寄…

誰かと張り合う

サウナで 適当な先客を前に この人が出るまで 我慢してみよう と思う 相手は誰だっていい 好きでもなければ 嫌いでもない 誰かが居てくれたほうが サウナの高温に耐えられる 一人では我慢できないが 他者が頑張れるなら 自分もできるかもしれない 張り合うと…

酔客

大衆酒場では 酒は好きに飲めばいい マナーだの エチケットだの 果ては 作法だの 流儀だの 細かいことを しかつめらしく 粋でいなせな 飲み方は 小料理屋でも 割烹でも それなりの場所で 格好つければいい とは言え ベロベロに酔った隣人は 歓迎というわけで…

今日電車に飛び込もうと思っている人へ

今日と来週の月曜 毎年のように起こる 人身事故 仕事に疲れ 人間に疲れ 電車に飛び込む そんな思いを抱いている人へ 生きていれば 良いことがあるなんて 無責任なことは言えない だけど 月曜に飛び込むのは 仕事や世間の時間に 合わせて 自分を失くしてしま…

旅に期待するもの

目的地で観光して 温泉に浸かり 地元の産物を食べる 予め期待していた何かを 満たそうとする 旅のあり方 それとは裏腹に 路地に迷い込み 朽ち果てた 街の惨状に驚く 思いもよらない ハプニングや 想像を超えた風景に出会う また 観光地でもなければ 人に知ら…

Trouble in Travel

北の酒場の 兄弟喧嘩 お前 反省が足りないよ 分かってるよ兄貴 何度も言うなよ だからそういう態度が ダメなんだ 反省してるって 何度も言ってるだろ やったことはやったことだ 消せねえんだよ うるさいなぁ いつまでも愚痴愚痴と 少しは大人しくなれよ もう…

そら豆の莢

天に向かってそそり立つ そら豆の 莢の緑 剥けば スポンジのような フワフワにくるまれ 眠る豆 知能も意志も 感情も親心もない 植物なのに 現代の人間が 大切な荷を梱包するように 種子をやわらかく くるんで抱える その豆を 大事な豆を 食べれば 春の命の息…

絶望という事

入試に落ちて進学できない 砂漠で水がなくなった 100円落として電車で帰れない 絶望という言葉で括る中身は 千差万別で 絶望にもいろいろある だが当人にとって 絶望していることに変わりなく 絶望という言葉は 内容より感情に寄り添う どんなに頑張っても …