兄弟喧嘩
お前
反省が足りないよ
分かってるよ兄貴
何度も言うなよ
だからそういう態度が
ダメなんだ
反省してるって
何度も言ってるだろ
やったことはやったことだ
消せねえんだよ
うるさいなぁ
いつまでも愚痴愚痴と
少しは大人しくなれよ
もう暴れる歳じゃねえだろ
兄貴が昔のことばかりほじくるからだろ
俺を怒らせたいのか
これだからムショ帰りは
ダメなんだ
何おお
表にでろ
お前
またムショに戻りたいのか
・・・
怒気はますます盛り
弟はビール瓶を手に持った
店主に
お前らいい加減にしろ
もう出てけ
一喝されると
弟は勘定を払い席を立つ
おい
俺帰りの汽車賃ねえんだよ
しらねぇっきゃ
ピシャリと扉は閉まった
兄は肩を落とし
コップに残ったビールを啜る
高砂町まで
歩いて帰んなきゃならねえ
汽車賃
貸してくんねえか
無言の店主
沈黙の店内
兄はしょぼくれて
静かに出ていく
何かは知らないが
罪を犯した弟
それを詰りながら
奢ってもらう兄
互いの傷に
爪を立てあい
生々しく
痛みに塩を擦りつける
それでも
一緒に飲む兄弟
どこでも
人は一生懸命に
生きている
そんな悲哀を
見せつけられた
旅の思い出