2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

かつて人が持っていた夢

銀河鉄道 星の世界への想像力と テクノロジーが結びつき 夢を紡ぎ出す かつて科学が持っていた 未来への希望 我々を遠くへ運んでくれるという期待は どこへ行ってしまったのか 鉄腕アトムが描き出した夢は 原子力の禍々しさに 宇宙ロケットは弾道ミサイルに …

弔いで会う人

学生時代の友人や 引っ越して離れ離れになった人 葬式でもなければ 会うこともない知り合いは 確かにいて 数十年ぶりに たまさか邂逅すると 懐かしさを覚え 死者が人を結びつけてくれたのだと思う 互いに関わりなく これから関わる意思もなく 嫌悪もなく 損…

通夜

歳を取れば 人の死に出会うのは必然だけれど 大切な人の死は 片手で数えるほどしかない 結婚式の浮かれ方に比べると 通夜に参列する顔は どこかしみじみとして 同時に義理堅い 酒が入れば 声も大きくなって どこにでもある飲み会になるが ふとトイレに立ち …

野良猫の繁殖管理

子供の頃は野良犬がいて 気まぐれに餌をやったら ずっと付きまとわれたり 鬼ごっこをしていると いつのまにか犬に追いかけられていた という恐怖が忘れられない 野良犬がいなくなった代わりに 猫が増えた これ以上増えると困るので 去勢や不妊の手術をして回…

都会の郷愁

都会のビルの森 広がる曇天 その下に蠢く人々 欲望と苦悩を抱えて 地下道を歩く姿は どこかアリやハチに似る 都市という人間の巣は 自然の中にあるはずなのに 自然を排除し 人間の生理と論理を優先する 人類の進歩なのか 人間の傲慢なのか 問うても 返ってく…

どこまでも人

知らない街の 知らない酒場で 知らない人との とりとめのない話は 旅の醍醐味で 自分が違う場所にいることを 実感する 日常という停滞を打破するのは 大変なことだから 自分の居場所を引き剥がして 知らない世界に身体を放り込んで 精神を遊離させる 誰も知…

旅の酔いどれ

梅雨入り直後の北国は 雨も風も冷たくて 人々は肩をすぼめ 足早に歩いている ほの暗い酒場 一杯の燗酒 胃に広がる温かさ 鼻に抜けるアルコール 寒さに縮んだ身体は ゆっくりと弛緩する 旅先の緊張から 日常の生活から 解放された精神は 杯を重ねるたび 溶解…

出かけます

2日出かけます。東北に酒を飲みに行く。 google chromeを使うと、yahooブログの「ナイス」を押せない。 24時間メンテナンス中になってしまう。

夜明けの静寂の中に

日が暮れる頃の街は 喧騒にあふれているのに 夜が明けるときは どうして静かなのだろう 鳥の声と 新聞配達の自転車が ペダルを踏む音は 遠くから聞こえ 風と自動車のうなりが 流れてくる 静寂の中に胎動する 一日の始まり 何事もない日常であり 何かが起こる…

迷宮市場

装飾のない天井 コンクリート打ちっぱなしの床 吊り下がる白熱灯 行き交うダンボール箱 声を張り上げる人 どこの市場にもある 言語も文化も国境も越えた 活気と喧騒 市場がどこか画一的なのは 食欲という普遍的な欲望を扱っているからだろうか 活気の裏にま…

書物の小宇宙

書物とは 文字を書いて 綴じること 綴じることは 閉じること 開かれた世界から汲み取った 大切なものを 紙に残して 綴じるのだから ただの垂れ流しではいけない 一つの内容を 一つの書物に宿らせ 閉じて 完結する だから書物は 一つの小宇宙で 一つの小世界 …

三人のアームストロングの一人

偉大な三人のアームストロング 『この素晴らしき世界』を歌い上げたサッチモことルイ・アームストロング 月面に初めて降り立ち「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍だ」と言ったニール・アームストロング船長 ツールドフランスを…

便利になって疲れた

便利な世の中になった 家にいて肉や野菜を注文し 電車やバスの乗車券を書い 外国の友達に寸時にメールできる 便利になって良くなった 違いない 違いないのに思い出す 便利になった分だけ 自分は何が変わったのかと 郵便局に手紙を出しに行く 駅前の交番で銭…

痛風苦礼賛

左の足がぷっくり腫れる 赤ちゃんの足 象の足 赤黒く膨れて突っ張る 足の甲からくるぶしへの発熱 さらに脛にかけて 麻痺のしびれのような かゆみのような 筋肉が硬直し続けるような 不快感がまとわりつく そして激痛よ 心臓が拍動する毎に ズキンズキンと刺…

共謀罪が成立した日

今日 共謀罪が成立した 犯罪をした人間が捕まるだけでなく 犯罪をするかもしれない人までも捕まるようになった 悪人が捕まるだけでなく 悪人になりそうな人までも捕まるようになった 悪人とは 悪いことをしたから悪人ではないのか 犯罪とは 法律に違反したか…

玉遊び

野球もサッカーも バスケットボールも バレーボールも ゴルフも 全ての球技は 精子を飛ばして子宮にぶち込む という行為のメタファーだ フロイトを知ってしまった我々は かなしくもおかしい 無意識の垂れ流しに 一喜一憂し 玉遊びに 様々な意味を背負わせて …

呪詛の源流

悪人は罰せよ 悪いことをしたやつが悪い この二十年 世の中では社会のルールが 揺るぎないものになった こんな世界だったか 悪いことをすれば なぜそんなことをしたのか どうして悪者になったのか 斟酌することを忘れてしまったのか 悪人は最初から悪人だっ…

カラスの子

街路樹の枝 ハンガーを集めた巣 都会に生まれ 陽光を浴びて育ち 梅雨の中に巣立つ 電線に止まり見守る母 右往左往する人の頭 枝を移り 羽を広げる間もなく 地に落ちた 母の奇声 近づく人に 後ろから襲いかかる その時 傘が 母に振り下ろされた 地を這いつく…

心病める人に

心の病の原因は 忘れられないこと 過去を引きずって 現実が侵されてしまうこと 現実に戻れずに 前を向けないこと そんなこと分かってる 分かってるけど どうしようもない 過去は動かせない 過去には戻れない ならば 現実を動かすしかない 現実に戻るしかない…

絶えずあれ

スポーツ選手も芸術家も サラリーマンもバスの運転手も 人を感動させたり ものを売ったり 何かを運んだり 役に立って 立派な仕事をしていても 見えないところでは 地味なトレーニングや葛藤や 退屈な単純作業の繰り返し 充実している毎日というのは 人から褒…

お腹の外へ

胎児は息をしない へその緒から 酸素も 栄養も もらって 羊水のなかに浮かんでいる 生まれた刹那から 重力を背負い 息を吸い 自分で栄養を摂らねばならない 胎児は楽だ 引きこもりの理想だ だけど すべての人は胎児だったけれど 今は胎児じゃない 胎児じゃな…

叩くと割れる

寄る辺のない木片が 流れ流れて 水の中を漂ううち 角が取れ ささくれは みがかれて なめらかな 曲線を身にまとうようになる 崖から落とされた石は 落下の速度で 激しくぶつかり 割れて砕ける やわらかに おだやかに 時間をかけて錬成したなら 仕事にも人間に…

酒の哀しみ

酒は緩慢なる自殺という 若い頃の酒は 友達と飲むもので アルコールの力を借りて 馬鹿騒ぎするためのものだった 今は酒を一人で飲む ゆっくりと 麻痺して軽くなった頭で 空想を巡らせるために 酒屋の片隅のカウンターで うつむいて 酒を飲む そんな飲み方が…

飛べよ文学

もし文字がなかったら 私の世界は今の数十分の一だ 書物が私を飛ばしてくれる 世界を 時代を 越えて 書物はタイムマシーンで 過去の世界を教えてくれ 少しまともなものを書いたなら 未来へ文章を残せる 世界の果ての人が書いたものを読んで 地球の裏側の人に…

徹夜仕事

眠気が峠を越え 異常な高揚に包まれる 空が明るくなってきたとき 疲労と充実と 煩わしさの忘却と 頭を打つ血管の拍動が 不健康極まりない状況と 生きていることの現実を 私に教える 素晴らしき徹夜 酒に溺れ 疲れきった夜明けより 仕事に溺れ 疲れきった夜明…

前へ前へ後ろへ前へ

後向きに 過去のことばかり想えば つらく 苦しい記憶が 頭をもたげて 息が詰まる 後ろを振り切って前を向くと 目の前に 小さな一歩 自分にできることのちっぽけさを気にしたら 自分がどんどん小さくなる 若い頃そうであったように 何も考えずに 忙しくしてい…

無意味さ

この世の出来事に意味など無い 緑が茂るのも 生物が生まれて死ぬのも 事実ではあるけれど 意味など無い 意味は人が作る 価値は人が生み出す なぜなら 意味が欲しいから 人が生きる意味 私が生きている意味 お前の人生は無意味だ という言葉を突きつけられた…

努力は立派

歳を取れば取るほど はっきりと分かってきたのは 努力して地位につくより 地位が人を作るほうが多い ということだ 闇雲な努力は辛い 人の期待を受けると 重圧を感じても 頑張れる 仕事が大変で辛くて 毎日へばって 寝る暇もない でも そんなに辛い人でも 自…

言葉がつなげる

言葉が通じない コミュニケーションが取れないために 不審と恐怖が頭をもたげる 異国に放り出された不安も 野良犬に取り巻かれる恐怖も 言葉が通じていれば ずいぶん和らいだろう 言葉でなくても 握手したり 笑いあったり 頭を撫でたり出来たら 警戒は解ける…