カラスの子

街路樹の枝
ハンガーを集めた巣

都会に生まれ
陽光を浴びて育ち
梅雨の中に巣立つ

電線に止まり見守る母
右往左往する人の頭

枝を移り
羽を広げる間もなく
地に落ちた

母の奇声
近づく人に
後ろから襲いかかる

その時
傘が
母に振り下ろされた

地を這いつくばる
人の怒りと罵声

母は見えなくなった

生まれて
母に育てられ
一人となった

人間には厄介者に扱われる

どうやって生きる
どうして生きる

黒い羽ふるわせて
鳴いて
あとは
飛ぶしかないだろうが