2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

汗が流れる

吹き出した汗は 粒となり 玉となって 皮膚の上を滑る 熱の溜まった体に 冷たい水を入れ 汗は流れ 滴となり 再び水に戻り 体は疲弊していく 夏の暑さと 生命の力 ほとばしるエネルギーは 体から抜け出て 熱気の中 屍になりかけて 虚ろな目で 流れ出る汗を見て…

琥珀

時を閉じ込めた 飴色の 透明にすけ 丸みを帯びた 玉がひとつ 今日も 明日も 変わらずに いつまでも 存在する 無機質に見えて 遠のいた 精神の残滓

手は差し伸べられず

人を守る法や制度が 巧妙に行使され 合法的に搾取され続け 声を上げても 届かない 言論も民主主義も 守ってくれなどしない 地獄に落ちて 苦しみのたうち回り 這い上がる 望みも持てないなら この世界を 壊す以外 どんな手があろうか 世界を敵に回しても 地獄…

夏に負ける

夏の暑さに負けて 混濁する 茹だるような熱の中を 羽虫飛び 汗流れ落ち 体が萎んでゆく 塩にまみれた皮膚が ヒリヒリと痛み 乾くそばから 汗が吹き出て 汗疹痛く 水を飲んだ腹は ゴロゴロと下り始める 熱に疲れ ぐったりとしおれ 夜になっても なお 暑さはと…

やらないといけない

やらなくてもいいはずなのに やらないといけないような やらなければいけないことなど ほんとうはないはずなのに なにもしないのは わるいの なにもしないのは だめなの できないことは しかたがない でも やらないのは いけないの できるかできないか わか…

今日も明日も

同じ日が続く退屈と 同じ日が続く安堵と ないまぜになり 惰性の力を借りて 日々を進む なにもない なにもできない なにもしたくない そうして人生が終わってしまう恐怖 それが人生だという諦観 どちらにせよ やりたいことができる機会も空間も 思いのままに…

梅雨開ける頃

雨が降って 緑が香る 川面に煙り立ち ひぐらし鳴く 梅雨開ける頃 陽射し戻って 力漲る

大雨の中

天災の川に 全てが流れ込んでくる 瓦礫も 生き物も 濁流に飲み込まれ 思念が 恐怖と悲嘆とともに 流されていく つんざく轟音 茶色の流れ 雨は降り続き 亡骸さえ奪われ 呆然と 立ち尽くした中 絶望が到来する予感 明日か その後か 濁流が流れ去った後 露わに…

出かけます

10日ほど出かけます。

出かけます

10日ほど出かけます。

遠出前

遠出を前に 心昂る 山へ向かう バス停に立ち 陽射しを浴び 蝉の声聞く 暑い夏を 切り取った瞬間 遠くの山へ 思いは飛び 迫るくるエンジン音に 胸高鳴る

友情という虚妄

久しぶりに会った友人が 新興宗教に入信し 熱心に勧誘してきた 頑なに断り 友人との関係は切れた 残ったのは 友情を踏みにじった後悔 理屈で考えれば 友情を利用してきたのは 相手の方であったろう それでもなお 関係を絶ったのはわたしであり わたしの意志…

旧交枯渇

友に会い 友と話して 友と別れ 空腹に耐え ひとり寝る夜は 薔薇色の過去が押し寄せ 夢うつつに 幻想を見せている

わかる

わかること それは 共感でも 理解でもない 一つのことが 腑に落ちること 良いことだろうが 悪いことだろうが わかること わかってしまうこと 全貌も 論理も把握できなくとも こういうことが起こったと 分かること 虫に刺され 泣いた子供が その虫を グシャグ…

突き抜けた

疫病 戦争 暗殺 世界は悪くなる一方だ この先も 悪くなるようにしか 思えない 人が死んで 天が突き抜けた 空いた穴から どす黒い雨が シトシト降り注ぐ 人々は動きを失い 生気をなくし おぼろ気な眼で 徘徊している 意志は 石のごとく 固まり 麻痺せられ 世…

わがまま

あれも これも 欲しくて どれにも手を出し つまみ食いして 少し齧っただけで 投げ出す 右往左往に 振り回されて 中途半端を 重ねてばかり 飽きるのを 待つだけの作業 それが人生だと言われれば そうかもしれない だが 簡単に手に入ると思い込み 適当にやって…

みっともなく楽しい

不器用だなあ 下手くそだなあ でも 楽しそうだなあ 悪戦苦闘して みっともなく見えても 一生懸命できるときが 一番楽しい 楽しくやっていれば 上向きな気持ちが伝播して 好意的に見ていられる それは 幾つになろうと 変わらない

夢想ひとつ

豆腐屋だから 豆腐しか作れないと 言った誰かが 作った豆腐は 誰にも作れない豆腐だった 幾千幾万の ドラマがあり 事件があり 世の中に流される 我々なれど ドラマチックだからと言って 良いフィクションだとは限らない 良いテーマ 良い題材を手にしたと 深…

世界は変わった

世界など どこにもないだろう 寝て 起きて 飯を食い 遊び 過ごす場所 それを世界と言うのなら 毎日 人の死や 痛ましい知らせが 電波から流れてくるのは 別の世界の出来事に違いない 身体の届く範囲と その外はつながるのか 五感は 居ない場所にも届くのか 知…

一杯の紅茶が飲めれば世界はどうなっても

同じお金で 多くの生命が救えるなら 効率的であるほうが 人道的に決まっている しかし どんな対価を払おうと 目の前に 救いたい生命があり 見過ごせない思いがあり 己の魂が揺さぶられるなら 効率のことばかり 考えていられない マクロとミクロ 大きな視点で…

生命の力

道徳だの マナーだので 縛りつけられ 生まれ持っていた 生命の活力は 削がれ 丸められ 力を失う 社会のために 生まれてきたわけではない 生まれて来た時 唯一の目的だったのは 生きること 生きるために 生命を漲らせること 押さえつけられ 型に嵌められなが…

自然と力

空と太陽と 熱風と 蠢く虫 自然の伸びゆく力 いくら立ち向かっても たちまち繁茂し 照らし 伸びて 増殖する 知性など 欠片もない しかし 立ち向かっている その時 力は わたしにも 漲ってくる

蟻骸

大量に出た蟻を 濡れ雑巾で 片っ端から潰す 黒い流れを 拭き流し 黒い渦に 手を入れて ブチブチと 潰れる甲殻の硬さよ 何度も 何度も 潰しては 雑巾を絞り また 潰しても 蟻は出てくる 永遠の連鎖は 眠ることもなく 大量の死骸を生み出した タライに汲んだ水…