夜明けの静寂の中に

日が暮れる頃の街は
喧騒にあふれているのに
夜が明けるときは
どうして静かなのだろう

鳥の声と
新聞配達の自転車が
ペダルを踏む音は
遠くから聞こえ
風と自動車のうなりが
流れてくる

静寂の中に胎動する
一日の始まり

何事もない日常であり
何かが起こる予感もあり

毎日繰り返す太陽の昇降
一日として同じ日のない人生

意志と覚悟さえあれば
今日が劇的に一変するのを知っている

安定への志向と
停滞への嫌悪と

矛盾の中の自己を眺め
いくら願っても
いつか安定は崩れるのだという
諦念を抱き

それならば
自らの望むほうへ変われと
意思への確認を反復し

今日の漸進の分だけの
覚悟を確保する