飛べよ文学

もし文字がなかったら
私の世界は今の数十分の一だ

書物が私を飛ばしてくれる
世界を
時代を
越えて

書物はタイムマシーンで
過去の世界を教えてくれ
少しまともなものを書いたなら
未来へ文章を残せる

世界の果ての人が書いたものを読んで
地球の裏側の人に送る文を書く

夢も希望も絶望も
文字が運び
喜んでは顔をほころばせ
悲しんでは涙を流す

私は書物に救われた
私は書物に裏切られた

もっと遠くへ
はるかかなたへ
私を飛ばしてほしい

かつて文学が持っていた夢と使命が
どれほどか細くなろうとも

私は心中する覚悟だから