引っ越して離れ離れになった人
葬式でもなければ
会うこともない知り合いは
確かにいて
数十年ぶりに
たまさか邂逅すると
懐かしさを覚え
死者が人を結びつけてくれたのだと思う
互いに関わりなく
これから関わる意思もなく
嫌悪もなく
損得も拘泥もない
そんな不思議な人間関係が立ち現れるのが
葬儀の席で
酒を飲んで
寿司をつまむのは
そこらの宴会と大差ないが
おべんちゃらは要らないし
そこはかとない死者への思いを抱え
めったにない昔話をする
一期一会という言葉には
出会いの大切さを説く
訓示のような説教臭さがあるが
葬儀のような刹那の出会いも
さっぱりしていて良いと思えた