書物の小宇宙

書物とは
文字を書いて
綴じること

綴じることは
閉じること

開かれた世界から汲み取った
大切なものを
紙に残して
綴じるのだから

ただの垂れ流しではいけない
一つの内容を
一つの書物に宿らせ
閉じて
完結する

だから書物は
一つの小宇宙で
一つの小世界

ひとたび完成した書物は
内容を変更できないし
ただ読むことしかできない

それを持って
世界のどこかで開くなら
別の世界が現れる

書物の世界は
現実と隔絶する
精神が肉体を超克する

現実よりも濃密で
現実よりも格別な
書物が生まれてくるのを信じて
今日も本を読む