痛風苦礼賛

左の足がぷっくり腫れる
赤ちゃんの足
象の足
赤黒く膨れて突っ張る

足の甲からくるぶしへの発熱
さらに脛にかけて
麻痺のしびれのような
かゆみのような
筋肉が硬直し続けるような
不快感がまとわりつく

そして激痛よ
心臓が拍動する毎に
ズキンズキンと刺激が走り
足を傾けただけ
足中の水分が重力で動いただけで
痛みに息が詰まる

ああ足を切り落としたい
ああ血管と関節を切開して
尿酸結晶をゴシゴシ洗い流したい

動けず
眠れず
途方もない時間を
痛みとともに過ごす

ただ痛みに耐えるだけ
時間が経てば
この理不尽な痛みへの怒りに苦しみ
暴飲暴食のことなど知らず
怒りに疲れ
痛みに疲れ
それでも痛みに苛まれながら
最後には疲労の限界に沈む
そして起きたら待つ痛み

痛い以外に何もない
しかし痛風は生きている痛み
生命活動の激烈を思い知る

足を切り落としたいと思っても
死にたいとは思わない

痛みから逃れたくて
生きたくて生きたくて
もがく苦しみだ

ただそれだけを噛みしめ
痛みのなか
痛風の我を呪い喜んでいる

あはは
イタい