都会の郷愁

都会のビルの森
広がる曇天
その下に蠢く人々

欲望と苦悩を抱えて
地下道を歩く姿は
どこかアリやハチに似る

都市という人間の巣は
自然の中にあるはずなのに
自然を排除し
人間の生理と論理を優先する

人類の進歩なのか
人間の傲慢なのか
問うても
返ってくるのは説教臭い話ばかりで

ただ分かるのは
人は群れる生き物だということだけ

人と関わって
肯定しつながり
否定し拒絶し
喜怒哀楽を味わい
それを延々と繰り返す

人生とはそれだけのもので
それだけに過ぎないと思えば哀しいが
それが醍醐味だと思えば
捨てたものではない気もして

疲れた時は休み
寂しい時は人の群れに飛び込んで
離れては考え
悲しければ寄り添う

そんな人々の営みが
四六時中湧き起こっている
都市のエネルギーは

手垢にまみれた小汚さと
人の体臭が否応なくこびりついて
私を安堵させる