同じでありながら変わる

日々の営みは
変わり映えせず

同じ部屋
同じ着物
少しの変わった食事と
同じ街並

同じであることは
安心と退屈をもたらすが

ふと
毎日歩いているはずの
街に変化を感じ取る

雨が降る前
大気に充満する匂い

雷雨の後
くっきりと透き通った視界

眼の前にあるのは同じ街
だからこそ
自然がもたらす
少しの変化に気づける

安定していて
停滞することがない自然

同じように日が昇り
毎日沈んでゆくのに
一回として
同じ時刻のない不思議

不変に思える変化の連続に
ヒトたる自分も組み込まれている

安定した循環の一部でいながら
変化の果てに
終焉が運命づけられて

深い安心と
はかない心細さに
包み込まれている