四季の移ろいが私を救う

生きれば生きるほど
動けば動くほど

思い出は積み重なる

忘れられない春の日も
思い出したくない夏の夜も
美しい記憶も
辛い過去も

否応なく
脳裏に詰め込まれ

ふとした時
気まぐれに蘇って
私を襲う

美しいものだけを取って置けない
身勝手で
横暴な思い出

それでも
世界が回れば
感覚の記憶は薄れ

少しづつ
ゆっくりと
思い出は美化される

痛みを忘れ
苦しみの実感は消え

変わることなく
四季は巡り続けて

安定し
決して淀まない世界の有様の一つに
己も在り

物を食べては出し
髪や爪が伸びては切り
痛い目を見ても生きる

変わり続けることだけが
不変の世界なのだから

そこで変化を実感する自然に
心身を委ね

心の硬直がほぐれるのを待つだけで
救われる気になる