現代の飲食

どんな場末の酒場に行こうと

出てくる食材は
各地から集まり
果ては
海外を産地とし

かつて
地元の食べ物しか
手に入らなかった貧しさは逆転して
地産地消が価値を持つ

中国のにんにく
ブラジルの鶏肉
オーストラリアの小麦粉

気の遠くなる距離を越え
取り寄せたはずなのに
贅を尽くした感はない

舶来品への信仰は
効率と価格に取って代わられた

されど
国境なき食卓は
依然として
物量の豊かさを示し

産地を選ぶ価値を高め
今日も地球を回す

それが
得体の知れない
仮初めの豊かさだとしても

眼の前に
置かれた料理は

紛れもなく
現実で

私には
それが食べられることが
有難い