命の使い方

まっさらな紙に絵を描くように
生まれてから死ぬまで
人生を積み重ねる

されど
そんな自分の思惑とは別に

種は
私を遺伝子の器としてだけ考え

続いてきた命の連鎖を
次に受け継ぐ

何万年もの間
バトンを渡すように
生命はつながり

その紐帯の中に
己を位置づけるなら

歴史の系譜を背負う
一個の価値を持つ

だが
何万個もの卵を孕み
一部だけが生き残れば良いという
イワシやニシンのように

試行錯誤を繰り返し
種が展開する

多様な
実験的な試みの一つとして
己があるのだとすれば

種は
私に意味など求めず

子孫を残せば成功
そうでなければ
仕方がないという程度の
期待しかしていないに違いない

それでも
私自身の生は
私だけのもので

人生は
時間だけが進む時計であり

何を描くかも
どう色付けるかも

果てしなく自由で
何でも出来る

法やルール
社会や人とうまく付き合う術
財産の多寡
将来設計

そんなことを念頭に置くから
選択が限られていると錯覚するが

人は原理的に何をしても良い

体も動くし
発想も自由だ

上手く生きるより
好きに生きる

そちらを立ち位置にしておくほうが
楽でいられる