婆さんが
古びた食堂に
佇む
鍋を振るう爺さん
水を運ぶ婆さん
くすんだクッションの
パイプ椅子
油がこびりついた
テーブルクロス
煤ぼけた電球
大きな箱型テレビ
炒めものが奏でる音
匂い立つ牡蠣油
湯気が立ち
さびれた食堂に
一瞬の活気が戻る
肉と野菜を頬張って
ご飯をかき込む
脂の甘みと野菜の歯ごたえ
ご飯と口腔で混ざる
いつだって
飯を食う時だけは幸せ
食べ終えて
水を飲めば
他に客のいない
食堂の寂しさが立ち上がり
また訪れる日まで
あってくれよと
心の中でつぶやく