遠のく

遠くなってゆく

 

人が

ものが

言葉が

 

かつて

当たり前のごとく

身についていた

大切なもの

 

いつの間にか

手放した

 

いつだって

近くにあると

信じていた

 

手を伸ばせば

すぐ届くはずだった

 

だが

今はもう

はるか彼方へ

遠ざかっていた

 

気がつけば

二度と戻らない

 

時も

ものも

人も

言葉も

 

自ら

失っていた

 

嘆いても

仕方がない

 

前向きになり

取り戻せた時代も

もう過ぎたのだ

 

夏の終わりに

祭りの屋台を片付ける頃になって

 

あれこれ

食べたいと言っても

遅いのだ