子規から碧へ

有象無象の世にあって

秩序を作りたい人がいて

 

秩序に身を置く気持ちよさと

秩序に縛られる窮屈さと

 

どちらも人は持つけれど

 

秩序はわたしの為にはない

 

規則を作る面白さは

人を支配する気持ちよさに似て

 

たった五七五でさえ

言葉を縛り上げる快感を持ち

 

その中で

蠢き戯れ格闘する言葉たちを

天の上から眺めている

 

一閃の雷光が

五七五を切り裂いて

 

こぼれ落ちた魂を

救いながら

舌舐めずりして

 

まだ温かい臓腑に

手を突っ込んで

 

引っ掻き回して

吸い取って

 

元の体を

骨抜きにしてしまった

 

だけど

体躯のない言葉たちは

 

落ち着く場所を失い

浮遊して

溶けて

 

何十年経っても

戻らない

 

碧梧桐

きみが言葉にやったこと

 

素敵だった