対象

生き死にの刹那

人生のどん底に落とされたこと

 

そんな大げさな体験でなくても

 

道端の石ころに

躓いただけで

 

世界が変わる

 

肝心なのは

その感受を

伝えられる言葉があるか否か

 

技芸なのか

魂なのか

 

世界を変える材料は

いくらでも

そこら辺に転がっているのに

 

何も見えず

 

大事なことは

伝えられない

 

而して

戦争だの

虐殺だの

 

大上段に振りかぶった

大きな物語に縋りつき

 

時勢に乗り

 

己の目が曇っていることにすら

目を背けている