あの桃源郷へ

あの山を越えれば桃源郷

 

桃の花咲き

蝶が飛び

 

雪残る山々

遥かに見えて

 

濃い陽射しに

憂さも晴れ

 

誰も知らない

自分だけの別天地

 

すぐにでも行きたいが

代わりに

身ぐるみ捨てねばならぬ

 

目の前の天国に

飛び込む勇気が持てなくて

 

息詰まり

塗炭の苦しみに喘ぐ

貧乏ぐらし

 

それでも

捨てられない日常

 

天国を夢見ながら

泥にまみれて死んでいく

 

そんな

落ちぶれた哀しさにも

 

美しい風景が

必要だった