在りし日の憧憬

進む方向など見えない
若い日々には

夢や憧れが
道を照らし

霧中の世界を
夢中に駆けさせる

現実に追われ
生活と折り合い

夢を忘れた後
己が夢中にあったことに気づく

自分が何者でもないからこそ
夢が描ける

だが人は
いづれにか
何者かになり

それは大概
夢の中の存在ではない

だが
現実に暮らすうち

若き日の
しんどさと
青臭い若々しさは
きれいな思い出に浄化して

夢への憧れより
夢を見ていられた時分が

甘酸っぱく
美しく浮かび上がる

憧れを持てた過去への
限りない憧憬

ある時までは
苦々しく

時を経るにつれ
まろやかに醸される